話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

偏食な子犬拾いました

伊吹咲夜

行く先はいずこ

 湯気の立ち昇るコーヒーをひと口啜ると大樹さんは小さく息をつくと、いつも以上に真面目な顔で僕に話し始めた。

「まず……真尋の現状について教えておこう」
「香西さん、どこに行ったんですか!? あんな起きてるのか分からない、ご飯だってちょっとしか食べられない身体なのに!?」
「まあ落ち着け」

 そう言って僕の分のマグカップを持ち上げグイと押しつけた。
 無言で『飲め』と命令され、言われるままにカップの中のカフェオレをひと口飲む。
 ほんのりどころでなく、ガッツリ甘い。
 分量を間違ったのかと思われたけど、見上げた大樹さんの表情は当然だと語っているから間違いではないのは確かだった。

「糖分摂って脳細胞活性させとけ」
「……甘すぎるんですが。で、香西さんは?」
「とある場所に移動させた。ちゃんと看護師も付けてるから、身体については問題ない」

 看護師の一言を聞いてほっと息をついた。
 なにせ僕一人では病院に連れて行くことはおろか、何か薬を飲ませた方がいいのかさえ分からなったから。
 適切な処置がされ、ちゃんと看て貰えている。それだけでも一安心だ。

「それで今どこにいるんですか?」
「とあるところ」
「それってどこです?」

 聞いても答えない。
 問い詰めようと口を開きかけると、大樹さんはそれを遮って話を続けた。

「今はまだ居場所を教えられない。コトが片付いたらちゃんとポチに教える。用事というのはポチの今後について話し合うためだ」
「今後……?」

 心臓がドキリと跳ね上がる。
 このままずっと平穏な、ついさっきまで香西さんの身体のことで不安な日々を過ごしてはいたが、三人での生活が続くと思っていた。
 それなのに……。

「俺の部屋はすでに解約の手続きを済ませてある。真尋の部屋もこれから解約の手続きを取ろうと思っている」
「え!? 解約!?」

 香西さんがいなくなったと思ったら今度は部屋の解約。
 頭が混乱してきたが、大樹さんの話はまだ始まったばかりだ。今後とは住まいだけの話じゃない筈だ。

「住まいのことも勿論だが、進路のことも決めないといけない。ポチ、いや、神崎 亮壱くん」
「!?」

 身元の分かるものなんて何も持たずに家出してきたのに、大樹さんはいつの間にかそれを調べ上げていた。
 多分名前だけじゃなく、僕の家のことも調べ上げたんだろう。
 案の定、大樹さんは家のことも持ちだしてきた。

「大手建設会社 神崎建設の跡取り息子である亮壱くんが家出した理由は色々あるだろうが、よくここまで隠し通せたと感心しているよ。で、通っていた高校は親御さんの世間体……っじゃなくて配慮で休学になっている」
「いいですよ言葉を選ばなくても。あの見栄っ張り達、僕のことより自分達のことしか考えてないのは事実うから」
「さすが実の息子、よく分かっていらっしゃる」

 いつもの悪戯っぽい笑顔を浮かべ、ひと口コーヒーを啜る。

「まあそんな訳でポチは……っと、亮壱くんは休学中」
「ポチでいいですよ。亮壱って言われると何か急に他人になった感じがする」

 もともと他人ではあるが、この半年近い日々で一緒に過ごした生活は、生まれてずっと一緒にいた筈の家族よりも家族のように感じていた。

「それでポチはどうする? 家に帰るか、どこかに行くか」
「……一緒に行くという選択肢はないんですか」
「ないな」

 即答で切られる。
 大樹さんは僕の答えを予め分かっていたんだろう、じっと目を見つめ淡々と言う。

「勝手についてくるのもなしだ。ま、ポチなんて軽く撒けるけどな」
「ひでぇ」
「もう少し真尋が落ち着くまで会わせる気もしない。そしてこれを機に、ポチには『自分』というものを探して貰いたい」
「自分?」

 大樹さんの言っている意味がよく分からない。
 僕は僕で誰でもないし、ちゃんと『僕』として生きている。

「僕は僕として生きてます。自分で考えて行動してます」
「それは組み立てられた生活のなかで、だろう。真尋が与えた仕事に、俺が言い渡した雑用。その中でどうやって動けばいいか考えて生きているだけだ」
「それは僕でないと?」
「それもまたポチだ」

 ますます分からない。大樹さんは何が言いたいんだ?

