白と華と魔王と神と

アルマジロ@小説書いてます

青年期


「疾っ!」

吐き出した息と共に振り抜いた刀はまとめられた9本の鉄パイプをいとも容易く切り裂き宙へと弾き飛ばした。

宙に舞い上がったそれらはやがて勢いを失い乾いた音を立ててコンクリートの床へ落ちた。

人が居ないからだろうか。
コンクリートと鉄が接触した音はよく響いた。

ここは、鳳凰院流武術道場の地下。
何故だか知らないがコンクリートで作られた地下道場...というか地下修練所と言った方が正しいだろう。
だからこその広さと言うべき広さがある。
なのになぜ人が居ないのか。
それは先々代の鳳凰、まぁ俺のじいちゃんのじいちゃん(こないだ興味が湧いたので調べたらどうも高祖父というらしい)がここに入るためにアホみたいな条件を満たさなければならないとしたかららしい。
現状、入れてるのも俺を含め3人だけだしな。

その条件は

『斬鉄』

見ての通り、読んでの通り、「入りたけりゃ鉄を斬れ。」そう言ったらしい。
普通に鍛錬してて入れるやつなんてのは居ないだろうな。
よほどの天才でない限り。

俺?俺は地獄のような修練を積んでたらいつの間にか斬れるようになってたから知らん。

まぁ、そんなわけでここはいつも静かだから最近はずっとここで鍛錬をしてる。
じじいも歳で俺の相手ができないとなると誰一人として俺とまともに打ち合える奴が居ない。

まぁ、道場だけの話だが。
世界中探せばちょっとは居るんじゃないか?
俺と打ち合える奴。

明日で18の誕生日。
そこで俺は鳳凰を継承することになってる。
たしかじじいが第148代鳳凰だったから俺は149代目になるわけか。
......前から思ってたけど149ってなんなんだ。
どうしたらそうなる。
続きすぎだろ。創設何年前なんだよ。この道場。

そういえば18で継承は異例らしい。
知らんけど。

なんか考え事してたら萎えたな。
帰ろう。










「これ、苦しい。あと寒い」

「我慢しなさい。晴れ着なんだから。」

俺は今、袴姿である。
このあと行われる継承式で現代鳳凰から赤の羽織を受け取る。
それに合わせて俺が今着てる袴も似合うような色になってる。
それを着れば羽織袴の形になる。

正直めんどくさい。
あと、あの羽織は派手すぎる。
で、今は冬。アホみたいに寒い。
しかも継承式終了後は俺の正装はその袴になるわけで。
継いだら継いだで色んな行事に参加しなければならなかったり、よく分からん挨拶とかしなければならなかったりでほんとにめんどくさい。

はぁ、俺以外に継ぐやつなんでいねえんだよ。


「さぁ、白夜行ってらっしゃい?」

「はぁ...行ってくる」


「第149代 鳳凰継承者 朱槻 白夜が御出座されます」

司会進行役が俺の名前を呼んだので式場?へ入場する。
普段から付き合いのある人達が軒並み平伏しているので気分はあまりよろしくない。

このあとはたしかじじいに口上を述べ、羽織を受け取り、着れば終了だったはず。
はぁ、めんどくせぇ。


にしても色々あったなぁ。
今では俺一人で鍛錬するのが普通だし適当にやっても怒られることは無いし適当にやってるけど昔はほんとに地獄みたいな鍛錬が多かったからな。
だからこそここまで登りつめたって言うのも過言ではないだろうけど。
5歳児に岩を斬らせるとかほんとに鬼畜すぎね?
なんか、そう思うと腹立ってきたな。
ちなみに俺は刀以外もそれなりに使える。
刀が1番使ってるけど。
直剣も槍も弓も別に余裕で使える。
言ったら怒られそうだけどどんな大会に出ても全国優勝できる自信があるしな。

ぼーっと考え事してたらじじいが喋りだして継承式が始まった。

「汝、鳳凰たる覚悟はあるか」

「はい」

「ならば、その覚悟聞かせてみせよ」

「俺の道を邪魔するもの全て切り倒す。」

さすがに適当すぎたかな。
場内が少しざわついている。

「その心意気や良し!」

じじいはなんかニヤついていやがる。

「そ、それでは鳳凰の羽織の継承となります。」

世話係?の女の人達がじじいから羽織を脱がせ俺に着せた。


「ここに第148代 鳳凰が宣言する!これより朱槻 白夜が鳳凰である!」


ここに歴代最高の鳳凰が誕生した。


一応、継承式は無事に終わった。
これで俺は晴れてーー全然嬉しくないけれどーー現代鳳凰として鳳凰院流のトップに君臨するわけだ。
めんどくせぇ。
まぁ、継いじまったもんはしょうがねえしそれなりにやるとしますかね。


さて、帰って素振りでもすっか。

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今回で過去編は終了です!
変な終わり方ですいません...汗
色々な事情でここで終わりたいんです...
またそのうち続編やるんですけど...(多分)
そしたらなんでここで終わったか分かると思います...

ちなみに時系列としてはこの話の大体2ヶ月後にプロローグのつもりです。

次回からは本編に戻ります!

それでは!

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