天才鍛治師は今日も…

96うさぎ

11話 クラン作成

 今できることをやったスグル達は一旦現実に戻り現実の身体で睡眠をとることに決める。

 ゲーム内での睡眠でも体が寝ている為異常は起きないが現実とゲーム内の時間の流れが違うため現実に支障がきたしてしまう。スグル達は暗黙の了解で現実世界に支障を出さないレベルで本気でやると決めている。それにこのゲームは体の調子が少なからずゲームに影響がでる為メーカーからも現実の身体を疎かにするとゲームでの自分も弱くなると公式に通達されている。

 現実に戻った英は泊まっていくと言い出した香奈の布団を準備したりゲームの公式記事のチェックなどをする。公式情報だと今日の深夜0時から朝9時を予定に軽微なバグ発見のためメンテナンスを入れることが発表されており今後もバグ発生を抑える為、そして現実の身体の異常阻止のため今後も深夜0時から9時までの9時間はメンテナンスを行うという告知とゲーム内時間と現実時間の調整を行いメンテナンス時間を抜いた15時間をゲーム内時間にして3日間に変更し、脳への負荷も同時に軽減させるとデカデカとホームページトップに掲載されていた。

 そのまま就寝した3人はいつもどうり規則正しく朝起きて英は朝の鍛錬へ香奈は朝食の支度、奈穂は英について軽めの運動に勉強を行う。

「お兄ちゃん!急いで汗流さないと9時なっちゃうよ!」

「本当だ!急いで風呂入ってくるわ」

 奈穂に言われて時間を見た英はゲーム開始まで時間がもうない事に驚き急いでお風呂に向かう。それを見た奈穂はこそこそと風呂場に向かう英を追いかける。脱衣所に入った英の後を追って入ろうとした瞬間、香奈に首元を掴まれ阻止される。

「どこに行こうとしてるのかな?奈穂ちゃん?」

 香奈は般若の形相で奈穂の隠蔽を看破して入浴を阻む。首元を掴まれた奈穂は恐る恐る振り返ると見てはいけないモノを見た奈穂は目に涙を溜める。

「ほ……ほらもう時間もないし……私達兄弟だからお風呂くら……」

「言いたいことはそれだけかしら?」

 香奈は笑顔だが目が一切笑ってない為奈穂の恐怖を煽る。

「何やってんだ?」

 急いで風呂から上がった英は何かに怯えてる奈穂を見て顔をしかめる。

「奈穂急がないと9時に間に合わないぞ」

「うん……」
 
 滑り込みで準備をすました英達は9時ぴったりにログインをする。



 ログインしたスグルは周りを見ると全員同時ログインしたのか部屋に揃っていた。

「じゃあさっそく向かおうか。時間かかるみたいに言ってたからな」

「はーい!」

 ナホは楽しみなのかわくわくした様子。カナやタクミ・ミレイも楽しみなのかどことなく落ち着きがない。ドリューに推薦状のお礼をしてさっそく向かう。

 街を歩きながらスグルはすれ違うプレイヤーを鑑定しながら歩くと大体平均5レベルほどで装備を身につけ始めてるプレイヤーもちらほら見える。スグル達はこの3日間うさぎ追い回したりスキル習得したりしかやってないので皆のレベルは統一で1である。このことからこのゲームがいかに戦闘が難しいかを表している。序盤はレベル上がりやすいはずなのにもかかわらずレベル10を超えてるのは数人しか見当たらないのは現実で戦闘経験のない人が急に戦闘をイメージして体を動かすことが出来ないからだと思われる。

 思ったより差が開いてないんだな。種族補正を考えれば問題ないんだろうけど……自分が体をコントロールしている関係上レベルがイコール強さではないとはいえ負けるのは嫌だなー鍛冶レベルの上げ方も調べないと。

 騎士団の詰め所に向かって歩きながら今後とのことを考える。詰め所に着いたスグル達は何故か受付にいたヴァンジュに視線を向けながら隣の受付嬢に向かう。

「おい!お前たち今目が合ったにもかかわらずこっちに来ないのはなんでだ!」

 さすが近衛騎士団長一瞬しか視線を向けてないのに気が付いたんだな。

「なんで門番やってたはずの人が受付やってんだ?」

「暇でぶらついてたら今日体調崩してるやつがいたから代わってやったんだ」

 どうだ偉いだろと言わんばかりの態度だがヴァンジュの前には人が一人もおらず隣の受付嬢に行列ができている現状を見ると全く意味をなしていない。

「暇してるんだお前たちはこっちにこい!」

 スグル達は渋々とヴァンジュの元に向かう。開き直りさっさと済ませようとクラン作成の紹介状を見せて話をすすめる。

「ほぉ月の宿からの紹介状なんてよく入手できたな……」

 ヴァンジュとの話を聞いていた周りの職員がざわつき始める。

 なんだ?そんなに月の宿の紹介状が珍しいのか?