「ポチは何がしたい。どう生きたい」
「何って……。香西さんの料理教室を手伝って、二人の足手まといにならないように仕事を覚えられればって……」
「じゃあ俺らがポチの前から消える今、それらは叶わなくなるがどうするんだ?」

 どうする?
 そこで大樹さんが最初に与えた選択肢が頭に過った。
 家に戻るか、このまま彷徨うか。

 家を出たのはあの家が嫌だったから。
 全て放任なくせして、僕の学校のことや世間体を気にする。
 食事だって家政婦に任せきりで、作ってもらった記憶なんて無いに等しい。
 その家政婦の料理も壊滅的だったが……。

「家には戻りたくない」
「ではここを出たらまた別な居候先を見つけて転がり込むのか」
「転がり込む……」

 香西さんに拾われてそのまま居ついてしまったが、大樹さん的には僕は転がり込んできたという存在だったらしい。

 家には帰りたくないが、他に行く場所もない。
 大樹さんの知り合いを紹介してもらって……とも思ったが、最初に診て貰った女医さんもかなり曲者っぽかったし、そこから考えると他の知り合いも曲者かもしれない。
 転がり込んで、もとい居候して変なこと手伝わされたりしないしないかという心配もあるが、性的に何かされそうな予感すらする。

「どっちも無理かも」
「そこで『何がしたい』が持ち上がる。家にも帰りたくない、どこにも転がり込みたくない。では『何がしたい』」
「何が……?」
「近い将来でもいい、遠い未来でもいい。どこかに行ってみたい、何かの職業に就きたい。そんな夢はないのか」

 夢、と言われたがそんなものパッとすぐには浮かばない。
 物心ついた辺りから親の命令の元に生き、歯向かうと厳しく『躾け』される。歯向かい『躾け』されるのが嫌で、自分で考えることを止めた。
 そんなガチガチの生活が嫌だと感じたのが高校に入ってから。
 何とかこの家から逃れようとあれこれ行動し、ようやく成功したのがこの半年前。
 なので『夢』である家から逃れるということはもう実現されたわけだが……。

「振り出しに戻されようとしている現状で、すぐにどうこうしたいってのが出てこない……」
「就きたい仕事もないのか」
「……親の会社でなければどこでもいい」

 本音を言えば大樹さんの会社で働きたい。
 ただそれは言う前から即断されるのは分かっている。

「俺が『娼夫になれ』と言えばそれに就くのか? ポチは自分で考えず流されて生きて、それでいいのか?」

 いいような、悪いような。
 でも何もやりたいことがないのだから、それも仕方がないと思えてくる。

「俺がポチの未来図を予想してやる。家に戻って休学中の高校を卒業して、親の決める大学に入って、親の会社で働いて一生を終えるだろう」
「そんな……」
「それが流されていいという考えの行きつく先だ」
「……」

 嘘だ、と言いたかったが、このまま何もやりたい事もないまま大樹さんに突き放されてしまったら家に戻るしかなくなる。
 また放浪するにしても『食事』の美味しさと温かさを知ってしまった今、独りでコンビニ飯やファストフードのみで生活するのは辛い。

