~異日本転生~チーオタ少年はハーレムの為に国家魔法師に成る!

奈楼小雪

11「少年少女達の夏休みの自由研究」


 夏休みも終わりが近い。
 この頃、立が目を覚ますと何時もの様に布団に忍び込んで寝息を立てている結衣が居る。一緒の家に居るがベッドは一緒では無い。
何時も夜、勝手に、侵入して来る結衣に、理由を聞いてみた。
「知らないよーでも、何時の間にか入っていっちゃうんだよねー」
 まさかーと思い、立は、自分の部屋に寝る時に、録画してみた。
 フワーとドアが開き、フリフリのパジャマを来た結衣が、立のベッドに音も無く入る。虚ろな瞳で、八重歯をみせな何かを呟く。
 立の首筋に歯を立て、舐めると立が居る布団の中に入っていった。
 思わず立は、自分の首筋に手を当てたが、何も無かった。
 其れを、結衣のMODのべにに解析して貰った。
『ふむ、【古の盟約に従い、我れ汝の物と成ろう】と言っている。恐らく、此れは結衣が寝ている間に、結衣で有り、結衣で無い、何かがお主に、マーキングをしている』
「マーキングってどういう事?」
『お主が、裏切ったりしたら、此奴が間違えなく、地の果てまでお主を追いかけ殺す。つまり、お主ゼッタイ殺すウーマンに成る、って事ぞい』
「何それ、怖い…」
『裏切ったりする予定、有るのかぞい?まあ、妾も鬼で無い、寛大で慈悲の心を持っている、愛人の2人や3人は、認めてやってもよいぞい』
「ぞい、ぞいって口癖に成って、居るけど?」
『あー此れか良く分からんが、この間、アニメとやらを見ていたら女の子が、ぞいぞい、言ってるのを見た。其れを付けてみたら、妾はしっくり来たんで、付けているぞい』
 てへぺろ(・ω<)って、ゴシック洋人形がやっている。こんな姿が、ニラニラ動画に投稿されたら、【俺の冷静沈着な薔薇人形さんがこんな事をする訳ない】タグが付く光景で有る。
「ふにゃーそんなに、黒くて、大きくて、硬いもの口に入らないよーあっ、しろいの、こくておいしい」
 ソファーで、寝ていた結衣は、喉をごくんと言わせながら寝言を言った。
 立は、洋人形とペンダントの中の【まさよし】に睨まれた。後日、寝言の中身を聞いた所、その日のおやつに食べた、ジャンボエクレアの事だと分かり、疑いは晴れた。
***
 何時もの様に、立は起き、結衣に布団を掛けた。
 部屋のドアを開ける、其処には、黒い背広のスーツ、七三分けの髪、真四角のサングラス、右耳にはハンガー式のイヤホンを付けた男達が、倒れていた。
『おはようございます、立様』
 アドラーが挨拶をし、戦って居る男を壁に打ち付けた
「一体此れは……」
『ああ、此れはお嬢様が昨夜、急に作られました、夏休みの課題の作品です。お嬢様によりますと100年前に流行った、【私私私】というセリフが、特徴的な人物の外見を使った魔法式自動人形マジックドールです』
 アドラーが、壁に打ち付けた男がヌメリと形を崩壊させて溶ける。やがて、アドラーの前に立ち構え、飛び掛ろうとするとドアが開き、寝ぼけ眼の結衣が現れた。
「アドラーさんにみんなおはようございます」
『おはようございます、お嬢様』
『『『おはようございます、お嬢様』』』
 廊下に居る、アドラー以外の男十数名が壁越しに立ち、挨拶をする。結衣と一緒に1階へ降りると、母とスーツ姿の人物が、庭の家庭菜園場で収穫をしていた。
「スミスさん、其処のトマトも収穫をしてね」
『了解しました。マダム!私はトマト、トマトは上から読んでも、下から読んでもトマト、シンブンシも同じだが、新聞は偏向報道で、トマトと違い、不純物が入って居る。此れが、意思に寄る不可逆性と言うものなのか?」
 母の道子とスミスを名乗る魔法式自動人形マジックドールが、トマトを取りながら哲学的な事を述べている。
「へーこの人スミスって言うんだ!(間違えなくあれですね首に機械付けてプログラム世界行く奴だ)」
