~異日本転生~チーオタ少年はハーレムの為に国家魔法師に成る!

奈楼小雪

4「緋色教授と秘密の部屋」


『うまい、うまい』
『ひゃああyまいいい』
『もう少し、丁寧に食べられない物なのかしら?』
 二羽が、クッキーと紅茶の入ったカップを忙しなく取る。
 そんな、二羽をゴシックロリータ服を着た洋人形が、左手にカップの皿、右手でカップを持ち優雅に窘めて居る。
『だって俺たち、足が2本しかないし手も羽だぞ!』
『そうそう、どうすればイイんだよ!』
 洋人形は暫く考えた顔をする。
『もう、一本足生やせばいいんじゃないのかな?』
『『成程、その手が有ったか!』』
 暫くすると、フギンとムニンの足元から、新しい足がもう一本生えてきた。
「素晴らしい、MOD達が話し進化している!こんな瞬間に、生きている間に会える何て感謝感激雨あられよ!」
 ハァハァと鼻息を荒くしながら録画をしている女性がいる。
 その後ろで、立と結衣の二人はタブレット端末を一緒に見ている。
「わたしの名前を漢字で書くとこうなる」
 緋色結衣ひいろゆいと表示される。
 ドッカの機動戦士物で、毎回自分の機体を自爆させ【死ぬほど痛い】が迷言の主人公みたいな名前だ。
 気のせいだ。
「僕の名前は漢字で書くとこうなる」
 天野橋立あまのはしりつと表示される。
 観光名所の様な名前だが気のせいだ。
「そうそう、りつくんわたしが、何時もしてる事を見せてあげる」
 結衣は棚から大型のタブレット端末とロボットの置物を立の前に持ち、タブレットの電源を入れる。
 其処には、多数の式と幾何学模様が現れる。結衣が、操作するとロボットの置物の目が、光りぎこちなく歩き始める。
「此れは君が作ったのかい?」
「うん、お母さんが、作っているのをまねして、つくってみたの」
「(5歳でですか…この時代の幼生体の進歩は凄い)僕もやってみよう(コマンド:サーチ発動)」
 立が、ムニンの力を使うと脳内には、結衣が作ったデータが表示された。
 人工知能●●●●だった立として、見ると多数の粗やミスが見られた。
「ちょっと、直して良いかかな?」
「う、うんいいよ?」
「ありがとうやってみる(データリンク参照:2150年の米国機密事項1-3-2 完全自立型機械化兵をトレース、ムニンの能力で、互換性がある様に破壊デストロイ開始)」
 データが、破壊され改変されたのを確認した。
「出来たよー動かしてみるね」
 プログラムを動かすと、今までぎこちなかったロボットが、滑らかに動き始めた。
 バク転を始め、足の裏のモータで、ムーンウォークする。最後は、スケート選手の様に躰を反り、片足を付けるビールマンスピンをし、元の状態に戻った。
 後ろの女性とMOD達以外の沈黙が、テーブルを支配した。
「(な、なにか悪いことしたかな?)」
 心配に成り、結衣の顔を覗き込む。其処には、瞳を綺羅綺羅させた結衣がいた。
「すごいのです!なめらかに、うごくのはじめてみました!お母さん、みてみてすごいよ」
 結衣の声を聞き結衣の母親が、テーブルに来た。
 結衣の母親は、ロボットを動かし、全ての動きを見た。
「ちょっと結衣、良い?このデータ私の端末に送ってくれないかな?」
「はい、お母さん」
 結衣の母は、シーツで追われた物を外す。其処には、ブラックな珊瑚礁ラグーンで、出てきたメイド服を着たメガネを付け、黒髪におさげの女性が現れた。
「コード007、起動せよオートマタ、アドラー」
『声帯システムの一致を確認、アドラー駆動開始。こんにちは、ご主人様』
「アップデートを開始、私の情報端末から今データを其方に送る」
『データを確認……アップデート完了……再起動実行』
 一度目を閉じ頭を下げ、再び顔を上げた
『再起動を確認、ご主人様、ご命令をお願いします』
「先ずは、歩いて見なさい」
 メイド型ロボットは、人間が歩くかの如く滑らかに動きを始めた。結衣の母は、ペンと紙を持ちメイドロボの前に出す。
「ペンと紙を受け取って、自分の名前を書いて見なさい」
 メイド型ロボットは、器用にペンと紙を受け取り、自分の名前を書いて見せた。
「信じられない……最高の性能に、最高のプログラムを入れたのに……」
『ご主人様、今までの魔術式アプリは私のエネルギー伝達率が30%でした。現在は98%と三倍、今までの魔術式アプリと比較すると複雑ですが、簡素化されています』