「何も意見がないようならば、ポチの家に連絡して迎えに来て貰う」

 懐からスマホを取り出すと、既に調べていたのだろう、画面を操作して電話をかけようとしている。

「待って! 今日一日だけ待って!」

 がしっと大樹さんのスマホを押え、電話を掛けるのを止めて願った。

 指を止めて僕の顔をじっと見て何やら考えると、一呼吸置いてから口を開いた。

「本当に今日一日だけだな? そこで結論が出なかったら強制的に実家に電話してここから追い出す。それでいいな」

 大きく頷くと、大樹さんは僕が押さえているスマホを取り上げ、あれこれ操作し始めた。

「ここでポチの結論待ちをするのは時間の無駄になるから、俺は夜まで出掛けてくる」
「え!? 出掛けてそのまま帰ってこないつもりじゃ……」
「信用ないな。ま、信用なくすことしたんだから仕方がないが」

 大樹さんは苦笑し、僕の頭をポンポンと叩くと『あとでな』と手を振ってリビングから出ていった。

「はー……。夜までは何とか時間が貰えた」

 一先ず安心といえば安心だが、問題はここから。
 この先どうするか。どこに住んで、何をしていくべきか。

「ここを出なくてはいけないのは確か。出て、どうするか」

 自宅に戻らないならば、新しい住処が必要になる。
 大樹さんの知り合いは頼れない。自分で家を借りるにはお金も保証人もいない。
 ましてや未成年、あれこれと規制がついて回る。

「この規制だらけの中で、自分の進路を決めなきゃいけないのか……」

 家に戻らずかつ普通の生活を送る。難しい問題だ。

「あぁ~。こんなとき香西さんがいれば大樹さんと僕との間に立って、いいアイディアをくれるのに」

『まぁ二人とも一回この話題から離れよう。新作のケーキ焼いてみたんだけど、食べて感想聞かせてくれない?』

 そんなセリフと共に三人分のコーヒーとお菓子を持って現れ、煮詰まった頭をリセットさせてくれるに違いない。
 甘いケーキと苦いコーヒーが肩から力を抜いてくれるだろう。
 コーヒーを飲みながらの雑談は、自然と香西さんを交えた三人での話し合いへと移り変わる。
 ギスギスした話し合いではなく、僕と大樹さんの意見を聞き入れた香西さんが妥協案を出す、といった感じの話し合い。

「……香西さんのケーキが食べたい」

 こんな想像をしてしまったせいで、前に作ってもらったモッチモチの優しい甘さのマーラーカオが脳裏に甦る。
 こうなるともう口の中は香西さんが作ったマーラーカオを求めて止まない。

「余計なことまで思い出してしまった。自分で作れれば今すぐ作って食べれたのになぁ」

 お粥だってそうだ。香西さんという先生がいながら何かを教わるどころか、作ったものをケチつける悪行まで行っている。
 こんなことになるならば、アシスタントだけじゃなくてちゃんと料理を習っておくんだったと後悔しかない。

「料理……」

 家を出る間接的な原因も、偏見を持っていたものから偏見を取り除いたのも、頑なだった心をほぐしてくれたのも全部料理のおかげだ。
 料理が、僕の全てを繋いでいた。

「あぁ、何で気付かなかったんだろう……」

 家から逃げることばかりに優先度がいってしまって、考えが及ばなかった。
 将来の道への光一本をを香西さんと大樹さんは照らしてくれていたんだ。

「今度は逃げない」

 香西さんも大樹さんも過去のしがらみや不遇から逃げることなくここまでやってきている。
 香西さんには大樹さんがいて、大樹さんには香西さんがいる。
 過去の僕には支えになる人は誰もいなかったが、今は香西さんも大樹さんもいる。



「結論は出たか?」

 夜もかなり遅くなってから大樹さんはマンションに帰ってきた。
 かなり動きまわっていたのか疲れのいろを浮かべていたが、改めて僕に向かって真摯に話しかけた。
 大きく頷くと、自分の考えがをちゃんと伝わって欲しいという思いを込めて大樹さんの目を見て話した。

