ネカマな回復職の物語

春乃秋

8.伝説級と商談と。


「…いやぁ…失礼しました…」

そう言って仮眠室らしき場所へ運んでからしばらく経ったあと回復したハーヴイルがボソボソと呟く。

「まさか本当に倒れるほど仕事を振っていたとは、倒れるまで鑑定する物も無いと思っていたのだが…」
「…いえ…あれは伝説級レジェンダリーアイテムですよぉ…」
「…まさか冗談だよな?」
「…いやぁ…冗談だと私も思って鑑定をし直しても結果は変わらず…」
「そうか、ハーヴイルが言うなら間違いないのだろうな…」

やべぇ…ただの好奇心だったのに大変な事になってきたぞ、とりあえず同じ等級のは持ってない事にして出来る限りこれ以上の物は出さないようにしよう…。

俺がそっと臭いものに蓋をする様に現実から目を逸らそうとするも商人のハルブルグさんはしっかりと引き戻してくる。

「…スーリアさん、先程のピアスは?」
「えーと、その、なんとなくですけど大切な物だと思うんです」

よし、思い出の品だし嘘はついてない、大切と言えば売ってくれとも言われないだろう。

「そうかい、あれ程のアイテムともなればそうかもしれないね…。」
「…ところであれはどんなアイテムだったんだ?」
「…そうですねぇ〜…伝説級ともなると自分の鑑定スキルでは大まかにしかわかりませんが…魔力上昇系付与でしたねぇ…」
「魔力上昇系!流石に伝説級クラスとなると凄い付与だねぇ…。」

感心してるところごめんなハルブルグさん!
それ一応効果的にはハズレアイテムだわ!

「しかし生まれつき限界値が決まっている・・・・・・・・・・・・・・・魔力値を上昇させるなんて本当に凄い付与だねぇ…」

はい?
マジ?マジか。魔力値ってこの世界だと生まれつきでしか決まらないの?
育たないの?マジで?
え?俺ヤバくないか?
MPとかエヴォルの恐らく最大値だぞ?


「スーリアさん、難しいのはわかるんだが私にこれを売ってもらえないだろうか?」
「ひゃい?!」

突然槍が降ってくる程の衝撃に見舞われた俺は内心わたわたとしているところへ声をかけられ上ずってしまう。

「驚くのも無理はないね、しかしどうにか譲って貰えないかな。金額は言い値を払おう。」

ふむ、これはチャンスかな。
いつもの恩は売りつつも欲しい利益を回収するスタイルで行こう。

俺は形の整った眉を少し寄せてしばらく悩むフリをした後告げる。

「…お金は要りません。」
「それは…理由を聞こうかな?」
「はい、それは恐らく私にとって大切な物ですがハルブルグさんにはお世話になりましたし、私はお金よりも欲しいものがあります。」
「お金よりも欲しいもの…なるほど紹介状コネクションか」

そう言ってハルブルグさんの纏う雰囲気がいつものニコニコとしたおじさんの雰囲気から商人らしいピリピリとした雰囲気へと変わる。

「さて…それじゃあ具体的にはどんな紹介状が欲しいのかな?私にも出来ないこともあるからね。」
「私が欲しいのは誠実なまともな貴族との繋がりが欲しいです。」
「ふむ…貴族か…。私はあまり貴族との交流が無くてね…。」
「難しいでしょうか…?」

俺の問いかけにふむ…と呟くとハルブルグさんは少し目を伏せ考えこんでしまう。

なんだっけ、昔流行ったっていうファイナルアンサーとか言うクイズの回答者の気分が少しわかる気がする。

「スーリアさんなら問題ないか。」
「では!」
「ただし、少し条件があるんだ。」
「条件…ですか?」
「…そうだね。明日の昼指定したお店に行ってくれるかい?私が紹介出来る貴族の合格点が出れば会えるハズだよ。」

会うかどうかは相手次第って事か。
元々思い出ってだけのアイテムだし、仕方ないな。

「わかりました。それで大丈夫です。」
「よかったよ、じゃあ当日はここに来ておくれ。」

そう言ってハルブルグさんが店に印を付けた街の地図を手渡してくる。

「試す様な形で申し訳ないね、しかしあの人の立場上仕方ないんだ、許しておくれ」
「大丈夫ですよ、ではこれを。」

試されるとかホントはめっちゃ腹立つけどな!何様だよ!その貴族!

心の中で悪態をつきつつピアスをハルブルグさんへ手渡す。

「他には何かあるかい?」
「いいえ、時間も良い頃合ですのでこれで失礼しようかと思います。今日は色々とありがとうございました。」
「いやいや、こちらこそ。」
「では、失礼しました。ハルブルグさんに女神アレースの御加護を。」
「スーリアさんにも御加護を。」

お決まりのお礼をして店を後にする。

あー!!疲れた!こういう商談っぽいのってなんでこんなに肩が凝るんだろうな

俺はそんな事を思いつつ、明日の予定を纏めながら帰路についた。





なんとか水曜日更新出来ました…。
最近ブックマークしてくださったり、Twitterのフォローをしてくださる方が多く、とても嬉しい限りです。
今回はハルブルグさんと初の商談?を行いました。
次回は戦闘を盛り込みたいな…。

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