~異日本転生~チーオタ少年はハーレムの為に国家魔法師に成る!

奈楼小雪

14「少女はキラキラ星を弾く」

 多くの日本人が、小さい時に母親から寝歌で聞いたであろうキラキラ星。
 やさしい母親の声と共に夢の世界へ入るこの曲は、今夜も多くの人達を夢の世界へ誘っている。広大な邸宅内の中、先程まで、酒盛りをしていた若い衆から年配の男達まで、心地良くスヤスヤと寝息を立てている。だが、立と母親の道子と結衣や達矢の様に寝ていない者も居る。
「嬢ちゃん良い音色で弾くじゃないか?」「流石、わが妹弾いている姿も様に成って居る」「結衣ちゃん光っていて綺麗ー」
 3人とも思い思いの事を言っているが当の立はというと「(3人ともこの状況分かっていますか?周りの人達が全員寝て居ますよ、飲み物や食事が原因で無いことは明らかという事は!)」 美雪が持っているヴァイオリンへ解析サーチを掛け情報をネットで照合するとデータが表示された。
【レディ・スノウホワイト】
 魔導弦楽師アントニオ・ストラディバリが、生涯において生産した魔導楽器は1300本で有るとされる。スノウホワイトは、アントニオが息子2人と最後に共に造ったヴァイオリンの最高傑作。このヴァイオリンは、レディの名前が付くように非常に気が難しいヴァイオリン。多くの投資家や音楽家がこの楽器を求め所有したが、多くの人間が何らかの不幸に合い髪の毛や成り人生を白紙にし、終えている。積もり積もった多くの人の髪や人生を白紙にさせる事からスノウホワイトの異名を持つ。楽器が持ち主を選ぶ、典型的な例。この楽器は、かって日本で起こった大震災時に放出され、オークションに出品されたレディ・ブランドの凡そ13億円に対して、今回のレディ・スノウホワイトは、26億円と倍近い過去最高の金額で落札された。落札したのは、日本人の男性で「娘に友人の娘さんのヴァイオリンが欲しいと頼まれ」落札した。本調査によると、男性の娘さんは一般人の女性●●●●●の様である。
 立は、ガックシと項垂れ。達矢にこの情報を展開する。達矢は一蔑した。
「分かった、妹を止めてくる」 立の肩を叩きながら美雪が居る壇の方へ歩き始めた時だった。美雪の【きらきら星】が激しく弾かれ更に美雪が光ったかと思いきや達矢が横に転がり達矢が居たところには石が刺さって居た。 「っつ!!」 更に、達矢が転がった先には、空から高速で何かが向かってくる。達矢は銃型MADを取り出し、其れに向かって撃つと爆散四散した。
 「美雪ー辞めないか!こんな悪ふざけは」 達矢が優しく美雪に言う。 『黙れ、小僧が!妾は今最高にハイの状況で久方ぶりの良き出会いに高ぶって居るのに邪魔する物はこの者の兄と言えども許さぬ!』 美雪の口からは、お淑やかなお嬢様の美雪と思えない様な高飛車な声で言いながら更に激しく【きらきら星】が弾く。
 光の矢の様な物が天空から多数現れ、達矢が避ける。家の壁が抉れ、近隣のお宅に隕石が落下、向こう三軒を粉々におじゃました。
 『お主は、妹が大切だから傷を付ける事が出来ないだろう、大人しく我が成す事を見とれ』 何者かは、美雪の声で言う。達矢は、土埃塗れで立ち、銃型MADを向けながら息を一息付いた。 「お前の目的は何だ?」 尋ねると美雪は、ヴァイオリンを弾いたまま音色に合わせ歌うように答える。
 『我の目的は世界平和!妾を作りたもうた魔導弦楽師アントニオ・ストラディバリの時代は争いが絶えず、人々は常に争いを起こしていた。其処で、アントニオが楽器により世界で平和に出来ないかと考え私に命を与えた。アントニオの死後は、楽器の作成法を巡る貴族や使用権を巡る音楽家同士の争い。アントニオが、目指していた楽器による平和は来ず。楽器を巡る争いが起こり多数の人々の血が流れた。妾は、400年に渡りどうすれば、人間を平和的に争いが無くなる時代が来るかと考えた。そして、遂に、人間を全員寝せてやれば人々は争う事無く安穏とした生活を送れるのでという考えに、達した。そして、妾は長年に渡り多くの人間達から適合性を見るために、魔力・精気を極限まで奪った。全員、髪が白くなり発狂し、妾の目的に達する者はおらんなんだ。だが、この美雪という娘は強大な魔力、みずみずしい精力を持っている!この力を使って、妾は世界中を眠らせ世界を平和にしてやるのじゃ!どうじゃ良いだろう?』
