きみのその手はやさしい手

芦屋めがね

第34話

「正直言うと、誘拐なんて下策をとるとは思わなかったの……連絡を受ける前までは。ただ、何かをやらかすという予感はしてた。当真晶子を裏で操る人物の性格からいえばね」

「どこのどいつだ? と言っても当主候補の誰かだろうけど……」

「えぇ。でもおじ様が空也達を紹介したのとは別の人物。空也達と打ち合わせた当主候補は今回の誘拐を企てた責任から候補者レースから辞退した──させられたという方が正しいわね」

「……そうなるように仕組んだと? その別の当主候補とやらが」

「さっき言ったでしょ? 『連絡を受ける前までは』と。わざわざ天之宮を敵に回す意味なんてない。だから誘拐なんて考え、真っ先に排除したわ。けれど結果を見れば、候補が一人脱落した──仕組んだとしか思えない。牽制する目的で渋々実家に戻ったのも、事前に戻るタイミングを実家に伝えて当真晶子を泳がせたのも、泳がせた世間知らずのお目付け役に空也達を潜り込ませたのも、全て無意味。私も含めて“あの女”の手のひらの上で踊っているにすぎなかった」

 奇しくも俺が瞳子に感じていた事を瞳子が感じる相手。脳裏で俺が瞳子にやり込められている図を想像し、そこから俺を瞳子に、瞳子を顔の見えない女の影に組み替えてみる。

「(……うまくいかんな)」

 想像での事とはいえ、瞳子が後手後手に回る姿がどうにも浮かんでこない。そもそも俺と瞳子は命の遣り取りをしても、その関係が憎しみ合っているというわけではない。そこもうまくイメージ出来ない要因の一つなのだと思う。実際の所、当主候補という立場同士、その辺りはどうなのか。

「──ただの敵よ」

 俺の質問に感情を込めず、そう答える。目的の為に競い合える好敵手ではなく、宿命にも似た相性の悪さで繋がる天敵でもない。そこに好悪はなく、目的に邪魔だから排除する。それ故のただの敵──心の底から含みを持たさずそう断じた瞳子に『殺刃』を向けられた時とは別種の寒気を覚える。

「……ただの敵と言われてもわかんねぇよ。もう少し詳しく頼む」

「年齢は23、女」

「いや、だから……23ってことは、俺らの二つ上か。心当たりがないな」

「月ケ丘──私達とは別の高校出身だから無理もないわ。当時の序列一位で二つ名は『絶槍』。私と同じく殺意や狂気を刃に形作り、対象を切り伏せる。……彼女の得物である薙刀に変えて」

「それって……」

「当真晶子が使ってみせたそうね。報告を聞いて驚いた」

 空になっていた杯にワインをなみなみと注いでいく瞳子。その頬には赤みがわずかに走るが、酔った様子は見られない。報告を聞いて驚いたというのが信じられない位、平静に見える。そして俺も驚きはしない。使った所を見ていたのが俺と会長しかいないはずなのに、いつ、どこで知り得たのかなど。

 それはともかく、当真晶子の生み出した殺意の形が薙刀だった理由が分かったような気がする。あの時、口にした“姉上”という単語の意味も。そこに根差した感情がなんなのかも。

「当真晶子はそいつの妹だったのか?」

「思い当たる節があるのね、その通りよ。当真晶子の実の姉であり、生徒会長に据えた張本人であり、おそらくコンプレックスの対象」

「おそらくじゃない。本人が思いきり意識してた。まぁ、殺意の形が姉と同じ薙刀の形だったという時点でわかるようなもんだけどな」

「えぇ。でも当真晶子がどう思っていたのかはこの際どうでもいいの。問題なのは当真晶子が異能を使えたという事実の方よ」

「……使えなかったのか?」

「使えなかったのよ」

「当真晶子の晶は水晶だろ? なら目に関係するはずなんじゃ……」

 たしか目の一部にそんな感じの名前があった気がする。初顔合わせでは特に気にしなかったが、後で異能が使えると判明した時には納得すると同時に思い至らない事に自己嫌悪すら感じた。ここで使えなかったと言われても混乱するだけである。

