Who are you?
第1幸 十七女村事件
昔々、ある仲良しの4人家族が十七女村という小さな村に住んでいました。
その村には、人口124人という数少ない住人が平和に暮らしていたそうです。
しかし、ある悲劇が起きたのです。
朝-
「お母さん、おはよう…。」
目を擦りながら、まだ眠そうにしている娘、千幸。
「千幸、おはようございます。
  まだ眠いんですね。」
千幸に微笑む母、美子。
「千幸、おはよう!」
元気一杯の笑顔で挨拶する息子、響。
「千幸は相変わらず、朝は弱いね。」
新聞を読みながら、母と同じく微笑む父、真琴。
この家族は皆親切で、特に千幸を甘やかしていた。
娘ができて、両親もたいそう嬉しかったそうだ。
可愛い服を着せよう。
大きくなったら、化粧を教えよう。
将来、結婚出来たらいいな。…
家族には、そんな願望が沢山あった。
「さぁ千幸、朝御飯食べましょう。
  響、学校に遅れますよ。」
「あっ、そうだった!
  行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。」
「じゃあそろそろ私も…」
「真琴さん、もう行くんですか?」
「あぁ、今日は会社で祝いがあってな。」
「そうですか。
  それなら尚更、早めに行かないとですね。」
「そうだな。
  じゃあ、行ってくるよ。」
「行ってらっしゃい。」
「お母さん、今日は何して遊ぶの?」
「今日は、お絵描きでもしましょうか。」
「千幸、お絵描き大好き!」
昼-
「ちょっと、休憩しましょうか。」
「うん!」
「あら、お菓子を作る材料を切らしちゃったのね。」
「今日のおやつはないの?」
「お散歩に行きましょうか。
  歩いて行ったらお店があるから、そこで食べましょう。」
「やった〜!
  お散歩お散歩!…」
外-
「千幸、何か食べたい物ありますか?」
「う〜ん、あっ、ホットケーキ食べたい!」
「じゃあ、喫茶店に行きましょうか。」
喫茶 珈琲-
「いらっしゃい!
  あれ、美子?」
「光里、お久しぶりです。」
「まぁ、何年ぶりよ?」
「高校以来ですかね。」
「娘さん、大きくなったね。」
「はい、子供の成長はあっという間です。」
「あたしも結婚したいなぁ。」
「光里なら出来ますよ。
  八方美人じゃないですか。」
「それはあんたの方よ。
  高校の時、あんたの噂で持ちきりだったのよ。」
「そうだったんですか?」
「おっと、立ち話は疲れたよね。
  そこに座りな。」
「有難うございます。」
「千幸ちゃん、何食べたい?」
「ホットケーキ!」
「はいよ!
  美子は?」
「私は珈琲で。」
「あんた、ここに来る度珈琲ばっかりじゃない。」
「光里の作る珈琲は美味しいんです。」
「じゃあ、ケーキも付けるよ。
  何がいい?」
「…じゃあ、お言葉に甘えて、ショートケーキで。」
「甘さ控えめね。
  はいよ。」
「うふふ、光里、私の好みの味、覚えてたんですね。」
「ねぇねぇお母さん、あのおばちゃんと仲良しなの?」
「はい、昔の友達なんですよ。」
「友達…千幸にも、出来るかな?」
「出来ますよ。」
「お待ちどおさん!
  ホットケーキと珈琲とショートケーキね。」
「わぁ!
  美味しそう!」
「本当ですね。
  光里、お客は私達だけですか?」
「そうだよ。
  平日だからねぇ。
  ずっと暇なんだよ。」
「休日になると、大繁盛ですもんね。」
「そんなこともないよ。
  千幸ちゃん、おばちゃんと仲良しになろうよ。」
「うん、いいよ!」
「おばちゃんの名前は、光里。」
「光里おばちゃん、でいいの?」
「もう何でもいいよ。
  あんたの娘さん、可愛いねぇ。
  子供1人いるだけでも、あんたみたいに何時も幸せになんのかな?」
「最初の頃は、とても大変でした。
  近所の人達にすごく助けてもらいました。」
「へぇ、そんな大変だったんだ。
  良い人が見つかれば、あたしの人生設計通りになるんだけどねぇ。」
「光里の人生設計、ほぼ思い通りなんですか?」
「そうなんだよ。
  まぁ、そんな完璧でもないけど。」
「うふふ、そうなんですね。」
夕方-
「ただいま!」
「おかえりなさい。
  手洗いうがいを忘れないで下さいね。」
「はーい!」
「千幸もお兄ちゃんとやる〜!」
「(うふふ、可愛いですね。)」
「ただいま。」
「真琴さん、お帰りなさい。」
「今日の晩飯は?」
「今日はシチューですよ。」
「そうか。」
「お父さん、お帰り!」
「お帰り!」
「ただいま。
  2人共、良い子にしてたか?」
「「うん!」」
「さぁ、食べましょう。」
「「頂きまーす!」」
「「頂きます。」」
そんな何気ない日常が続いていた。
あの日までは…
「おはよう…お母さん?」
千幸が食卓に行くと、母達の姿がなかった。
台所にも、寝室にも居なかった。
何処を探しても見つからなかった。
ふと千幸は、目線を落とした。
この家には、地下室がある。
でも、身体が小さな千幸には、地下扉を開くことが出来ない。
そこで、母の友人の光里に会うことにした。
喫茶店までの距離は、結構長かった。
喫茶 珈琲-
「あれ?
