グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第91話 雨に風につけても(世間の)


 ――2100年4月25日18時30分首都校警備局
 【多数の司法関係者が死亡した事で】 【一部報道では、関係者による口封じだと】 【先程入った情報では、児童福祉施設の院長が……】
 っといった情報が映像と共に映し出される。
 【一部報道では、関係者が性犯罪に加担していると】 【政府の見解では、その様な事実は無いと】 【野党及び市民団体は、国会と公開質疑を求めていく予定です】
 雑誌や新聞でも続々と取り上げられている。 警備局前にも新聞記者達が、ぞくぞくと姿を見せる。
 「人の口に戸は立てられないというが早いな」
 『まぁ、先輩。あれ程大規模な事が有ったら誰だって興味を持ちます』
 「確かに」
 2人の前に映るは、倒壊し炎と煙を上げるビルディングの映像。
 2人の手元には極秘資料が置かれている。
 ~~極秘資料~~
 この件は、司法上層部を護送中に起きた。 多数の自衛隊特殊部隊員を配置し、万全な体制であった。 が、一橋駅付近で装甲車両が暴走。
 ガードレールを突き破り、近くの新聞社に突っ込んだ。 護衛対象は、装甲車から脱出時に何者かに銃殺された。
 姿は前橋宇佐美まえばしうさみこと、地獄の傀儡師ヘルマリオンである。 だが、詳細な調査の結果、マギウス波は一致せず。 姿を偽造するメンタルギアを持つ適合者フィッターと推定される。 全員、合言葉等を決め互を確認出来る様にしとくように。
 ~~終了~~
 『姿を偽造だけですか……我々の見解とは一致しませんね』
 「もし、他人を操る事が可能。で最後は頭が吹き飛ぶなんて言えるか?」
 『イヤ、その情報が流れただけで世間はパニックになります』
 「人々は、10年前の地獄の傀儡師ヘルマリオンの事を忘れていない」
 【本日、グンマー校の代表と首都校首席が会談をしました】 【場所は、都内の焼肉店で行われた様です】 【内容は不明ですが、先日の石川・富山と長野の一部を開放した事と推定されます】
 各メディアの映像に映るは、ウサ耳少女の前橋宇佐美。 銀髪紅目の少女は、白虎乙姫びゃっこおとひめ。 2人の美少女達が、焼肉店から出て来て手を振る。
 「まぁ、本物の地獄の傀儡師ヘルマリオンはウチの首席が抑えている」
 『抑えられますかね?』
 「ウチの首席は、グンマー首席と唯一対等に戦える人だ」
 『此方に来て、良く聞きました。映像でも残っていますよね』
 「ああ、そうだな。10年前の戦いの記録は残っている」
 先輩少年は、図書映像ライブラムーヴィを展開する。 映像に映るは、全てが消滅しクレータに変わった半径10kmの世界。
 この時代、誰もが見る映像の一つに【横田の悲劇】がある。
 ~~横田の悲劇~~
 群馬独立戦争グンマワー開始時、真っ先に狙われたのは米軍横田基地だった。 狙われたのは、航空自衛隊総司令部。 日本における対ビーストの制空権指揮権を持っている箇所でも有る。 そして、正月にそこを急襲したのはたった1人の少年。 現在のグンマー首席、至誠賢治しせいけんじであった。
 迎え撃ったのは、対グンマー様に集められた適合者フィッターの少年少女達。
 結果は、八王子市から狭山・所沢までが消滅。 住民や軍関係者を含め100万人以上が死亡した。
 ~~終了~~
 唯一生き残ったのは、白虎乙姫びゃっこおとひめ
 戦争終結時まで、50回以上に渡る死闘を繰り返し今に至る。 彼女と共に彼と戦った適合者フィッターで、生き残った者は居ない。 つまり、彼女は唯一グンマー首席と対等に戦える存在であると認識された。
 戦後は英雄として、首都校首席を7歳から任命された。
 『意外にも、選挙無しで指名されたのですね』
 「そこは、選挙で選ばれるグンマーに部が有るな」
 そう先輩少年がボヤいているとスマホに連絡が入る。
 「鉄斎、その指名された方から、我々のお呼び出しだ」
 『はい』
 2人は、乙姫がいる首席専用校舎へ脚を向けた。

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