「家には戻りません。でも、高校はちゃんと卒業します」
「ほう? ここは引き払うのに、どうやって通うんだ? 野宿でもしながらか?」

 些か挑発的な言い方の大樹さんに怯まず、僕は僕の考えを続けた。

「僕ひとりではどうにもなりません。高校だって授業料がかかる。それで、大樹さんにお願いがあるんです」
「友達も知り合いも紹介しないぞ。そいつらの玩具になる覚悟だというなら別だが」
「違います。大樹さんに保証人になってもらいたいんです。あと家賃や授業料を貸してください。必ず返します」

 そう、僕の出した結論は一人暮らしをして高校を出る。
 おぶさるのではなく、自力でやっていくために補助してもらう。そう考えたんだ。

「返せる保証なんてあるのか?」
「今は確実な保証はないけれども、絶対に返します。お願いします」
「高校を出たその先はどうするんだ。あの進学校で就職を希望する者はいないから、求人なんてきてない筈だぞ。自力で探すのか?」
「卒業したら……専門学校へ行こうと思います。奨学金を借りて。無事卒業出来たらどこかで働いて、少しずつ返していこうかと……」

 この一言を聞いて、ポーカーフェイスの目に一瞬光が走った。
 驚きというか感心というか、そんな感じの光。

「調理師の専門学校に行って、香西さんみたいな料理人になりたいんです。僕が普通の人っぽくなれたのも香西さんの料理があったから。だったら僕も同じような料理を作れる人間になりたいって」
「ちゃんと普通の人と違う自覚はあったのか。なのに頑なだったよなポチ。全部拒絶するんだもんな」
「そ、それは……」
「まあ冗談はさておき、よく短時間でここまで考えたなポチ」

 ポーカーフェイスを解いた優しい笑顔で頭を撫でる。
 いつもみたいにぐしゃぐしゃにはしないで、そっと撫でる感じで数回撫でると、ビジネスバッグから茶封筒を数枚取り出した。

「さて、そんなポチくんにはご褒美です」

 開けてみろ、と封筒を差し出されたので一番上の封筒の中身を取り出す。

「これって……」
「ポチの高校近くのアパート。築年数は古いがリフォーム済みでかなり綺麗だ。ワンルームだが不便はないはずだ」

 アパートの外観と間取りが印刷された紙と契約済みの書類のコピー。居住者は僕で保証人・支払いは大樹さんになっている。
 ご丁寧に住所と連絡先を黒く塗りつぶした状態で。

 残りの封筒には専門学校のパンフレット。
 国内でも有名な調理師専門学校のものが三校、そして何故かコンピュータ系の専門学校が二校。

「……大樹さん、最初からこうなるって分かってました?」
「まあある程度はな。ただ、調理師かプログラム系かどっちを選ぶのかが読めなかった」
「いや、どうしてプログラムが出てくるのかが謎なんですが」
「前に俺の仕事部屋に入った時に、かなり興味津々でプログラムの本見てたからさ。やりたいのかなーって」
「……面白そうではありましたけど、僕の頭では無理です」

 無理と言ってはみたが、やって出来なくもない。興味もある。
 ただあの限られた時間のなかで浮かんだのが香西さんのことであり、その料理を食べて笑顔になっている大樹さんや教室の受講者の人々の顔だっただけ。
 こうやって最初からパンフレットを渡されたら、迷った挙句選んだ可能性だってある。

「で、金の話なんだが」
「ぜーったい返します! 何があっても返します! なので授業料と光熱費、あと食費……あぁ!? スマホもなのか!? 今は香西さんの口座から引き落とされてるんだっけ!?」
「ちょっと落ち着け」

 ワーワーと騒ぐ僕の口に何かが押し込まれる。
 甘い香りと柔らかい口当たり。

「?」
「俺のお気に入りのパン屋のアンパンだ。それ食って落ち着いて話の続きを聞け」

 どこから出したんだ? と大樹さんの後ろを見るとビジネスバッグの陰にパン屋のロゴの入った袋。
 かなり買い込んであるっぽく大きいビニール袋が膨れ上がっている。

「まず高校の授業料だが、ポチに支払い義務はない。親には養育の義務ってのが存在してね、未成年者は親が面倒みなくてはいけないんだ。なので授業料・生活費はポチの親が払う」
「え!? 大樹さん、実家に行ったんですか!?」
「行かなきゃ手続きが出来ないだろう」