「水晶体だからって事? いくら当真の異能持ちが目に関する名を与えられると言ってもそこまで回りくどくないわよ。それがありなら虹彩の虹や彩をつけても問題ない事になるでしょ。その目に宿る異能への畏敬を表す為にも名付けに妥協はないの。当真の女の中では“目”をそのまま名前に組み込まれるなんて珍しくない話よ。そういう意味では私の名前が“瞳子”でよかったとしみじみ思う。……これでも、一応女ですもの」

 冗談めかしているが、心の底からホッとした様子の瞳子。当真晶子の“姉”の存在を語った時の危うさが薄れ、普段の調子が戻ってきた事にこちらも安心する。……それはそれとして──

「(──なぜか、瞳子の話が妙に引っ掛かるんだよなぁ……どこかかはわからんけど)」

 差し障りがないようでいて、すごく重要な事を見逃している。そんな気さえするが正体が掴めない。いや、たしかどこかで──

「──すけ! 優之助!」

「お! おう!」

「だから、当真晶子に異能を使ったのが問題だと言ったのよ! 話聞いてなかったの!?」

 気が付くと目の前には瞳子の顔。考えに没頭し過ぎて俯きがちだった俺を覗き込むような恰好の──つか、近い! 近い!

「まったく! 真面目に聞く気があるの?」

「いや、悪かった。少し考え事してたんだ」

「考え事?」

「あぁ──いや、なんでもない。続けよう」

 喉に出かかったものが急に消え去る感覚。さっきのドタバタの影響で何にこだわっていたのかが思い出せない。そもそも思い出せないから無い頭を捻って唸っていたわけで、気が削がれ萎えてしまった今では、そこまでこだわる理由もない。本来の会話を戻すべく、瞳子を促す。

「そうね。……と言っても後は結論しか残っていない。“あの女”にはとても厄介な協力者がいる。下手をすれば、当真や時宮、ひいては異能者の存在に致命的な切っ掛けになり得るほどの、ね」

「……また、随分と大きく出たな」

「あら、この期に及んで、状況を理解していないのかしら? それとも日和った?」

「辛辣だな。ヤバいのは分かるし、組む相手を選り好みできる立場でもないのは承知しているさ。それにしても存在するとは驚きだな。“異能を生み出し、与える”異能者なんてものが」

 前提として異能は後天的に手に入る代物ではなく、誤解を与えるの承知で例えるなら“才能”もしくは人が本来持つはずのない“器官”を指す。

 異能を覚醒させる時期に若干個人差はあるが、大抵物心がつく前後(もしかすると自我の目覚めそのものが引き金かもしれない)、異能者であると自分や周囲は嫌でも理解する。常識や理性によるストッパーがない幼児期に異能を使わないという選択肢はなく、ただ“出来る事”、“あるもの”として──力の加減を知らないまま遊ぶように──発現させてしまうからだ。例外はない。

 まして異能者を率いる立場にある当真家が身内の異能に気づかないはずはなく、当真晶子に異能がないと身内である瞳子が言うのなら間違いはない。時宮高校の生徒会長でありながら、現役の序列持ちを連れてこれなかったのも道理だ。人望もそうだが、それ以上に実力──異能者を認めさせるだけの力──がなかったからだろう。少なくとも、ほんの最近までは。

 そうなると高校生になるまで一度も異能を発現する事なく、また当真家すら気づかない可能性よりも、学園ここに来る前に異能が"偶然"開花する確率よりも、現実味があるのだ──前代未聞だが、“異能を生み出し、与える”異能者がいると言う方が。

