ネカマな回復職の物語

春乃秋

10.おめかしは女の必須条件!

更新大変遅くなりすいませんでした。





シュルツと別れた後何事もなく宿に着いた俺は女将に「夕飯はもうすぐ出来るから部屋で待ってな」と空腹を見抜かれ大人しく部屋に篭ってベットで転げている所だ。

「んあああー!!どうしよう、明日の貴族…」

宿という落ち着いた場所に帰った俺は半ば思いつきの様に要求した貴族とのコネクション作りに不安が急に込み上げてきた。

「はぁ…でも、貴族とコネを作ればお金、じゃなくて帰る為の方法が何か…」

思考の渦に引き込まれかけたその時ドアのノック音が部屋へと響く。

「ひゃい!!」

無理やり思考の渦から引き出された俺は驚いて声が裏返ってしまう。

「スーリア、夕飯が出来たから降りといで!」
「わ、わかりました!」

ノックの相手はどうやら女将で夕飯を知らせに来てくれた様だ。
短く返事を告げた後ドアの前にあった気配が消える。

「聞かれてない…よね?まぁ、いっか。今日の晩御飯なんだろー?」

独り言を聞かれていないか少し不安にもなったがそこは聞かれてしまった所で問題ないかと思い直し、俺はまだ見ぬ異世界の夕飯へとルンルン気分で降りていった。





拝啓、母上様いかがお過ごしでしょうか。
俺は今異世界で初めてこの世で1番不味いと思える物と出会いました。

「まっずぅ…」
「そんな事言ってないで食べ物はきちんと残さず食いな!」
「そうは言っても!これ!これ何なんです?!」
「これかい?これはセントルリアの種さ!肌が綺麗になる効果があって…まぁちょっと美味しくはないけど、とにかく残さず食べな!」
「今!今小声で美味しくないって言いましたよね?!」
「あー!もうごちゃごちゃうるさい子だね!そんなに言うならお代わりよそうよ!」
「…タベサセテイタダキマス」
「それでいいんだよ!全く。」

異世界の美味しい食べ物に出会えなかった事に絶望しつつ渋々漢方薬で作った薬膳よりも薬の様な味が広がる夕飯を食べ終えた。

「ごちそうさまでした。」
「あいよ。」
「…これほんとに美容に良いんですよね…?」
「もちろん!私を見てりゃわかるだろ?」

あっはっはっと笑う女将

「そ、そうですね。」
「そういや、あんた明日はどうすんだい?」
「ええと、ハルブルグさんに貴族を紹介していただけると…」
「はぁー…あのバカは…まぁいいさ。あんたなんだっていけ好かない貴族達に会いたいってのさ。黙ってたってあんたくらい美人ならそこいらの貴族に気に入られるなんて訳ないだろう?」
「んー…私が会いたいのはまともな・・・・貴族ですから。」
「…そうかい。それで?あんた明日の服は持ってんのかい?」
「それが…服は持っているんですけど、どういった服が良いのかわからなくて。」
「はぁ…なんだか一気に老け込んだ気がするよ。いいよ、こっちへ来な服を見せてごらん私が見てあげるよ。これでも昔は社交場の花だったんだ。」

!!  花…だと?!何処からどう見ても丸太なのに…?

「あんた今失礼な事考えてやしないかい?」
「い、いえ!何も考えて無いですよ!」
「ふん。まぁ信じられないだろうけどね。私だって昔はね。」

と、女将の自慢話をひとしきり聞いたあとアイテムボックスに仕舞っていたエヴォル産の衣装を1つずつ出していき、コーディネートをしてもらった。

「ま、こんなもんだね。」
「わぁ」

女将が出してきた姿見を見るとそこにはいつも見ているスーリアとは別の銀髪のお姫様が居た。

服は程よくあしらわれたフリル付きの淡い水色のワンピース。
胸元に白い薔薇のアクセサリー。
白い靴のパンプス。
髪は三つ編みを流してゆるふわ系の控えめに。

「素材がいいからあんまり服装は凝らなくっていいよ、ドレスコードも無いしね。」
「あ、ありがとうございます!これで明日恥を欠かずに済みそうです!」
「何言ってんだい!これから寝るのにそのままな訳ないだろ?」
「え?」
「何が、え?だ!あんたが覚えないと誰がやるんだい?」
「えええ!?」
「さぁ!夜は短いんださっさとやるよ!しっかり覚えるんだね!」

女将の剣幕に圧倒され実際覚えておいて損も無いかと思った俺はその後みっちりと叩き込まれ、フラフラになった後ベッドへと転がり眠りについた。






今回は会話多めの回になりました。
女将のキャラが個人的に好き過ぎて登場回数がスーリアの次に多いキャラになりました…。
誤字脱字あればご指摘下さい。

次回はリアルが落ち着き次第更新致します…。

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