 大樹さんは飄々と言っているが、あの曲者の親と会えたのも凄いが話し合いを持てたという事実も凄い。

「よくあの親が折れましたね」
「なに、ちょっと『知ってる』ことを話したら快く承諾してくれたよ。ただ一人暮らしに関しては最後まで譲らなかったなぁ」
「……」
「ま、手土産で持っていった『菓子折り』を出したら婿にくれるとまで言ってくれたよ。なので有難く誓約書にさせて貰った。ポチくんは晴れて俺のもの」
「えええーー!! ちょ、だって、いや、大樹さんには香西さんが……。えええ!?」

 進路の話から急に婿入りに変わって頭が混乱する。
 確かに大樹さんはソッチの人だけど、相思相愛のラブラブな香西さんという恋人がいて……。
 同性婚は現法律で認められてはいるが、それでは香西さんの立場は……。

「俺のものになったポチくん、これからは誰に縛られることなく自分の思う道に進むがいい。挫折してもいい、自分が後悔しないように歩くといい」

 僕が混乱してるのを面白そうに声を立てて一通り笑うと、ビジネスバッグを持ち上げ立ち上がった。

「大樹さん……?」
「戸籍とか関係なく、ポチは俺と真尋の家族だ。そういった意味でポチは『俺のもの』。あ、パンは全部食っていいからな」
「もう行くんですか!? まだ僕、言いたい事全部言ってません!」
「聞いてやりたいけど、真尋が待ってるからな。愚痴ならまとめてラインで聞いてやる」

 じゃあな、と片手を上げ、僕に進路を考えさせるときと同じようにまたフラっと帰ってきそうな軽いノリで部屋を出ていった。
 残されたのはアパートの契約書の写しと専門学校のパンフレットとパン。
 パンは予想よりもいっぱい入っており、賞味期限内で食べきれるか心配になってしまった。

「……? 手紙?」

 パンの袋の中にひっそりと白い封筒が入っていた。
 封を破って中を見ると、端整な字が姿を現した。

『ポチへ

 勝手に姿を消したあげく、また真尋を連れて姿を消すことになって申し訳ないとは思っている。
 だがもう二度と会えない訳ではないし、連絡がつかない状態にはしない。
 真尋の状態が良くなって、ポチが立派な大人に成長したらまた会おう。
 遠くない未来、三人が笑顔で再会できる日を楽しみに待っている。

 追伸 カレーパンが絶品』

 最後の追伸は必要だったのか不明だが、また会えなくて不安になる日は訪れないという安心だけは得られた。
 昔の僕ならこんな紙切れ一枚では信用しなかったが、辛辣なことをいいつつも僕のことを考えて行動してきてくれた大樹さんの手書きの言葉だから信用できる。
 なにより、ちゃんと言葉で僕のことを『家族』と言ってくれたから。

 いつとは明言されていない『遠くない未来』。
 高校を卒業してからなのか、それとも専門学校を卒業して働き始めてからなのか。
 きっと必死に学び、香西さんに近づこうとあがいているうちに、あっという間にその日はきてしまうんだろうと思う。

「あの追伸、ホント意味不明なんだけど」

 確かに袋にはカレーパンがひとつ入っている。絶品というからには相当美味しいんだろう。
 揚げパンだから日持ちもしないだろう、と早速ひと口頬張る。

「!?」

 旨い、と感じてすぐに襲ってくる痛み。
 辛いのを通り越して痛い、激辛カレーパン。

「最後の最後でやられた……」

 辛さからなのか、カレーパンを噛みしめる僕の目頭は段々と熱くなっていた。

「偏食な子犬拾いました」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「その他」の人気作品

コメント

コメントを書く