「おはようー道子お姉さん」
「結衣ちゃんたらーお姉さん何て、他人行儀はよし!お義母さんのつもりで、呼んじゃっていいわよー」
「はーい!お義母さん」
「お義母さん嬉しいわ、ご飯がもう出来ているから、手洗いをしてから食べちゃってね」
「「はーい」」
 今日の朝食は、鮭の切り身とほうれん草のおひたしに納豆になめこ汁。
 ザ・日本的な組み合わせ、立と結衣は手を合わせ、挨拶をすると食べ始めた。
 ラジオからは、世間一般の情報が流れてくる。
【先日の一般人女性が、公開した情報で、自由連合(自連)の大規模な不祥事が明るみに成り、内閣総理大臣含め全員が総辞職致しました】
【野党、民新党も大規模な不祥事が明らかに成り、大混乱で発生し、政治資金を貰っていない共産党は、大漢民国から大規模な資金を貰っている事が分かり……】
【米国内では、史上初めての女性大統領のヒーラー・クリントンの夫が、8人の女性と一晩中寝ていたと話題に……】
【大漢民国では、官僚の汚職が伝わり、各都市で抗議のデモ隊と警官達が衝突を繰り返しています】
【大ソビエト国家統合体では、多数の行方位不明者が、続発しています。今回の情報公開が、影響していると思われます】
【欧州では、各国の秘密協定や債務超過の隠蔽が公開され、各国は現在国境を封鎖している状態です】
【英国では、株価の暴落とポンドの急落を受けて一次市場を閉鎖しています。世界の金融市場が、大混乱しています】
「怖いねー」
「そうだねー」
 自分の母が、その一般人女性だったと言う事を先日ネットサーフィンをして知った。最終的に公開したページのPV数は、15億。地球の2人に1人が見ていた。
「そういえば、立君私の夏休みの課題見てくれた?」
「あの魔法式自動人形マジックドールだっけ、良くできているね!」
「ありがとう、昨日の夜寝ようと思ったら、ね急に降りて来たの!そして、よく分からないけど作っちゃったの!」
「(恐らくは過去と未来を合わせて、何かさんが、創りましたね)だけど、良く分からない物を学校に出しちゃだめだと思うんだよー」
「そうだねー立君は何を作ったの?」
「ぼくわねー」
 立は、棚に行くと置いておいた帆船を出した。
「帆船だー」
「そして、魔力を流すとねーほら」
 帆船の胴体部に青い光が走り、帆船が浮いた。
「スゴーイ」
「此れは、重力と風の魔法を応用した物です。結衣ちゃんも得意な事を自分なりに、自分で分かっている事を生かして、作ってみれば、良いですよー」
「分かったー頑張るー」
 暫くして、2人は食事を終え、台所に食器を置き、結衣は自室に篭もり夏休みの自由研究を始めた。立は、夏休みの宿題をやり始めた。
***
 夏休みの自由研究が一同に会する、理科作品展会場。多数の白衣の老人達が、2つの作品を囲んでいる。
 1つは宙に浮いた帆船、もう1つは人型の金属質の駆動する人形。
「ほぅ、此れが例の話題に成って居た帆船と人形ですか……」
「はい、何れも我々の知っている魔術式アプリを使っていません。全てが、自前の技術です。まず帆船は、反重力という我々が長年に研究して来た重力研究を超えた物です。此れが資料です」
「此れは凄い!いかに、効率よく魔力を伝えるという所から始まり、帆船を基点に重力の発生を与えるという思考が素晴らしい!是だけで論文が数本かけるぞ!」
「何だ!この式と魔術式は、今まで見たことないぞ」
 ガヤガヤ互いに言い合っていると先頭の老人が声を上げる。
「人形の方は見たほうが早いと思います。では頼んだ」
「バトルスタイルノーマル」
『了解致しました、バトルスタートノーマル』
  人形が動き構え男が、人形に攻撃を喰らわせ様とすると人形は、ヒラリと躱し男に組み付くと首を絞め始めた。
「ギブギブっつ」
『了解しました、バトルエンド』
 おおおっつと周りから歓声が上がる。
 彼等の叡智を持ってしても、此の様に、滑らかな動きをする事は難しいのだ。
