~異日本転生~チーオタ少年はハーレムの為に国家魔法師に成る!

奈楼小雪

9「蠢く大人達」


 此処は、日本国の首相官邸。横須賀基地での一件から、危機管理センターを立ち上げ、多数の人間が出入りを繰り返している。一番奥の部屋で、総理とその他の担当者が対応をしている。
 中央に居るのは、現政権の自由連合(自連)の総裁で、銀髪の香川佐貫かがわさぬき総理。ひょっとの様な顔をしている羽入太郎はにゅうたろう副総理。周りは専門家達が居る。よく周りからは、校長先生とヒョットコと言われる組み合わせである。
 「で、これはどうみても、懐かしい頃にやっていた、アニメでは無いかね?」
 「イヤ、イヤアニメでは無く、現実の事なのだ。大体に此れが、アニメだとしたら視聴者が編集者を殴りに行きますよ?大体、一般人女性と魔法騎士マジカルナイトが戦い、女性が叩き潰すなんて別チャンネルってね。だが、後半の魔法騎士マジカルナイト戦は、素晴らしいに尽きます。前半のフィルムを間違ったと思いたいです」
 2人が見ているのは、各所で撮影・録画されていた映像。何れもスーツ姿の女性と赤い魔法騎士マジカルナイトが、共闘をしている所が映っている。
 「所で、赤い方の魔法騎士マジカルナイトは所属等は分かったのか?」
 「イイエ、まだ分かっておりません。アメリカカナダ連合国(ACC)や駐留米軍にも問い合わせをしております。返答は有りません」
 「で、最後の有れはどう思う」
 部屋が暗く成り、衛星からの上からの視点で、巨大な戦車と潜水艦が対峙し、互いに光線を放ち潜水艦が放った光と共に消滅し映像も乱れる。
 「潜水艦は恐らくですが、大漢民国の最新鋭潜水艦でしょうね……彼等は否定するでしょうが……」
 「1に妄言、2に妄想、3に謝罪と賠償。そして、論理的に帳尻を合わせていくと邦人をスパイ容疑で捕まえて、邦人に謝罪させるというお国柄ですからねー」
「だから、俺は総理を断ったんだぜ!わずかな、時間を見つけて、俺はクレー射撃に行ってるぜ!」
 「で、巨大な戦車の方だが、見たところ。赤い魔法騎士マジカルナイトと一般人女性と子供達の姿が見える。恐らくは一般人女性の知り合いだな」
 「あら、総理流石ですわ!話が早くて分かるわ!」
 パチっと部屋のライトが付けられる。部屋の中に居た護衛官達が声の人物に銃型のMADを構えた。その先には、黒い長い髪に蒼い瞳の美しいスーツ姿の女性が居た。
 「お久しぶりですね、総理!有れは実は私の息子と友人の妹の娘でしてね。友人は、とある事情でもうこの世に居ませんが一人っ子だった私にも彼女は妹同然なのですよー」
 「だが、今回の件は少しやりすぎやしませんか?多数の人を救った事は素晴らしいと思います。ですが、各国との協調というのも有ります。また、大臣や野党からも、もしかしたら、二人を参考人として質疑させたいと意見が出てきます。その時は、国の運営を潤滑にする為に、是非ともご協力を……」
 「あら、そんな事でしたか?勿論それができれば●●●●ですけど?」
 「ご協力感謝致します……できない理由に何か心当たりでも?」
 「ええ、これどうぞ」
 女性が鞄を開けると、護衛官達はMADに引き金を置いた。女性は鞄から分厚い紙を出し二人の方に手裏剣の様に投げる。壁に刺さり、総理の頬に血が流れる。
 「見てくださいな」
 総理はその紙の束を壁から抜き取る。見ると顔色を青くし、女性は其れを見て満足した顔をした。
 「各大臣の、政治資金法違反と防衛大臣の各MAD企業からの収賄の証拠。各国との国民に秘匿にしてた農工軍各種協定。野党側の特定国からの資金の流入、牧場のマルチ詐欺の肩を担いだり、災害時の物資を横流し、自分の親族が持っている空港の賃貸料を上げたり、世界中の色んな情報がよりどりみどり」
 「これは、何処から?」
 「さあ、家の母がボケ防止に持て余した時間を使い、色んな人から、得た情報だだそうです。詳しく知りたい事は、夜こっそり入ってゲットして来たって言ってた。一番は、ペンタゴンとCIA本部が難しかったってー」
 「これを知っているのは、私と君だけか?」
 「私が、運営している、一般人主婦の子育てブログで公開したよー」
 「「え…」」
 2人の声がハモる。
「父が良く言ってたのー、大きな騒動を隠すには、更に大きな騒動を起こせば良いと。取り敢えず、私は広報って手法が無い。ブログに何時も沢山人集まっているから公開しといたよー」
