最恐魔王の手さぐり建国ライフ!!〜政治に農業、時々戦争!?〜
第2話 宣戦布告
『やあ諸君。初めまして、私は魔王国ゾロ・アスト首領クリーク・O・ジークだ。以後よろしく頼むよ』
夜空に浮かぶ月に突然鎧姿に仮面をつけた人物が映り、喋りだす。
「何だ! 何が起こっている!?」
「分かりません! 現在解析班が調査中ですが一切不明だそうです!!」
突然の異常事態に世界中は混乱に陥った。
『突然の事態にさぞ驚いている事だろう。この場を借りて謝罪させてもらう」
仮面の人物は恐ろしい見た目に反して理性的に振舞う。
しかしそれは高い魔法能力だけでなく、高い知性も併せ持つという事。
各国の識者たちは仮面の人物の警戒レベルを上げる。
『さて本題だがまずは魔王国ゾロ・アスト建国の報告をさせてもらおう。我が国は魔人による魔人の為の国。人種宗教の区別なく、魔人であり我が国に敵対意識のない者であれば誰でも受け入れる。そして我が国の民になったものには恒久的な平和な暮らしを約束しよう』
「くそっ! 魔人を集めるつもりか!」
「そんなことしたら世界のパワーバランスが崩れるぞ!」
見ている人々は口々に怒号を飛ばす、しかしその言葉は彼に届かない。
『そして政府や組織に捕らわれている同胞たちよ。安心するがいい、自力で来れぬ者はこちらから迎えに行く。その時まで強く助けを祈っているがいい』
「馬鹿な……!! こいつ世界中に宣戦布告しやがった!!」
今や秘密裏に魔人を捕らえていない国や組織など存在しない。
ゆえにこの発言は全世界への宣戦布告と捉えられる。
『我が国は魔人への不当な暴力を決して許さぬ。痛みに怯え悲しみに沈む同胞たちを救えるのであれば私は喜んでこの手を血で染め上げよう』
そう語る仮面の人物はその顔のほとんどが隠れているのにも関わらず抑え切れぬ憤怒を感じさせ、見る者に畏怖の念を抱かせる。
「あぁ……何という慈悲深きお言葉……我らの命を預けるにふさわしき方だ」
放送を見ている魔人達が感嘆の声をあげる。
魔力を持たぬ者には恐ろしい魔王も魔人からしたら救世主だ。
虐げられ逃げまどい心のよりどころを無くした彼らにとってその言葉は神のお告げに匹敵するものだった。
『それではこれより入国希望者の回収を始める。希望する者は世界各国に散りばめた転移門を目指してくれ、強い魔力を発してるため諸君なら感じ取れるはずだ』
「なんという手際……! いったい何人で動いているんだ!?」
彼らは知らない恐るべき魔人が二人、この世界に生まれたことを。
『では次は我らの国で会おう愛すべき国民たちよ。待っているぞ』
その言葉を最後に月は元の姿に戻ったのだった。
◇
「ぶへぇ……緊張したぜ」
「なんと見事な演説!! わたくし感動でぐしょぐしょです!!」
「下品なのは好かんぞ」
「……しゅいません」
途端にしゅんとなるマーレ。かわいい。
「しかし本当に放送されてたのか?」
「はい。世界各地にいる分身体が確認済みです。現在日が出ている地方も夜になり次第放送されるはずです」
「そうか……では手はずの確認といこうか」
「はい」
マーレは懐よりなぜか眼鏡を出すと、それをかけ説明を始める。
…………眼鏡も悪くないな。
「これより800あります転移門を全て起動。戦闘力は低いですが無数に出せる私の分身体を転移先に配備。魔人達の誘導をします」
「うむ。よろしく頼むぞ」
「そしてジーク様の自動操作人形《ゴーレム》の内80名は 共感覚で助けを求めている魔人を見つけていただき直接乗り込み回収していただきます」
「今作戦のキモだな。俺たちに牙をむいた事後悔させてやる」
「残りの20名で魔道具の作成及び転移門に敵襲があった時の援護に来ていただきます。作戦としてはこれくらいでしょうか」
「実に見事。素晴らしいぞマーレ我が国の未来は安泰だな!」
「なんというもったいなきお言葉!! 光栄の極みです!!」
マーレは頬を紅潮させ跪く。
魔王っぽい振舞いも慣れたら楽しくなってきた。
もっともやってる相手がマーレしかいないので上手くいやれているかは分からんが。
「さて、時間が惜しいからさっさと始めるか」
俺は完成間近の城の前まで飛び、降り立つ。
そこに並ぶは昨日完成した800もの転移門。壮観だぜ。
「開け、虹彩放つ次元橋!!」
全ての門を開放する。
扉には虹色の光が溢れ、道が開通したことを教えてくれる。
「くくく、ようやくクソ虫どもを駆除出来るんだな。自分の身で出来ないのが残念だ」
自動操作人形《ゴーレム》と通信は出来るが感覚や記憶の共有はしてない。
その代わり自動操作人形《ゴーレム》を停止させたときに稼働していた時の記憶が俺の元に入ってくる仕組みだ。
「さあ! 祭りの開始だ! クソ虫の血を供物とし、我ら魔人の反撃の狼煙とする! 思い切り暴れてこい!!」
『オウ!!』
「ああ……素敵すぎます……この身この魂全てあなたの為に……!!」
こうして魔力大規模感染《マジカル・パンデミック》と同じく後世まで語り継がれる日。