「バトルスタイルを調整出来る様ですが、ハードだとどの位いまで、対抗できるのでしょうか?」
「良い質問じゃこの試合を見るが良い」
 先頭の、白衣の老人が言うと映像が展開される。
 この人形とモノアイの翠色の魔法騎士マジカルナイトが、向き合っている。
 やがて、始めの合図で戦いが始まると人形は猛スピードで魔法騎士マジカルナイトに飛びつく。執拗に、関節や排気口を狙い動きが鈍った所で、操縦席部を開けパイロットを引っこ抜いた所で、試合は終わる。
 辺りは沈黙に包まれる。
 魔法騎士マジカルナイトが負けた……圧倒的な戦力と言われ史上最強と言われる機体が出会って5秒で機体に合体され、行動不能にされた。
 魔法式自動人形マジックドール
 これがもし量産されたら?
 世界の戦いという本質が変わってしまう。
 彼等は研究者の本能で悟った。
 白衣の老人はオフォンと咳をし彼等の目を自分に向ける。
「此れを開発したのは、魔法ロボット工学の大家。緋色愛鈴ひいろあいりん氏の娘さん、緋色結衣ひいろゆいさん。帆船の方は、一般人女性の天野橋道子あまのはしみちこさんの息子、天野橋立あまのはしりつ君」
 周りは納得という声、あの一般人女性の息子かと呻き声が聞こえる、老人は続けて言う。
「2人が居る家に行った所面白い物が見れたぞ!」
 ディスプレイの映像が変わると其処にはおさげの三つ編みのメイド長とスーツ姿の男達が戦って居る様子が見える。
 スーツ姿のサングラスを掛けた男の1人がメイド長に飛び掛ると体が裂かれる。
 元に戻り、分裂し、男達がメイド長に向かっていく。
 だが、メイド長によって、目にも止まらない速さで全て叩きのめされる。
 やがて、多数居たスーツ姿の男は1人に戻り、メイド長と対等に目に見えない速さでバトルを始める。
 見ている少年少女が、意見を交換している所で、映像が切れる。
「驚くべきことに2体とも魔法式自動人形マジックドールである。其々2人が作った。此処にある人形は、彼らからしてみればおもちゃに過ぎない!そして、この人形を含め肝心な制御部は、ブラックボックスに成っている。下手に、解析しようとすると壊れる様に、成って居る。此処まで、小学5年生の彼等はやっているのだ……」
 更に周りは驚きの声を上げる、そして老人は声を更に上げる。
「今日、君たちを此処に、呼んだのは他でも無い!彼等の技術を紹介する訳でも無い!我々大人が、己の派閥の研究欲だけで、小学生の2人に勝る結果を出せてたかという疑問を提示したかったのだ!子供成長とは早いものだ!我々の古い考えなど直ぐに産業廃棄物に成る!我々は一致団結し、彼等の出した結果を超える結果を出さねば成ら無い!私は悔しい!この60年、60年、戦争も有った技術も魔法も進化した!だが、我々は、自分の地位と派閥工作に安堵し、新しい物を作ると言う事を失っていた!だから、君達には問いたい!各大学の各界のトップ達諸君が集まり、生み出す次世代の新しい物を作る事に、参加をするかを!!」
 ディスプレイにある物が表示され、更に周りからどよめきが上がる。

 数日後 ラジオから
【政府と各大学は、次世代のエネルギーの魔法式無限稼働炉と次世代の魔法騎士マジカルナイトの研究に着手した事を公開しました。各魔法大学の著名人が、集まりこれの筆頭が東京魔法大学学長の……】
 流れていくるのを聞き、結衣が賞状と帰ってきた作品と一緒に立に見せている。
「見てみて、立君と一緒で特別賞だってーやったー」
「よかったねー(よく考えたら自分が分かっている事って世間の常識じゃない事ってあるんだよねー)」
 ネットでの情報を見て、自分と結衣がしでかした事を思いながらも、共に喜びを分かち合うので有った。

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