~異日本転生~チーオタ少年はハーレムの為に国家魔法師に成る!

奈楼小雪

31「少年少女達と土弄り」

 

 草々に朝露が付かず、泥水が付いている。
 「此れは、中々酷いですね」
 立は口角を上げながら、眼下に広がる土砂崩れによる惨状を見る。 傍に居る2人の少女達も一緒にいる。
 「そうだね、誰がこんな酷い事を」 「誰の責任では無いよ、こんな木を切ってソーラーパネル何て作るから、保水性が無くなっちゃったんだよ」
 美雪が、地面に埋もれたソーラーパネルを蹴飛ばす。 土砂崩れは、一度は魔法騎士マジカルナイトのトレーラーを全て巻き込む程度と思われた。 だが、大量の湧水が溜まり、山自体が崩れ山津波が起こり、学校の正門から入れる太い道路を押し流した。 傍の研究所や自衛隊や在日米軍の基地まで侵入、土が流失し、山が1つ全て消失した。
 マスコミや世論では、ソーラーパネル業者、其れを推進した犬がCMをしている電話会社の社長への非難が、押し寄せた。 ネットでは、禿げそうな髪が流失した丘のように後退するのでは無いかと話題。 立を呼ぶ声がし、振り返ると、待ち人達がピンクと赤の髪の女性陣を連れ後ろからやって来た。
 「立、すまんな遅れて」 「イエイエ、丁度来たところですから水呑みずのみくんに土路つちみち君」 「共同で、依頼が来るとは思わなかったよ」 「ああそうだな……」
 ニヤッと2人も口元を笑わせ、折りたたまれた紙を出す。
【共同指名依頼:土砂を片付け学院への道をあけよ】
 「そういえば立、お前らって、パーティ名を天野魔法師達シャイニング・ウィザーズって名前にしたんだろ?」 「俺たちもパーティ名を付けてな、天災魔法師達テンペスト・ウィザーズって名前を付けたんだよ」 「私達の名前からとったんだよねー」
 ピンク色の髪の少女が、土色の髪の少年に抱きつき、赤い髪の少女も蒼い髪の少年に抱きつく。
 「そうそう、火水風土でテンペスト何て粋でしょ」
 片目を瞑りながら立に同意を求める。
 「(あ、これ後で絶対に悶絶する厨二病だ)そうですね、粋ですね。所でこの惨状どうします」
 土路に振り、両脚を上に胴体部が地面の中に、某犬何とか家のスケ何とかさん状態の魔法騎士マジカルナイトを眺める。
 「そうだな、地質を地質の魔術式アプリで調べた所では、柔らかい土と硬い土が混ざっている。その上、彼方此方に水だけのクレパスがそこ!気をつけろ!」
 傍を歩いていた自衛隊員に向けて注意を促す。 だが、遅かった様で、ザボンと音がし姿が消える。
 「水よ、噴水の様に上がれ!」
 水呑みが指輪を向け、魔法を使うと、水鉄砲の様に隊員がザボンと飛び出す。 そのまま大地に突き刺ささり、其れを見ていた周りが、急ぎ引っ張りだす。
「水呑君は、もう少し丁寧に魔法を使いましょうね!アレだと下手すると脊髄損傷しますから……」
 表示させたディスプレイに、放送事故で田んぼに女性アナウンサーが嵌り、脊髄を痛めた放送事故映像を見せる。
「気を付けないとな……」
 食い入る様に見つめ、呟いているのを聞く。
「良い事を思いつきました、耳を貸してください」
 耳元で、ゴショゴショと話し始めた。
***
 猫車で、土砂を運んでいた自衛隊隊員は、異様な光景を見て手を止めた。 其処には、大量の土色の兵士達が歩いていた。 周りもザワザワしながら、その様子を見ていると
 「あれって、どう見ても」 「古代中国の秦の始皇帝の」 「兵馬俑の兵士じゃないか!」
 ビチャビチャと濡れた地面を行進し、学院の方へ向かっていく。 中には、銅色や銀色や金色の階級毎に違った色をしている物もいる。
 「唸れ風よ」 「業火の炎」 「「合わさりて円環の炎と成れ」」
 学院の方では、ピンクと赤の髪の少女達が厨二病全開で、歩いてきた兵士達を燃やし灰にしている。
 「金銀色の貴方はこっちで、土色の貴方はこっちで」 「フラフラそっち行かない銅色の貴方はこっち!」
 一方、美雪と結衣は、色ごとに兵士達を分別している。 金銀銅色の兵士達は、美雪と結衣に触られるとその場に止まる。 動か無くなり、2人は其々をガラガラと引きずりながら色ごとに置き始める。
