天才鍛治師は今日も…

96うさぎ

1話 ある日の登校

 学園のアイドル(笑)こと高城美鈴たかじょうみれいから狂気じみたラブレターを貰ってから1週間がたとうとしている。
 あれからというもの美鈴さんは諦めずに一緒に遊ぼうと誘ってきたり体をワザと当ててきたりとポピュラーな方法から大胆な方法でアピールをしてくる。


「まぁ男としてわるいきはしないんだけどね……はぁ」


「おーい英!おはよう」


 振り向くとそこには剣の兄弟子にあたる坂井巧さかいたくみが走っていた。


「巧……お前の家の方角はそっちじゃないよな。何してんだこんなところで」


 すると巧はニヤニヤしながら嬉しそうにする。


「最近英が学園のアイドルとラブラブだという情報を聞きつけて朝のトレーニングがてら会いに来たのだよ」


「別に付き合ってはいないぞ……友達にはなったけど」


 すると巧は鋭い視線を向けてくる。


「まぁ……英がそう言うなら別にいいが、まあ英が奈穂ちゃん意外と仲が良いことは俺としてはうれしいからな」


 全く巧は変に鋭いからな……今回は気を効かしてくれたみたいだけど。


「何で巧が嬉しがるんだ?」


「そりゃ、英の兄弟子で親友だし、何より英は剣士として目標でライバルだからな」


「おいおい現代の剣聖を唸らせる程の天才で中学剣道大会では相手にかすらせるイメージすら与えることなく全国制覇した奴に目標やライバルと言われるほど大したものじゃないぞ俺は」


「言ってくれるねぇ、そんな俺に最近自分のメイン武器でないのに俺に地を付けたのは……悔しいったらなぜ」


「何たって英は鍛冶師じゃないか……自分で打って戦えるなんて反則だぞ。しかも鍛冶に関しては若干12歳という若さで稀代の鍛冶師の名で有名な父親に非公式ながら勝ってる鬼才児さんよ!」


「分かった分かった俺が悪かったから落ち着けよ。」


「はぁ……まぁ何はともあれ恋人でも友達でもいいが泣かせるんじゃないぞ!これは兄弟子命令だ!分かったな?」


「分かってるよ兄弟子!兄弟子が女に弱いことは」


「そ……そんなことないぞ!とにかく大事にな!」


 ビシッ!っと音が鳴りそうな勢いで指をさしてくる。


「了解!」


 話は終わったばかりに巧はまた朝のトレーニングに戻る。

 まったく……巧は心配性だな。わざわざ俺の様子を見に来てくれたんだろう。

 はぁはぁ……後ろから荒い息ずかいと共に幼馴染の先ほど名前が上がった鳳香奈おおとりかなが走って追いついてきた。


「二人とも歩くの早すぎるよー巧くんは先行っちゃうし!」


「朝のトレーニング中だから許してやってくれ。悪気はないんだ」


「知ってる。英君も鍛冶中は私の事なんか二の次だし!」


 香奈は頬をリスのように膨らまし起こった様子を伝えてくる。


「そんなことないぞ。香奈の事も大事だと思ってるよ」


 そういうと、香奈は顔を真っ赤にしてにやけながら顔を伏せる。


「じゃぁ美鈴ちゃんと付き合ってるっていうのは?」


「付き合ってはないぞ。一応友達だな」


「ふーん。そんな風には見えなかったけど、じゃあ私と付き合ってって言ったら付き合えるの?」


「まぁそうだな……香奈なら大丈夫じゃないか?」


「じゃぁこれからよろしくね」


 自分でもするすると話が進んで気が付いたら返事をしてたみたいな感じだったけどまぁ香奈だしいいかな。

 グフグフと他人には見せられないほどだらけた顔で抱き着いてくる香奈をみるとどうでもなれというきもちになるな。


「香奈!せっかくの可愛い顔が台無しだぞ!」


「え!そんなに可愛い?照れるなー」


「都合のいいところだけ抜粋してないでシャキッとしろ」


「はーい」


 天高く手を挙げながら返事をする。
 返事だけはいいんだよなー……


「ねぇ英君、今度出るオルタナティブ・オンライン予約した?」


「今話題沸騰中のやつか、俺がするわけないだろう……」


「今度のは凄いからやろうって話したでしょ!」


あ……今度は真顔で怒ってる、これは本気マジのやつだ。
これがゲーマーか……ちょっと怖いぞ


「俺は予約してないが妹の奈穂が予約してるらしいぞ」


「人気ゲームの入手を奈穂ちゃんだけに任せるなんて兄としてどうなの!TAOは最初微調整を入れたり色々するらしいから初回ロット1万本しかないのよ!しかも店舗予約ネット予約両方で1万本だからね!」