「……まだ存在していると決まったわけではないわ」

「だが確信している、だろ? 俺も“いる”と考えていいと思う」

 そもそも結論として存在を示唆したのは瞳子だ。今更はぐらかすのは性格が悪い。はぐらかすと言えば──

「──いつまで“あの女”だと会話に困るんだが……。そんな勿体ぶるもんでもないだろ?」

 勿体ぶるというより、台所に潜んでいそうな黒いのを“あれ”呼ばわりするのと同じ気がするが、指摘するのが怖い。

「ややこしいのよ、名前が。“あの女”も“とうこ”だから──当真瞳呼。“瞳”に点呼の“呼”で瞳呼。瞳を呼ぶって名前的にどうなのかしらね」

 酒気を帯びた吐息と共に不自然に明るく言う。そして思い出したようにワインを注ぎ、間をおかず流し込んでいく。

「瞳が呼ぶのかもしれないだろ。……それが何かは知らんけど」

「かもね」

 瞳子は俺の戯言を流さない。気だるげに傾げた首から上はすでに出来上がったと一目でわかるほど赤いが、視線は俺をしっかりと捉えている。少なくとも俺の戯言を戯言とは受け取っていないらしい。

「異能の発現は生まれてから間もなく。その際、生み出した凶器で家政婦や親族数人が斬られたそうよ。幸い死人は出なかったけど、後の調査で半径30m範囲内の全てが対象に入っていた事が分かった──隣にいた父親と別の部屋で控えていた警護役を除いて」

「防ぐかかわすかして無傷だったからカウントしなかったんじゃなくてか?」

「父親と警護役には見向きもしなかったそうよ。それ以外には恐ろしいほどの精度と執拗さで攻撃されていった。死人が出なかったのは警護役が赤子を誰もいない射程外まで連れていく判断を即座に下したからであって、放っておけば間違いなく殺されていたでしょうね──母親を含めた異能を持たない人達が」

「それって、つまり──」

 知らず固くなった俺の声を引き継ぐように瞳子が言葉を紡ぐ。

「──そう、当真瞳呼は異能者しか人と認めていない、根っからの差別主義者よ。そんな女が異能を生み出す異能者と結びついて、当真の権力を得ようとしている。私はあなたの戯言を笑い話にできない。あの女は災いを呼ぶ──冗談ではなく、異能者と人との抗争が始まってもおかしくないのだから」

「……なんでそんな危ない女が当主候補に入ってんだよ」

「そんなの普段は隠しているからに決まってるじゃない。そうでなければ、いくら当真家から異能者が年々減ってきても候補に据えないわよ。あの女の本性に気づいてるのは私を含めて数人。その数人であの女が当主候補になれないよう動いてきたけど失敗」

「現在も着々と目的に近づいてきているというわけか」

 内容の深刻さからすれば、陳腐な台詞を瞳子は窘めずにそうね、と一言。口寂しいのか、新たなスナック菓子を開封して摘まんでいく。

「今回の誘拐未遂によるお咎めはないのか? うまく関与を隠したとしても、当真晶子の実の姉には違いないんだ。お前ならいくらでもつつきようがあったんじゃねぇの?」

「別居していて交流がないのよ。おそらく父親が当真晶子の身を案じて、そうさせたのでしょう。血縁や法的には姉妹でも実質ほぼ他人ね、あれは。その上、わざわざ妹の不始末は自分の責任だから何らかの処分を下せ、と自分から言ったそうよ。結果として、一ヶ月の自宅謹慎で手打ちになった。もうその方面では手の打ちようもないわ」

 酔いが回ったのか、手打ちだけにね、などといらん締めをのたまう瞳子に軽くイラッとする。

「……他の候補者はどうなんだ? そっちはまともなら協力できるだろ」

「難しいわね。今の所、候補は私を含めて5人。一人は当然、“あの女”」

 結局、“あの女”で話が進んでしまうな。同じ“とうこ”読みではややこしいので仕方がない。敵対する相手が同名だと録音した自分の声を聞くよりも嫌だろうな、と妙に想像してしまう。