  まだ開店してな…千幸ちゃん!?
  どうしたの?」
「光里おばちゃん…お母さんがいないの。」
「えっ、美子がっ…。
  お父さんと響君は?」
「お父さんもお兄ちゃんもいないの。」
「おばちゃんと一緒に行こ。」
「うん。」
光里は、震える千幸の手を握り、2人で家に向かった。
家-
「美子!
  真琴さん!
  響君!
   …いない。
   …っ!
  暗くて分からなかったけど、床に血がっ…!」
「おばちゃん、どうしたの?」
「千幸ちゃんは、ここで待ってて。」
光里は、重い地下扉を開けた。
テーブルに置いてあるランプを片手に持ち、下に続く階段を降りていった。
名前を呼んでも返事がなかった。
暗闇の中、彷徨いながら歩いて行くと、目の前には、3人の死体が転がっていた。
息を呑んだ。
何も声が出ず、その光景を眺めることで精一杯だった。
光里は、思考回路を変え、急いで村の住人達に助けを求めた。
忽ち、その事件は村中に知れ渡った。
「美子っ…!」
泣き崩れた光里を見たこの頃の千幸は、家族が殺されたことを理解していない。
軈て、日本中に報道され、『十七女村事件』と呼ばれ、歴史に刻まれたのだった。
それから、千幸はどうなったのか、知りたい?
その村には、人口124人という数少ない住人が平和に暮らしていたそうです。
しかし、ある悲劇が起きたのです。
朝-
「お母さん、おはよう…。」
目を擦りながら、まだ眠そうにしている娘、千幸。
「千幸、おはようございます。
  まだ眠いんですね。」
千幸に微笑む母、美子。
「千幸、おはよう!」
元気一杯の笑顔で挨拶する息子、響。
「千幸は相変わらず、朝は弱いね。」
新聞を読みながら、母と同じく微笑む父、真琴。
この家族は皆親切で、特に千幸を甘やかしていた。
娘ができて、両親もたいそう嬉しかったそうだ。
可愛い服を着せよう。
大きくなったら、化粧を教えよう。
将来、結婚出来たらいいな。…
家族には、そんな願望が沢山あった。
「さぁ千幸、朝御飯食べましょう。
  響、学校に遅れますよ。」
「あっ、そうだった!
  行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。」
「じゃあそろそろ私も…」
「真琴さん、もう行くんですか?」
「あぁ、今日は会社で祝いがあってな。」
「そうですか。
  それなら尚更、早めに行かないとですね。」
「そうだな。
  じゃあ、行ってくるよ。」
「行ってらっしゃい。」
「お母さん、今日は何して遊ぶの?」
「今日は、お絵描きでもしましょうか。」
「千幸、お絵描き大好き!」
昼-
「ちょっと、休憩しましょうか。」
「うん!」
「あら、お菓子を作る材料を切らしちゃったのね。」
「今日のおやつはないの?」
「お散歩に行きましょうか。
  歩いて行ったらお店があるから、そこで食べましょう。」
「やった〜!
  お散歩お散歩!…」
外-
「千幸、何か食べたい物ありますか?」
「う〜ん、あっ、ホットケーキ食べたい!」
「じゃあ、喫茶店に行きましょうか。」
喫茶 珈琲-
「いらっしゃい!
