女神に毒殺されたら異世界でショタ魔法使いでした

奈楼小雪

第十一話 状況分析と方針

 


 私は、現在ブリッジ内にて、皇帝陛下から届いた機密文書を見、現在の状況を分析をしている。
 ヒュマン国とサンバルテルミ民主主義人民共和国は、元は大きな国家。 其れに、変化が起きたのは、人族歴五十年前のドラゴ伯領との戦争後。 ヒュマン国が敗北時に、ジャン・ルイ十三世が崩御。 ヒュマン国側は大混乱に陥った。 混乱の中で、ヒュマン国の南、長靴形状の土地に、戦争で生き残った者達が、サンバルテルミ国を建国。
 最初は、民主的な国家で有った。 最近、ゴールド・トルゥー・サン将軍がクーデターを起こし国を作る。 全てを軍に集約する、という【先軍政治】を断行し、軍人には総統ドゥーチェと慕われていた。 だが、軍優先の為に多くの国民が飢えに苦しんでいるとも言われている。 主要産業は、トリュフというキノコと禁制の違法薬物や傭兵業、人身売買。 その他の詳しい事は、情報統制されている為に、良く分かっていない。
 サンバルテルミ民主主義人民共和国の下は、キリトス教の総本山の教皇領、マーロ協商国、ポナリ王国の三国が有る。 下の三国は上の国と違い、宗教と貿易で利益を上げ、周りの国々からは尊敬を集めている。
 だが、光差すところに闇があると言われている様に、共和国からは何らかの取引をしている。 例えば、聖職者の少年少女の奴隷購入、安価な労働力として奴隷の購入など…… いずれも、政治犯の子供達などが、売られている。 本来なら、非難するはずの聖職者や政治家達も、利益供与を受けて居る為、非難出来ない。
 ドラゴ伯とは、アドリア海とアルプス山脈を面し、緊張関係にある。 だが、一度、アルプス山脈側に一発大型法弾を打ち込んだ。
 ただ、打ち込んだ場所が、マッターホルン付近で無ければ良かった。 爆音で起きた姉が、めざましを止めようと押したスイッチが、報復噴進弾発射スイッチじゃ無ければ、良かった。 報復噴進弾千発が首都サン・バルテルミを襲い、灰塵に帰し、数万人が死傷した。 ゴールド・トルゥー・サン将軍は、灰塵に化した街を見、心臓発作で死んだ。 歴史家の間では、【サン・バルテルミの大虐殺】と言われている。  それ以来、此方にちょっかいを掛けてはいない。 現在は、息子のゴールド・トルゥー・クラウドが、総書記ドゥーチェを名乗っている。
 ゴールド・トルゥー・クラウド総書記はある人物に憧れを抱いている。 それは、魔族皇帝のラインハルト・ゴールディ・メフィスト皇帝、皇帝に似せる為に、変な努力をしている。 黒髪を金髪に染め刈り上げ、身長を伸ばす為に、両脚首を骨折する手術を受けたり。 ラインハルト皇帝の評価は、【金髪刈り上げ、骨折豚の無能屑の為政者】と超手厳しい。
 最貧国のどん底を突っ走っていたが、最近に急に羽振りが、良くなって来た。 外交部の調査では、背後には、ブリタニカ海賊王国とアエルフィンカ合衆国が付いている。  ドラゴ伯とヒュマン国の、貿易拡大を良く思わない、二ヵ国が支援を始めているそうだ。
 夢魔サキュパス族の諜報員の報告書には、黒幕と目的が書かれている。 黒幕は、キストス教皇。 ヒュマン国を三ヶ国で分割、後に三ヶ国の指揮を纏める役に着く予定。 まずは、ドラゴ伯へ侵攻、占領し財や技術を奪い力を蓄える。 そして、帝国へ進撃、悪魔と定義する魔族を殲滅、という夢を描いている。 先日、悪夢ナイトメア族長が皇帝陛下の会談行われた。 この会談で、三ヶ国の人族が、幸せな夢ばかりで、美味しくないという話が出た。 そこで、皇帝陛下は悪夢ナイトメア族長に、ある約束をされた。 それは、人族歴三百年前と五十年前、と同じ様な悪夢を与えるという事。
 さぁ、どうするか?どうやって、悪夢を見せようか?
 アルファワンを使って、アエルフィンカ合衆国とヒュマン国を爆撃して、見せようか? だが、人間という生き物は、見える物には立ち向かう。最大の恐怖は、姿を見せない敵。 私も、宇宙海賊時代にライバルで、双子の光学迷彩姉妹と戦った時は、見える全てが敵に見えた…… 双子、双子ね……そういえば、私の奴隷ちゃん達は、どうなったかな……私は映像通信で姉さんに繋いだ。
 「姉さん、僕だけど、奴隷ちゃん達どうなった?」 「あ、チェイス、調教と調整終わったから、リッチ・ロードさんと行かせるね」 「え?」 「私も、皇帝陛下からの依頼が来たから、そっちに後で行くわ!」
 ブリッジの自分の傍に転移の魔法陣が現れる。 其処から現れのは、メイド服を着た美少女達と金色の骸骨に燕尾服を着たリッチ・ロードだった。
 「「ご主人様、ご命令を」」 『マスター、無事に、彼女達の調整と調教を終えました』 「リッチ・ロード、二人とも髪の毛も瞳の色も変わり、誰だか分からないので、紹介してくれる」 『はい、マスター』
 茶色のボブヘアと薄茶色の瞳、八重歯が特徴的な少女は【サンダー】、旧名がエヴァで、お姉ちゃんだった方。 茶色い長髪を纏め、金色の目の少女は【ボルト】、旧名がイリナで妹だった方。
 説明によると、脳味噌と生殖器を元の躰から引っこ抜き、リッチが作った人造ボディに入れた。 躰とパーツは全て、オリハルコンとアダマンタイト。 躰を循環させる潤滑材は、可能性の獣ユニコーン毒蛇バジリスクと彼女達の血、水銀を合わせた物を使用。 使う、武器は魔銃と暗器を使用。最大の攻撃は……何何…… 其々、80cm列車砲×2と音波砲ってどういう事なんだろうね……
 姉さん……どうやって使うのさ、使い方は、彼女達に任せるとしよう。
 「君たちを呼んだのは、戦争を起こして貰うためだ」 「「はい、ご主人様。分かりました」」
 私は、彼女達に、ある国の資料を見せた。 「この国のある人物を暗殺と、サンバルテルミ国の仕業と世論が動く様、扇動をして欲しい」 「「どの様なのをお求めで?」」 「任せる。だが、暗殺武器は、銃・刃物・爆発物といった、人族でありふれた物を使え」 「「分かりました。その様に致します」」 「君達の証明書は、後ほど偽造した物を渡す。資料をよく読んどいて」
 少女達に資料を投げ渡すと、二人は食い入る様に見始めた。
 『私の作品が、歴史の一ページを動かす……なんと、感慨深く、建設的か……』
 リッチ・ロード(国土交通大臣)は、そんな、事を言っている。
 先ずは、人族の間で戦争をして貰おう、一心不乱の大戦争を! 魔族の事など考えられない様な大戦争を! っと思いながら私は椅子に背中を押し付け、肘置きの上で左手を遊ばせ、今後の展開を考えるのであった。 

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