 達矢が、返事を言う前に、動いたのは道子でナックルを付けた。「ようはヴァイオリンのアンタを壊せば、美雪ちゃんは治るって事でしょ!世界平和は、私達に任せて置きなさい。人間が、其れは決めるもの!楽器に、どうこう言われる筋合いは無いわ!」 壇に向かいながら言い、美雪にあともう少しのという時に、【きらきら星】が突然【組曲「惑星」の木星ジュピター】に変わった。 『流石に、お主にはかなわん。取り敢えず木星まで行っとれ』 道子の足元が光ると道子の姿が消えて無く成った。
「カァさーん」 立は母の道子が居た所に膝を付いた。其処には、母の姿は無かった。美雪は3人の方を見ながら『さて、世界平和の為にお主達には寝てもらうか?』
 第3変奏になり始め、更に美しい音色を立て始めた。近くにいた鳥は、地面に落ち、池の金魚達は池に腹を見せた。遂に、結衣もウトウトとし始め、スミスが後ろから結衣を鼻息荒く抑える。 『さて、私は結衣殿に膝枕をしないと』 上着を抜ぎ、地面に置き、結衣を横にして寝かしている。サングラスに七三分けの男が膝枕をしてるのは、奇妙な風景だ。
 「さて、達矢さんどうしましょうか?」 「何とかして、あのヴァイオリンを美雪から取り上げないと行けないな!」 「美雪さんに、ショックでも与えたらどうですかね?パンチ一発くらい?」 「貴様が、美雪に指一本触れる前に、私が貴様を殺す!」 「じゃ、達矢さんがやってくださいよ!」 「俺が妹に手を出すことなど出来ない!」 「じゃ、どうしろと?」 『二人共喧嘩は、よさんか!儂に良い提案が有るが聞かぬか!』
 残った立と達矢が、喧々諤々の議論を行っている。結衣のMODの洋人形のべにが割り込み、もにょにょと2人の耳元で話を始めた。
 その頃、世界中の空にて「ガッデム!地上の管制と連絡が取れない、なんだこの曲はなんだが…グー」「其処の機体、現在我が国の領空を侵犯している速やかに所定の空路に戻るように繰り返す。なんだ、この曲は…ズズズー」「誰かこの機内に機長様がいらっしゃいましたら速やかにお知らせ下さい、アテンションプリーズ…ズグー」
 空の無線を使っている全員が、居眠り運転を始めた。
 陸でも 「此方管制塔おうとう…グー」 「対空陣地領空を侵犯した敵機を撃墜…ズズズーー」 「ズッチャ、ズッチャ、ウェーイおらDJポリス!みんな寝ちまってウェーイ整列して寝ようぜー、キラキラしちゃうぜウェーイ」 一部のテンション高い人間を除き全員が寝た。
 海では 「おい、魚が寝ているぞ取り放題だ!無線からなんだ此れはキラキラ……ググ」 「この魔法式自己増殖魚雷を日本海へ入れば日本人イーベンどもの海は手店…グー」 ウトウトとした兵士が、ポロっつと手に持って居た物を落とす。甲板に打ち付けられ電源が入り、イカの様な成をした物は、黄海へ入っていった。
 さて、陸海空の異常を作っている少女は、第7変奏に入りスケールが大きく成っるキラキラ星の世界を発信している。
 『さて、坊主ども準備は良いか?』 「「はい、ああ」」 先ずは達矢が美雪に目掛けて飛び掛かる。 『お兄ちゃん、ゆきに痛いことするのいたいのやだよー』 「無理だー俺には妹に手を出すことなんて!ごめんなさい何も成果を挙げられませんでしたー」
 瞳をウルウルとさせる美雪の前で、達矢は両手両膝を付け土下座し言っている。
 『なーにー問題は無い!折込済みだ!そんな事もあろうかと』 「え、僕なの?紅さんじゃなくてええーーー」 そんな会話の後に、達矢が肢体を付けて土下座している上を超えて飛んでいった。立は宙を飛び、美雪の両手を抑え、其の儘壇の後ろに転がり落ちる。
 「イタタッツ」 立は、抑えていた美雪の手を離す。何処かに、ぶつかった際に切れた唇を左手で抑え、紅に言われた通りに造った蒼い宝石のペンダントを掛けた。美雪の躰がパット光り、きつく手に持たれていたヴァイオリンが、離れ転がった。
 「ンン、…」 目をパチっとさせ、立を目を合わせた。男子が、女子の上に馬乗りに成って居る。状況を考え、彼女の兄貴此れをみたらやばいと思って居ると、美雪が動き立の躰がバランスを崩し後ろに倒れる。 そして、逆に美雪が立に馬乗りになり、立の両手を抑え、立の唇にキスをした。立の頭の中で、パリッと音がし何かが吸い出される様な感覚を覚えながら立は意識を落とした。

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