  あれ、美子?」
「光里、お久しぶりです。」
「まぁ、何年ぶりよ?」
「高校以来ですかね。」
「娘さん、大きくなったね。」
「はい、子供の成長はあっという間です。」
「あたしも結婚したいなぁ。」
「光里なら出来ますよ。
  八方美人じゃないですか。」
「それはあんたの方よ。
  高校の時、あんたの噂で持ちきりだったのよ。」
「そうだったんですか?」
「おっと、立ち話は疲れたよね。
  そこに座りな。」
「有難うございます。」
「千幸ちゃん、何食べたい?」
「ホットケーキ!」
「はいよ!
  美子は?」
「私は珈琲で。」
「あんた、ここに来る度珈琲ばっかりじゃない。」
「光里の作る珈琲は美味しいんです。」
「じゃあ、ケーキも付けるよ。
  何がいい?」
「…じゃあ、お言葉に甘えて、ショートケーキで。」
「甘さ控えめね。
  はいよ。」
「うふふ、光里、私の好みの味、覚えてたんですね。」
「ねぇねぇお母さん、あのおばちゃんと仲良しなの?」
「はい、昔の友達なんですよ。」
「友達…千幸にも、出来るかな?」
「出来ますよ。」
「お待ちどおさん!
  ホットケーキと珈琲とショートケーキね。」
「わぁ!
  美味しそう!」
「本当ですね。
  光里、お客は私達だけですか?」
「そうだよ。
  平日だからねぇ。
  ずっと暇なんだよ。」
「休日になると、大繁盛ですもんね。」
「そんなこともないよ。
  千幸ちゃん、おばちゃんと仲良しになろうよ。」
「うん、いいよ!」
「おばちゃんの名前は、光里。」
「光里おばちゃん、でいいの?」
「もう何でもいいよ。
  あんたの娘さん、可愛いねぇ。
  子供1人いるだけでも、あんたみたいに何時も幸せになんのかな?」
「最初の頃は、とても大変でした。
  近所の人達にすごく助けてもらいました。」
「へぇ、そんな大変だったんだ。
  良い人が見つかれば、あたしの人生設計通りになるんだけどねぇ。」
「光里の人生設計、ほぼ思い通りなんですか?」
「そうなんだよ。
  まぁ、そんな完璧でもないけど。」
「うふふ、そうなんですね。」
夕方-
「ただいま!」
「おかえりなさい。
  手洗いうがいを忘れないで下さいね。」
「はーい!」
「千幸もお兄ちゃんとやる〜!」
「(うふふ、可愛いですね。)」
「ただいま。」
「真琴さん、お帰りなさい。」
「今日の晩飯は?」
「今日はシチューですよ。」
「そうか。」
「お父さん、お帰り!」
「お帰り!」
「ただいま。
  2人共、良い子にしてたか?」
「「うん!」」
「さぁ、食べましょう。」
「「頂きまーす!」」
「「頂きます。」」
そんな何気ない日常が続いていた。
あの日までは…
「おはよう…お母さん?」
千幸が食卓に行くと、母達の姿がなかった。
台所にも、寝室にも居なかった。
何処を探しても見つからなかった。
ふと千幸は、目線を落とした。
この家には、地下室がある。
でも、身体が小さな千幸には、地下扉を開くことが出来ない。
そこで、母の友人の光里に会うことにした。
喫茶店までの距離は、結構長かった。
喫茶 珈琲-
「あれ?
  まだ開店してな…千幸ちゃん!?
  どうしたの?」
「光里おばちゃん…お母さんがいないの。」
「えっ、美子がっ…。
  お父さんと響君は?」
「お父さんもお兄ちゃんもいないの。」
「おばちゃんと一緒に行こ。」
「うん。」
光里は、震える千幸の手を握り、2人で家に向かった。
家-
「美子!
  真琴さん!
  響君!
   …いない。
   …っ!
  暗くて分からなかったけど、床に血がっ…!」
「おばちゃん、どうしたの?」
「千幸ちゃんは、ここで待ってて。」
光里は、重い地下扉を開けた。
テーブルに置いてあるランプを片手に持ち、下に続く階段を降りていった。
名前を呼んでも返事がなかった。
暗闇の中、彷徨いながら歩いて行くと、目の前には、3人の死体が転がっていた。
息を呑んだ。
何も声が出ず、その光景を眺めることで精一杯だった。
光里は、思考回路を変え、急いで村の住人達に助けを求めた。
忽ち、その事件は村中に知れ渡った。
「美子っ…!」
泣き崩れた光里を見たこの頃の千幸は、家族が殺されたことを理解していない。
軈て、日本中に報道され、『十七女村事件』と呼ばれ、歴史に刻まれたのだった。
それから、千幸はどうなったのか、知りたい?
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かりん
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