 「此処は解析サーチの結果。金の成分と銀の成分がかなりあります。土路君、水呑君宜しく」 「OK、【ミリオンゴーレム、鉄は鉄に土は土に金と銀とは其々金銀の兵士として新たな命を得よ】」
 地面の中から手が現れ、頭が躰が現れる。 やがて、大人の1人分の金色と土色が混ざった兵士が出てくる。
「清らかなる水よ汚れを落とし給え」
 水呑が唱えると兵士は、綺麗な金色に成り土路が示した方へ歩き始める。
 「確かに依頼書では、見つけた所持者が不明と分かった物は発見者が好きにして良いって書いて有った。だが……造るとは思わなかった」 「我々もボランティアでは、無い!何らかの利益を得ないと行けない。僕の魔術式アプリ【局地土魔法:ミリオンゴーレム】が、こんなに早く使えるとは思えなかったです」 「魔力のトレーニングも出来て、一石三鳥という訳だな!」 「ええ、そうです」
 2人が話してる傍では、水呑が水をひたすら出している。
 「もう、魔力が切れそうなんだけどーー」 「疲れた分だけ、魔力が後で増えるぞ、出しきれー碓か、経営の神様も蛇口を捻れば水が出てくるのは、当然だって言ってたぞー」 「(何か違うけどまあいいか?)」 「経営の神様が言うなら仕方が無いなー分かったー頑張るー」 「(おい、それで良いのかー)」
 立の心の叫びも関係無く、土路に諭され、水呑は不満を飲み込み、水を出てきた兵士たちに掛け始めた。
***
 在日米軍基地内、土砂に押し流され転がっている戦闘機群前で、ご婦人が切れてる。
 「少佐、いつごろまでに、基地の復旧は可能か?」 「恐らくですが……」 「はっきり、言い給え!」 「最短で、2ヶ月程かと推定されます」 「何故、掛かるのか!?」 「実はあの戦闘機達は、夜間訓練前の実践様の爆弾を抱えて、今回は洋上での廃棄を兼ねてクラスター弾を使用する予定でして……」
 少佐の話を抜粋すると、第3次世界大戦で使用されたクラスター弾を洋上のターゲットに向けて発射し廃棄する予定だった。 突然の山津波で、置かれて居た爆弾で飲み込まれた。 中には、衝撃で外装が壊れたのか、クラスター爆弾が、土の中からひょっこりと顔を出しているのもある。
 「それだけ危険なら、専門家の工兵隊はどうしている直ぐにでも」 「既に展開をしたい所ですが……」
 ズドンと何かが爆発する音がし、連続してズドンズドンと音がし、大地が震える。
 「まさか……」 「そのまさかです、閣下!振動式と時限式が一緒くたで入って居る為、工兵隊は入ることができません」 「分かった、日本政府には、成るべく緊急に我が軍の滑走路を用意して貰う様要請する」
 少佐は敬礼をした。
「(はたして、この頃の雨とソーラーパネル事業の関係で、この様な大災害を起こせる物なのでしょうか?しかも魔法騎士マジカルナイトの運搬中に丁度……)
 彼女は流れ出た土砂が流れ出た山を見、何か違和感を感じた。 魔導学院の方を眺め、調査をする事を決めた。
***
 一方、この災害を起こした3人。
 「2人とも次此処お願いします。あと、此処もしっかり魔力を十二分に使って整地してください」
「「了解!」」
 整地作業をしながら現場の証拠を消すため、コツコツと魔力の痕跡が有りそうな所に、魔力を込め、整地していた。 女性元帥が相棒のホワイトヘッドと共に、直ぐにこの場に来ていたならば、異常な魔力の分布に気がつきた。 そして、何らかの破壊工作が行われていた可能性から調査を命じ、魔力の識別から2人に辿りついた可能性があった。 だが、既に3人によって魔力の痕跡が、ドカドカと付けられ、魔力の痕跡がベドベドと付いている。 其れを分かっていてやっているのは、立のみ。
「(学院側に魔法騎士マジカルナイト科と同じ様にスキルアップを兼ね、災害現場の後片付けをさせて下さいって頼み込み、入れて貰えて良かったです。単独だと、不安という事で彼らのパーティとやりたいって言っといて良かった)」
 思いながら、証拠隠滅と整地作業の場所を的確に、土路と水呑に指示するのであった。

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