 因みに、この一般人女性のブログは、フォロワーが日本と世界に2億程居る。日に日に増加傾向に有った。この日は一日で5億PVのヒット数を超え、世界中を駆け巡る。
 「アバアババ…ワタシのダイイイチヒショガヤった事で」
 「もちつけ総理、ヨシヨシ大丈夫でちゅよ銀ちゃん」
 ヒョットコ顔の人物は、懐から銀髪に背中から黒い翼を生やしたゴシック服を着た人形を出す。頭を高速で撫でていた。撫ですぎて、首がポロっと取れ地面に落ちる。
 「ぎょへえええへっへギンサマーーー!!!クビがーーー」
「ウチの子は、普通に人生を送らせて上げる!其れが母親というものさ」
 女性は、ブリッジを決めた副総理と、虚ろな瞳で何かを喋っている総理を一蔑した。サングラスを掛け、鞄から何か丸い物を出し、部屋の中が閃光で走る。 1人の護衛官が遂にトリガーを引き撃つ。だが、逆に何かに殴られたかの様に顔を腫らし、宙を3回転し地面に打ち付けられた。煙が晴れると其処には、一般人女性の姿は無かった。
 此れを見ていたネットはというと
 【政治・経済スレ】速報【遂に全ての真実が明らかに!昭和の大事件から謎まで、ポロリもあるよ】
名無しさん@ネット監視員:1>乙ノhttp:wwxxxxippanjyosei.kosodate.jp
名無しさん@ネット監視員:これはやばいわ
名無しさん@ネット監視員:震えが止まらない
名無しさん@ネット監視員:国会がやばい
名無しさん@ネット監視員:どいつもこいつも収賄してるなww
名無しさん@ネット監視員:自由連合も民新党オワタww
名無しさん@ネット監視員:英文丁寧に日本語訳してあるし、ちゃんと写真まで添えている。
名無しさん@ネット監視員:CIA長官が部屋の中で使ったコンドームまで写真がアップされている、ウゲー
名無しさん@ネット監視員:一番やばいのはだなhttpxxworld.spy.jpgだな
名無しさん@ネット監視員:あかん…世界中のスパイが全て乗っている
名無しさん@ネット監視員:何だと…アイツラがスパイで無いだと有れは単なるバカだったのか
名無しさん@ネット監視員:スパイというのは優秀な人間がなる者であってジャスコのタイヤ屋の息子がそう簡単に成れる者では無い事が証明されたな!
名無しさん@ネット監視員:後は下山事件が何だとこれは興味深い…
ネットの情報はあらゆる纏めサイトが活躍し始め国民の目に止まり始める。
 同時刻、クレムリン内でこのブログをチマチマと寝ながらスマホで見ている男が居る。前任の大統領はハゲで有った。今回は、ちゃんとフサフサで有る為か何故か妬まれ、軍事行動を起こすと何故か世界中から非難される。だが、このフサフサには秘密が有る、一般人女性のブログのお陰で、薄髪はフサフサに出来た。
 何時もの様に、ブログを閲覧していると驚くべき情報を見た。男はもう一つの歴代大統領のみが、許されたスマホに電話を掛ける。
 「起きているか長官?」
 「はい大統領閣下」
 「例の一般人女性ブログは見たか?」
 「はい既に諜報部総動員で、対応中です!」
 「国内のスパイは全て処分しろ!」
 「はい、例の赤い機体と少年・少女はどうします?」
 「手を出すな、だが他の将軍達は興味を持ちそうだな?」
 「どうします?」
 「私から例の女性には、連絡をしとくよ」
 男と長官の会話は切れる。男は前に、一般人女性と交換したメールアドレスを探す。【素晴らしい情報を有難う。お陰で助かった。クレムリンは綺麗に成る。お礼に、我が国の将軍達が君の息子と友人の娘を狙っているという情報を伝えておく。其れでは幸運を!】
 メールを送り、暫くして男が寝る時にメールが帰って来た。メールを開けると 【アリガトウございます。お礼に此れをどうぞ、もっと綺麗に成るでしょう】
 送られて来たデータを見て、男は心臓が止まりそうに成った。何故なら、彼の国の組織でさえ把握していない、多数の汚職と不正流用口座情報が含む政府末端から高官まで、秘匿口座の入金履歴が示されていた。そして、最後の一文には【貴方の分のデータは消して置いた安心してね】と書いて有った。待ったく、安心出来ない気持ちに、男は傍のウォッカをガブ呑みし、ベッドに倒れこみ寝た。

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