「私と同い年の当真がいは序列持ちで“あの女”と同じ月ケ丘出身で比較的近い立ち位置だけど、こちらは一般人とどうこうするような性格ではないわ。……隠れて付き合っている彼女も異能者ではないし。でもそこそこ近くにいるはずなのに“あの女”の本性に気づいてないからあてには出来ない。下手をすれば、敵が増えるだけでしょうね」

 さすがは瞳子。対立候補のゴシップくらい当たり前に掴んでやがる。

「最年少の十五歳で候補になったのが、当真めい。……この子も無視でいいわ。両親が捻じ込んできただけだもの。異能はあるけど、それ以上にやる気がない。およそ人の上に立つ器ではないわ。姉を見返したい一心で動いた分だけ、ある意味、当真晶子の方がマシね」

 どこでも迷惑な親っているもんだな。つき合わされた娘からすれば勘弁してほしいだろうに。……いない所でこき下ろされているしな。

「反対に最年長が二十七歳の当真睛明せいめい。異能のみで言うなら私や“あの女”よりはるかに格上──当真の歴史上最高の異能者の名を与えられるほどの使い手よ。実務の面でも現当主補佐と時宮の異能者を外部に派遣する取り纏め役を兼任するほどの優秀な人物でもあるわ」

 異能の発現はおおよそ物心がつく前が大半。逆に言えば、生まれてからすぐ判明するとは限らない。他はともかく当真家では異能の発現が確認できた時点で目に関する字が入った名前に改名する事になっている(法的にも改名するという徹底ぶり)。その中でも優秀な先祖の名の襲名を許されるというのは文句なしの評価だという事。わずかな会話の中からでも二つ三つは皮肉か酷評が混じる瞳子の人物評ですら手放しの評価だ。そんな人物なら当主になってもらった方がいいだろうと思うのだが、やはりそう旨い話はないわけで──

「──ただし、能力とは反比例して体が弱く病に伏せる事も多いのが唯一にして最大の難点。せめて人並みに健康だったなら、彼に当主を任せて私が補佐に回ってもよかったんだけどね。人格的にも優れているから現場や当主からの強い推薦で候補には上がったけど、実現は無理でしょう。“あの女”の本性に気づいている一人で一応は協力関係にあるけど実務が忙しくて手が回らないというのが実状よ。おそらく“あの女”がそう仕向けていると考えて間違いないわ」

「結局、瞳子が当主を目指すのが一番という事か。最良なのか、マシなのかはともかくとして」

「そうよ。最低でも私がなるしかないの。異能者を率いる者を選ぶはずなのにこうも選び甲斐がないと異能者達の未来は暗いわね。……そんな人材不足から選ばれた私だからこの先が不安で不安で。とりあえずあなたの給与の振込を忘れそうで気が気じゃないわ」

「回りくどいキレ方すんなよ。……んで、どうするんだ? これから先」

「今まで同じよ。この学園で生徒として過ごす。あなたはとりあえずハルとカナと仲直りする事でも考えていればいいんじゃない? それがあなたの目的でしょ」

 そう言った瞳子の眼差しは餅を頬張っていた時のように柔らかくて、その視線に晒される側の俺はこそばゆく感じる。ついさっきまで異能者の行く末に関わるかなり深刻な話をしていて、今もその先の舵取りを語っているはずだった。……それがいつの間にか家族の仲直りを気遣われている構図へとシフトしているのか首を傾げたくなる。

「それでいいのか?」

「それでいいのよ。当主交代の件は昨日今日始まった話ではないし、あなたに仕事を依頼したのだって家族の仲直りそれくらい折り込み済みで決めたもの。もっと言うならあなたにした資金援助だって返さなくていいものを返す為に仕事を受けたから巻き込まれたわけで、巻き込んだ私が言う事でもないでしょうけど本来気に掛けなくていい話なのよ」

