グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第33話 関西絶対防衛要塞 前編★


 要塞内司令部は、混乱の極み。 突如として、攻撃を受けたのだ。
 司令部内では、男達が怒鳴り声を上げている。
 「敵の攻撃か!レーダには?」
 「映って無かったです」
 「では、一体何が!」
 「襲撃者映像でます」
 外部のカメラに映るは、朱い髪に瞳の少女。
 「グンマー副首席、赤城朱音あかぎあかね!」
 誰かの一声と共に、室内が騒ぎ出す。。
 「業火の女神ヘルフレイア
 「悪魔だ!」
 「皆殺しにされる!」
 司令部内は、パニックが起こる。
 『静まるのおじゃる!!!』
 染めた様に白い顔、お歯黒の歯の男が言う。 その様は、時代劇で出てくる公家の麻呂。
 <a href="//19656.mitemin.net/i234657/" target="_blank"><img src="//19656.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i234657/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
 『要塞部隊に迎撃を命じるおじゃる!後、姉川に展開中の部隊を戻すおじゃる』
 「司令官、本気ですか?アレは、福井開放に集めた部隊」
 『本気おじゃる!あの娘に要塞部隊だけでは、勝て無いでおじゃる』
 「買いかぶりでは、御座いませんか?小娘一人に?」
 『アレに勝てるのは、グンマー首席と首都圏の首席、副首席おじゃる』
 「では、どうしろと?」
 『少し戦わせ、疲弊させお帰りねがう』
 「グンマー相手に、出来ますでしょうか?」
 『するので、おじゃる。何とかするのだ!』
 「司令!要塞外の派遣社員部隊!準備が出来ました」
 『迎撃げいげき、おじゃる』
 関西絶対防衛要塞から、多数の外装武器ペルソナが展開され攻撃が始める。 蒼、翠、白、様々な色の弾が、朱音あかねに向かって飛んでいく。
 少女が笑顔を見せ、右手の人差し指をチッチッと左右に振る。 多数の弾は少女の前で壁に弾かれ、綺麗な爆炎を上げる。
 「全弾、弾かれました!次、対適合者トゥフィッター部隊出ます」
 爆炎の煙の中に、全身をバトルスーツを覆った兵士達が、姿を見せる。 何れも、銃や刀型の外装武器ペルソナを持っている。
 隊長らしき兵士が、ハンドサインをすると1人が飛び掛かる。 飛び掛た兵士が、朱音に向かって刀を振り下ろす。 大地に、何かが落ちた。
 朱音あかね副書記の首だろうか? イヤ、墜ちたのは振り下ろした兵士の両腕。 両腕から、血が溢れ大地に倒れる。
 囲む兵士達は、驚く気配を見せない。 さらに、別な1人が銃を撃ち、朱音に注意を向けさせる。 その間に、別な1人が朱音にナイフを振るう。
 まず、血祭りに上げられたのは、ナイフを持った兵士。 朱音が、ナイフを蹴り上げる。 雁字搦めにし、銃の斜線に投げる。 アッという間に蜂の巣にされ、肉片に変わる。
 最後は、銃を撃っていた兵士へ顔を向ける。 一瞬で燃え上がり、地面に躰を転がし火を消そうとする。 火は消える事無く全身を覆い、動きを止めた。
 周りには、多数の同じ様な格好をした兵士が囲む。 仲間をやられ、いきり立っている様に見える。
 朱音は、退屈そうにアクビをすると右手を向けた。
 「なっ!」
 司令部の1人が、声を上げる。 それも、無理は無い。 全員の腹から紅い刃が、出ていた。
 『炎恨グラッジの太刀じゃ』
 「司令どういった、能力で?」
 『敵意、殺意、憎しみの炎を顕在させるおじゃる。相手は……』
 「相手は?」
 『死ぬのじゃ』
 全員の躰が、ぶっと震えたと思いきや燃え上がり炎上した。
 「何と、恐ろしい……能力」
 『死んだのは、派遣社員だから問題は無いおじゃる』
 「ハイ、司令!正社員は要塞内で準備中です」
 2100年の時代でも、常に犠牲を強いられるのは、派遣社員。 彼等は派遣先で、学習装置で知識を入れられ、兵士と化す。 ただ、時給はとても良く、1時間5000円の高収入。
 今回、彼等は不幸にも、3ヶ月分の給料と同等の石に変わる。 燃え上がった彼等は、キラキラと輝くダイヤに変わっていた。
 朱音は、転がったダイヤを拾い呟く。
 「ウーン、ゴミね!派遣にしても品格が無いわね!」
 全てのダイヤを踏み潰し、要塞の中を見る。
 「中には、正社員が沢山いるし。楽しみね」
 要塞の方へ目をやると壁が赤く変色し、溶け始める。
 「ダイヤの原石でも良いから、良い子居ないかなー」
 朱音は、要塞の中に入っていく。

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