血塗られた復讐劇が幕を開けたのだった。
夜空に浮かぶ月に突然鎧姿に仮面をつけた人物が映り、喋りだす。
「何だ! 何が起こっている!?」
「分かりません! 現在解析班が調査中ですが一切不明だそうです!!」
突然の異常事態に世界中は混乱に陥った。
『突然の事態にさぞ驚いている事だろう。この場を借りて謝罪させてもらう」
仮面の人物は恐ろしい見た目に反して理性的に振舞う。
しかしそれは高い魔法能力だけでなく、高い知性も併せ持つという事。
各国の識者たちは仮面の人物の警戒レベルを上げる。
『さて本題だがまずは魔王国ゾロ・アスト建国の報告をさせてもらおう。我が国は魔人による魔人の為の国。人種宗教の区別なく、魔人であり我が国に敵対意識のない者であれば誰でも受け入れる。そして我が国の民になったものには恒久的な平和な暮らしを約束しよう』
「くそっ! 魔人を集めるつもりか!」
「そんなことしたら世界のパワーバランスが崩れるぞ!」
見ている人々は口々に怒号を飛ばす、しかしその言葉は彼に届かない。
『そして政府や組織に捕らわれている同胞たちよ。安心するがいい、自力で来れぬ者はこちらから迎えに行く。その時まで強く助けを祈っているがいい』
「馬鹿な……!! こいつ世界中に宣戦布告しやがった!!」
今や秘密裏に魔人を捕らえていない国や組織など存在しない。
ゆえにこの発言は全世界への宣戦布告と捉えられる。
『我が国は魔人への不当な暴力を決して許さぬ。痛みに怯え悲しみに沈む同胞たちを救えるのであれば私は喜んでこの手を血で染め上げよう』
そう語る仮面の人物はその顔のほとんどが隠れているのにも関わらず抑え切れぬ憤怒を感じさせ、見る者に畏怖の念を抱かせる。
「あぁ……何という慈悲深きお言葉……我らの命を預けるにふさわしき方だ」
放送を見ている魔人達が感嘆の声をあげる。
魔力を持たぬ者には恐ろしい魔王も魔人からしたら救世主だ。
虐げられ逃げまどい心のよりどころを無くした彼らにとってその言葉は神のお告げに匹敵するものだった。
『それではこれより入国希望者の回収を始める。希望する者は世界各国に散りばめた転移門を目指してくれ、強い魔力を発してるため諸君なら感じ取れるはずだ』
「なんという手際……! いったい何人で動いているんだ!?」
彼らは知らない恐るべき魔人が二人、この世界に生まれたことを。
『では次は我らの国で会おう愛すべき国民たちよ。待っているぞ』
その言葉を最後に月は元の姿に戻ったのだった。
◇
「ぶへぇ……緊張したぜ」
「なんと見事な演説!! わたくし感動でぐしょぐしょです!!」
「下品なのは好かんぞ」
「……しゅいません」
途端にしゅんとなるマーレ。かわいい。
「しかし本当に放送されてたのか?」
「はい。世界各地にいる分身体が確認済みです。現在日が出ている地方も夜になり次第放送されるはずです」
「そうか……では手はずの確認といこうか」
「はい」
マーレは懐よりなぜか眼鏡を出すと、それをかけ説明を始める。
…………眼鏡も悪くないな。
「これより800あります転移門を全て起動。戦闘力は低いですが無数に出せる私の分身体を転移先に配備。魔人達の誘導をします」
「うむ。よろしく頼むぞ」
「そしてジーク様の自動操作人形《ゴーレム》の内80名は 共感覚で助けを求めている魔人を見つけていただき直接乗り込み回収していただきます」
「今作戦のキモだな。俺たちに牙をむいた事後悔させてやる」
「残りの20名で魔道具の作成及び転移門に敵襲があった時の援護に来ていただきます。作戦としてはこれくらいでしょうか」
「実に見事。素晴らしいぞマーレ我が国の未来は安泰だな!」
「なんというもったいなきお言葉!! 光栄の極みです!!」
マーレは頬を紅潮させ跪く。
魔王っぽい振舞いも慣れたら楽しくなってきた。
もっともやってる相手がマーレしかいないので上手くいやれているかは分からんが。
「さて、時間が惜しいからさっさと始めるか」
俺は完成間近の城の前まで飛び、降り立つ。
そこに並ぶは昨日完成した800もの転移門。壮観だぜ。
「開け、虹彩放つ次元橋!!」
全ての門を開放する。
扉には虹色の光が溢れ、道が開通したことを教えてくれる。
「くくく、ようやくクソ虫どもを駆除出来るんだな。自分の身で出来ないのが残念だ」
自動操作人形《ゴーレム》と通信は出来るが感覚や記憶の共有はしてない。
その代わり自動操作人形《ゴーレム》を停止させたときに稼働していた時の記憶が俺の元に入ってくる仕組みだ。
「さあ! 祭りの開始だ! クソ虫の血を供物とし、我ら魔人の反撃の狼煙とする! 思い切り暴れてこい!!」
『オウ!!』
「ああ……素敵すぎます……この身この魂全てあなたの為に……!!」
こうして魔力大規模感染《マジカル・パンデミック》と同じく後世まで語り継がれる日。
血塗られた復讐劇が幕を開けたのだった。
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