「たしかにきっかけはハルとカナが心配だったからだし、援助してもらった分を返したい気持ちはあった。正直、お前に振り回されるのを想像すると義理はあっても二の足は踏みたくなる。けれど、受けないという選択肢などなかったし、これから先、知らん顔して降りる事もない。まぁ、要するに手伝える事があるなら言えって話だ」

 今、俺がハルとカナに向き合おうと踏み出せたのは瞳子のおかげと言っても過言ではない。……いや、その事がなくても助けたいから動く、そう決めたのだから。


      *


「──まぁ、要するに手伝える事があるなら言えって話だ」

「(……半月前とは大違いね)」

 気負いも衒いもなく"全力で関わる"と宣言する優之助。そこには耳障りのいい理由を探して動けなかった姿はなく、ただまっすぐに自分の想いを形にしようという姿勢が見える。

「安請け合いもほどほどにしないと、またいらない苦労を背負って振り回される事になるわよ」

「その苦労させられる元凶の大半を占めていた奴が言うと妙に説得力があるな。……ま、ほどほどに、な」

「馬鹿ね。……本当に」

 今まで散々な目に遭わされた相手にそんな事を躊躇いなく言えるのだから、私もそう言うしかない。伊達や酔狂ではなく、破滅願望のかけらすら見せない、なのに自ら望んで困難な道をわざわざ選んで歩くのだ。これ以上、この男を表現する言葉は思いつきそうにもない。

 それならば、私も手加減はしない。散々迷惑を掛けて困らせてやろうと"改めて"思う。差し当たっては遠慮していた餅の量から始めるとしよう。正直、一袋じゃ足りない。……優之助も食べている事だし。"あの女"についても気にする必要はない。どうせ──

 ──こちらから出向かなくても向こうからちょっかいを掛けてくるだろうから。


      *


 ──同時刻、時宮にある当真家の一室。

「あまり役には立たなかったわね、晶子あの子。わかってはいたけど、こうも使えないとあなたに骨を折らせた甲斐がないわね」

「いえ、当初の目的通り当主候補の一人を辞退に追い込めたので結果としては上々でしょう」

「失敗する事が前提の計画なら誰がやっても同じでしょう。異能が使えても結果以上のものが出せないなら宝の持ち腐れでしかないわ」

「手厳しいですね。実の妹に対するものとしては思えないほどに」

「ライオンと豹との合いの子を知ってる? 親と子が必ずしも同じ生物とは限らないと言うこれ以上ない例ね。つまりはそういうことよ。それに言ったでしょう? 役に立たないのはわかっていたと。あの子に感じるものなんてないわ。あなたから見て私が穏やかに見えないとしたら、異能が低く見られる事に対してよ」

「違う生物とまで言い切った上で憎みもせず、忌む事もせず、あくまで無関心ですか。……あなたの差別ぶりは聞きしに勝りますね」

「生物としてそういう事もあり得るのだと知っているだけよ──いつまでこの話は続くのかしら? そろそろ本題に入りなさいな」

「これは失礼。今回の目的は達成しましたが、向こうの令嬢を刺激しすぎたようで天之宮の抗議は今も止まりません。このままでは当主選定に支障をきたす可能性があります。それに予定では──」

「──予定通り進めて問題ないわ。誘拐の首謀者は責任をとって当主候補を辞退。時宮と天乃原の提携も私にとっては関係がない。むしろ成立されては困るもの。天之宮をなだめるのは当真慎吾か──当真睛明当主補佐の役割よ」

「そこまで見越していましたか」

「あなたの目的を邪魔する気はないから心配しないで。……あら? 意外そうな顔ね。そういう約束で手を結んだはずでしょう」

「……利害は一致していましたが、私の手段とあなたの目的とは相容れぬと思っていたので後回しかと」

「これでもあなたには感謝しているのよ。それに目的はともかく、あなたのやろうとしている事にはとても興味がある。手続きはすでに済ませた。後は揃うのを待つだけ」

「それでは……」

「ええ、四月から始めてもよろしくてよ──あなたの復讐を」

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