「そ……そうなのか」


鬼気迫る勢いに若干押される。


「しかし、うちには万が一予約できてもハードがないぞ」


「何言ってんの初回ロットに限りコラボの専用高スペックマシンが3000機でてるでしょ」


「それって宝くじ買ったほうが当たる確率高くないか……」


「まぁね、でも予約しなきゃ確率0なの!そんなことだろうと思って英の名前で抽選出しといたんだけど」


「おい!というかあのハードめちゃ高いだろ。あれは大きさも価格も一般家庭用って感じじゃないぞ」


「それのコラボ専用機なんて考えたくないぞ!」


「まだまだ情報が遅いぞちみー」


 自慢げに仁王立ちに満面の笑みで話始める。


「何と初回3000機に関しては企業が少しでも一般の方にもやってもらうために赤字で投入してるから8万くらいまで価格が落ちてるのよ。」


「赤字って言っても多くの企業が集まって制作してるハードだから一企業の負担はそこまでではないらしいけどね」


「なんでそこまでして企業はハードを売りつけたいんだ?」


「一般の人にもゲームをやってもらうためじゃないの?」


「それならソフトを安くしたほうがいいんじゃないか?ハードはみんな持ってる訳じゃないにしても少しずつ広まりつつあるし今後ゲームセンターなどでの導入も検討してるらしいじゃん」

 このハードって確か……


「香奈このハードのコラボって確かWMOじゃなかったか?」


「んーどうだっただろう確か医療機関だったはず。CMで家で健康管理をしながらもう一つの現実にダイブしないか!ってうたってたし」


「なるほど恐らくWMOとしてはハードを出来るだけ浸透させてフルダイブ機能を使った医療への不信感や家で健康管理できることの良さを間接的にアピールしたいからゲーム会社とコラボしたんだろうな」


「それはちょっと分かる。おばあちゃんが毎日定期健診を受けるようにカプセルに入ってるもん。いつも病院に行ってるようなものだから安心だって言ってた。」


「それもあって私のハードは安くなってるんならっておばあちゃんが抽選が当たったら出してくれるって言ってたよ!ラッキー!」


「ラッキーかは抽選に選ばれないといけないんだけどな。」


「大丈夫だよ!私のリアルラックは知ってるでしょ!狙った獲物は逃がさないんだから!」


 長話をしながら歩いていると学校近くで美鈴さんに見つかりロックオンされてしまった。


「おはよー英。ねぇねぇこれ見て!」


 美鈴は現れるなり一枚の紙を見せてくる


「おはよう、なんだこれ!」


 そこには先ほど話していたハードの絵がでかでかとのっており世界で5台のみ制作された超オーバースペックのハードを企業がモニターしたいとのことで募集しているものだった。


「英とTAOを一緒にやりたいと思ったんだけど私の分はもともと予約してたんだけど英の分を予約しようとしたらもう締め切ってて……でも困ってるって父さんに話したらこのチラシをくれたの!」


「流石にうちの子会社とは言っても割り込ませる事は出来ないらしいけどチャンスはあるはよ!」


 迫ってくる美鈴と俺の間に香奈が割って入る。


「私の彼氏にベタベタしないでください!それにハードなら私が抽選に出してます!」


「私の彼氏?……」


 状況を察したのか美鈴が涙目になって逃げ去る……が途中で止まって振り向く!


「英のを予約しておくから絶対に一緒に遊ぶんだから……約束だからね!」


 半泣きで駆け抜ける美鈴の後姿を見る事しか出来なかった。


「なんかちょっと可哀そうなことをしたかしら……」


 香奈も主張したはいいものの威嚇しすぎたのではと若干後悔していた。


「多分大丈夫だと思うぞ。あいつはそれ位じゃ挫けない」


「へ~えらい信頼があついのねー」


「まぁここ最近は割とつるんでいたからな……なんとなく美鈴さんが負けず嫌いなのは分かってるつもりだよ」

 余り下手なことを火に油を注ぎそうだし話題を変えないとな。


「そろそろ時間まずくないか?いそぐぞ!」


 英は香奈を置いて先に走り出す。


「え!まだ大丈夫じゃない!こら、逃げるなー」

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