「あまり分かって無さそうだから言っておくが月の宿の店主が紹介状を出すなんて前代未聞だ。紹介状をかける資格を持っている人物の中でもトップレベルの重要人物で過去この国を守った英雄の一人でもある」

「へーあのおじさん只者ではない雰囲気ではあったけどなかなかの大物だったんだな……」

 スグルがしたおっさん発言にまた詰め所がざわつく。現役引退してるとはいえ国を救った英雄をおっさん扱いしているのだから当然と言える。

「クラン作成については月の宿店主からの紹介状があるから問題ないがクラン名はどうするんだ?」

 質問に思わずスグル達は黙る。クランを作成することは決まっていても名前は決めてなかったな……

「はい!超絶チルドレン!」

 ナホはまた注意が飛んできそうなギリギリを責めた名前をぶちこんできたな……

「俺は、鍛冶師と愉快な仲間たちがいいぞ!」

 いやいやいや……それは俺恥ずかしすぎだろ。

「私は……鍛冶師ハーレ……」

 ミレイさん……いつからハーレムになったんだそれにそれだとタクミが居ないことになってるだろ。

「もうスグルに決めてもらえばよくない?」

「確かにそうだな……」

 タクミ達はカナの意見に賛同する。カナ達の中で意見がまとまったことで視線がスグルに集まり緊張感が現れる。

「じゃあ……「  」(空白)なんてどうかな?……ほら皆これからやりたいことを決めて遊んでいこうって感じだからよくないか?それに色んな場面で名前は使われるんだろ?だったら目立つ名前とか中二病的な名前は避けたいぞ……」

「「「確かに……」」」

 名前を乗りで決めようとしてた自分たちに顔を若干青ざめる。カナは変な名前にならなくてよかったと落ち着かせる。

「まぁ何か適当にこじつけた感が否めないけど変に目立たないしいいんじゃない?」

 カナはこれ以上変な名前にならないように決めにかかる。

「ヴァンジュさん「  」でいけますか?」

「まぁ呼び名に困る気がしなくもないが大丈夫だろ」

 スグル達は書類にサインしクラン「  」を作成した。スグルの元にシステムメッセージが入る。

【プレイヤーで初めてのクラン作成に成功しました。報酬として街外れの土地一角・クランスキルポイント+10・経験値1日2倍をプレゼントいたします。】

「俺たちがプレイヤーでの初クランらしくて運営からプレゼント貰ったぞ」

「あっさり個人にプレゼント送るなんて運営は結構太っ腹なのね」

 クラン証の発行は少々時間かかるようなのでスグル達は夕方に各自取りに来るようにして予定どうり皆やりたいように動くことを決定する。

「お兄ちゃん!無理したり無茶したり常識無視したりしちゃ駄目だからね!」

「スグル……鍛冶できるようになったら武器お願いね」

 カナの一言に皆がっは!っとした表情で英に詰め寄る。

「私たちの分もお願いしていい?」

 ミレイはうるうるした表儒でスグルにお願いする。

「分かった分かった。でも材料から場所も何にも揃ってないから時間かかるぞ?」

「材料は俺たちが個人で集めるなり協力して集めるなりするからスグルは鍛冶仕事を出来る環境を整えてくれればいいよ」

「了解……俺も色々やってみたいからそうしてもらえると助かるよ」

 一通り話したらタクミ達は解散して街に散らばっていく。

 皆俺を何だと思ってるんだまったく……とりあえずこれで身分証も入手できたわけだしこっから色々楽しめそうだな!

 やりたいことの多さにわくわく気持ちを高ぶらせるスグルはヴァンジュにお礼を言いクラン証が発行されるまで月の宿に戻り鍛錬を行うことにした。

「天才鍛治師は今日も…」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く