「しかも、自分で考える。じゃ、私の組んだプログラムに付いて言ってみて!」
『残念ながら複数の所で、デバッグ時に出ないバグが、有ります。完成度は高いですが、この魔術式アプリに比べますと月とスッポンの違いが、有ります』
「!?」
『ご主人様の魔術式アプリは、完成度は高くて美しいです。現在の魔術式アプリは、有り得ない位に完成されています。大勢の人間で、長い間熟成された様な美しさが……』
 其れを聞いて立は、一瞬自分の前世を知られた様な気持ちに成った。
 米国機密事項1-3-2 完全自立型機械化兵のシステム、技術者達がロボットが大好き過ぎ、ロボットアニメを出さないと発作を起こしてしまう日本のロボット系企業情報端末から情報をぶっこ抜いた、情報を元とし制作されてた。
 其れは軍事方面に、5年と2兆円の金額を掛け、バグなしの完全無欠のシステムが創られた。だが、其れを入れるロボット、エネルギー源に掛かる費用が一般兵士に比べてかなり高いと分かり、破綻に成った。
 まあ、確かにグリーンカード1枚で、若くて元気な躰の移民を訓練し、前線で戦わせた方が1個1億円掛かるロボットを作るよりは、効率的とも言える。
「立君、此れを論文と特許申請しても良いかな?勿論共同で出すし、ロイヤルティーも貴方6、私4でどうかしら?」
 答えに立が、悩んでいるとトントンと入口の扉を叩く音がし、結衣の母親がカメラで外を確認し開けた。
「道子先輩、お久しぶりですー」
愛鈴あいりんちゃん、久しぶり元気にしていた?これ、どうぞ!愛鈴ちゃんが、大好きな洋菓子店ボヘミアのケーキだよ」
「ありがとー御座います」
 道子が、入って来て立を抱き上げ、菓子の良い匂いに包まれた。
『こんにちは、ご主人様のご友人様、私の名前はアドラーと申します。宜しくお願い致します。』
 メイドロボは、深々と礼をし道子は愛鈴の方を見た。
「凄い、前見た時に比べたら、もう是れ完全に人だよ。っという事は、アレ●●も実装してあるの?」
「ええ先輩、アレ●●も実装して、あります。先輩でも、今のアドラー相手だと厳しいかもしれませんよ?」
「立!ちょっと是れ持ってて」
 着ていた上着とカバンを預け、ワイシャツをスカートから出し、両手にナックルを付け、両手を合わせた。
「こんにちは、アドラーさん。私は、天野橋道子と言います。一戦、宜しいでしょうか?」
『こんにちは、道子さん。私は、アドラーと申します。お受け致しますわ』
 メイドロボのアドラーも両手からトンファーを出し、両手を合わせ、挨拶を互いにした。
「アイェェェ、何で此処で暴れるの!道子さんに、アドラーさん待って下さい此処で暴れられたら……」
『「問答無用」』
 道子とアドラーが動いたのは、ほぼ同時。埃が舞い、紙も舞う。
 一撃目は、互いの頬を擦う、互いに狂犬の様な笑顔で、戦闘を開始した。
 ナックルが、壁に当たると壁が崩れ廊下が見る。トンファーが、横一線で風を切る。
 延長線状の、人形と二羽がいるテーブルが真っ二つに割れ宙を舞う。
『こんな時でも、優雅に飲むのがレディの宿命』
『『の割には、飲んでいた紅茶をぶん投げて、逃げたわけだが』』
『ねぇ、2羽とも知っている?昔の言葉に逃げるが勝ちって言葉があるのです。クッキーは持っているから、セーフですわ』
 言い争い、其々逃げ結衣と立の手元に戻って来た。
 ガキンと音がしトンファーとナックルがぶつかり合う。
 衝撃で、向かい合った二人の間に、置かれて居たミュージックプレイヤーが動きだし、第九が流れる。
「やりますわね、ロボットなのに、どんな魔法を使ったか分かりませんが、前戦った米国の特殊部隊並みにやるじゃない?今度は魔法を使って行くわ」
 道子のナックルが、金色に光りだす。
『良い勉強に成りました。ですが、魔法勝負なら私も負けませんわ』
 スカートの中から右手にカバン、左手に傘を出した。
「傘と鞄で、私にどう勝とうというのかしら」
『こうですわ!』
 傘を向けると、先端の銃口から音楽のドンという音に合わせて光り、道子めがけて飛んで行き、周りが土煙で覆われる。
 この魔法研究大学に取って、最悪の一日が始まった。

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