天才鍛治師は今日も…

96うさぎ

12話 クランクエスト

 クラン証が発行される夕方まで鍛錬を行ったスグルは一つのシステムメッセージに驚かされる。

【ペット:ホーンラビットのスキル隠密がレベルⅢに上昇しました。】

 ……なんだこれ……ホーン……ラビット?……ペット?

 このメッセージによってスグルは自分に付きまとっていた角うさぎの存在を思い出す。周りを見渡すもうさぎの存在をとらえることが出来ないスグルは気配探知を行うしかし感覚に何も引っかからない。どうなってるのか分からずもう一度心を静め気配探知を行う、するとかすかに足元で何かが動いたように思える。

「この気配はあのうさぎなのか?」

 もう少し続けると新たなシステムメッセージが連続で流れる。

【スキル気配探知がレベルⅡに上昇しました】
【スキル気配探知がレベルⅢに上昇しました】

 スキルレベルが上がったことで足元に違和感があった気がしたものが確信に変わる。

「あの時のうさぎなのか?姿を出してくれないか?」

 スグルの意思をくみとったうさぎは足元に現れる。違和感があった場所から急に現れたうさぎにスグルは驚きが隠せない。

「お前凄いなぁ~」

 スグルは感心しながらうさぎを抱き上げる。うさぎは初めて抱き上げてもらって嬉しそうに目をつむる。

「お前は俺のペット扱いになってたんだな……ごめんな今まで忘れちゃってて」

 うさぎに謝罪をしながら頭を優しくなでる。

「これから連れ歩くことになるから名前を決めてやらないとな……何がいいだろ……」

 スグル達はクランの名前を決める時を思い出してもらえばわかるようにネーミングセンスは全員壊滅的だ。

「ちょっと丸くて白いからお餅なんてどうだ?」

 ぴったりだと思ったのはスグルだけでうさぎは抗議するように必死に前足でスグルの胸を叩く。

「なんだ?嫌なのか?……ん~」

 スグルは少し悩んだ後いくつか候補を出す。

「シャイン……ぷにもっち……ダイコン……ミルク……」

 名前の候補を挙げるたびにうさぎのパンチが強くなっている気がする。

「じゃあ……安直な気がしなくもないが雪みたいにきれいな白だからユキでどうだ?」

 ちょっと悩んだうさぎはこれ以上にいい名前が出ない気がしたのかユキを受け入れる。

【ペット:ホーンラビッツはユキに命名されました】
【ユキはペットからスグルの使い魔へと昇格しました】
【スグル(龍神族EX)の使い魔となったことによりユキは上位魔獣から聖獣に昇格しました】 

 色々システムメッセージが流れてユキがとんでもうさぎになった気がしてすぐさまスグルはユキに鑑定を行う。


【名前】ユキ  Lv.1
【オーナー】 スグル
【種族】聖獣
【スキル】隠密Ⅲ 感知Ⅰ 威圧Ⅱ 状態異常耐性Ⅰ 身体能力強化Ⅰ 
【固有スキル】幸運の女神

【基礎ステータス】(種族補正込)
・物理攻撃力  200
・魔法攻撃力  350
・物理防御力  200
・魔法防御力  150
・敏捷     600
・器用     120
・運      測定不能


 鑑定を終えたスグルはどう見てもそこら辺のプレイヤーなんか相手にならないステータスを誇るユキに驚きを隠せない。そのうえ見たことないスキルを所持していたこともあり更に詳しく鑑定をかける。


隠密:スキル隠蔽の上位スキル。隠蔽では気配をごまかす、情報を隠すことが可能だが隠密では気配と同時に姿も隠すことが可能。※隠密を習得すると同時に隠蔽を失う

感知:スキル気配探知・魔力探知の上位スキル。各探知スキルと違い同時に探知でき、各スキルより深く調べることができる。罠などの感知も可能。※感知を習得すると同時に各探知スキルを失う

幸運の女神:親密度が高いほど運が上昇する


 ユキのスキル鑑定を行うことでスキルには下位スキルと上位スキルが存在することが分かる。幸運の女神に関してはもはやどういう場面で発動されるか分からずスグルはひとまず後回しにすることを決定する。スキルの確認を済ませたスグルはユキの高いステータスと自分のステータスを見比べると昇格した影響なのか敏捷がユキに負けていた。運に関してはもともと低かったこともあるがユキが幸運の女神の影響か測定不能になっているので見なかったことにした。

 情報収集も大事だけどやっぱ実戦だよな。どちらかと言うと体で覚えるタイプだしそうしよ。

 この後の予定をざっくりと決めて月の宿を出ると日が落ち始めているのを確認して急ぎ足でクラン証を受け取りに行く。詰所に着いたスグルは受付まで行くとそこにはもうヴァンジュはおらず受付嬢が一人いるだけだった。

「お待ちしてました。こちらがクラン「  」のクラン証になります。ご存知だと思いますがこちらは身分証にも使えますしクランメンバーで活動する時に使用される事もございますので絶対に無くさないようお願いしますね」

「分かりました。……そういえば名前はなんて言うんですか?」

「私ですか?」

「はい」

「私は騎士団の受付嬢をしているサラ=グランツです。今後ともよろしくお願いします」

「サラさんですか。こちらに来ることも多そうなので今後もお願いします」

 きれいな金髪ロングでスタイルのいい受付嬢はサラと言う名前のようだ。騎士団の受付嬢だからなのかは分からないが引き締まるところは引き締まっており、例えるなら戦える受付嬢って感じである。

「レベル上げをしたりしたいんですけどどこかいい場所ないですか?」

「この時間から外に出るのはお勧めしませんが北門から出た先の草原は比較的倒しやすい魔物が多いですね。腕に多少自信がある方であれば南門から出て少し行った場所にある森はお勧めですよ」

「なるほど……それじゃあ明日南門からでて森へ行ってます」

 明日の行き先を決めたらサラさんが思い出したかのようにいくつかの紙を机に出す。

「クラン単位で受けていただいてるクエストがあるのですが受けていきませんか?」

 クエスト?冒険者ギルドで出てたクエストとは違うのか?

「クランクエストは冒険者ギルドで受けられる1人から6人までのパーティー単位で受けられるクエストと違ってクラン単位で受けることを前提としたクエストになっていて冒険者ギルドではなく国や大きな商会などがクエスト発注を行っています。なのでクエスト難易度が高く報酬も通常のクエストより多めに設定されています」

「要は大人数で受けることを前提としたクエストって事か……」

 サラはスグルがしっかりと意味を理解したことが分かりにこやかに微笑む。

「ちなみにクランクエストはクランマスターの方しか受注できないようになってます」

「楽めなクエストとかもあるのか?」

「最初でしたらこちらのゴブリン討伐200体と住家の調査なんてどうでしょう。少々急ぎのクエストではあるんですけど……」

「やり方はこっちで決めていいのか?」

「もちろんです。あくどい事などをしなければ結果が全てですので」

 急ぎみたいだがレベル上げもできるしクエストも出来て一石二鳥だな。やるか……

「もし失敗されますと少々罰金がありますのでご注意ください」

「了解した。それじゃそれを受けさせてくれ」

【クランクエスト:「ゴブリンの巣を探し殲滅したい」を受注しました。】

 クランクエストを滞りなく受注できたスグルは明日に備えて体を休めるために月の宿に戻ることにした。


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