グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第21話 立山攻略 前編★


 グンマー校首席親衛隊。 10の軍団からなる、首席直下の部隊。 戦闘員・非戦闘員を含めると1万人を超える部隊。
 適合者フィッターや非適合者フィッターでも能力が無いと入れない部隊。 何より、グンマーへの絶対的な忠誠を求める部隊。
 今回は3軍、3000名の戦闘員が、参加している。
 現在彼等は、登山中。
 山登りと言っても、速度は車より早い。 肉眼でうまく捉えられない程度の足の動作で、走っている。 しかも、上半身を微動だにさせてない。
 わかる人なら、【十○集走り】と言いそうだ。
 グンマー校では幼少期から通学の為、こう言った走り方をしている。 市街地を走るため誤差3cmの急停止、高速Uターンは必須。 そして、地域の理解を得るため小物への影響の削減は義務化されている。
 多くの生徒が、通学で使っている為に乗り物を殆んど使用していない。 現在、環境に優しいとして各国で導入を検討されている。
 そんな説明をしている間に、先頭が槍ヶ岳に付いた様だ。 山頂では、登山ワンダーフォーゲル部と山岳部が握手をしている。
 グンマー校での山岳部と登山ワンダーフォーゲル部の違い。 山岳部は、食料を現地調達で賄う集団。 登山ワンダーフォーゲル部は、完全登山装備で登る集団。
 違いを分かりやすく、説明する。 山岳部は、全員男で現地で全てを行うタイプ。 登山ワンダーフォーゲル部は、全員女子で事前調査や体力作りを主としている。
 <a href="//19656.mitemin.net/i235380/" target="_blank"><img src="//19656.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i235380/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>  <a href="//19656.mitemin.net/i235381/" target="_blank"><img src="//19656.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i235381/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
 2つのグループは、対立している訳では無い。
 「今日も新鮮な熊肉が、手に入ったよ!」
 「こっちも、新鮮なワサビや野菜が手に入ったわ」
 2人の男女は何というかアレだ、夫婦の様に見える。 そんな、2人を目を覆った指の間から見ている少女がいる。
 「フ、2人とも、で次は何処に行けば良いんだ?」
 上ずった声で、尋ねる。
 「「ひゃくえ、親衛隊隊長」」
 赤く染まった頬を見せるのは、白衣加奈子びゃくえかなこ親衛隊隊長。 どうやら、男女のこういった様には慣れていない様だ。
 「で、どうすれば良いのだ?」
 「あ、ハイ、データ展開します」
 データが、展開される。
 次に目指すは立山、途中の高瀬ダムと黒部ダムは確保する事。 3班に分け、薬師岳、水晶岳、唐沢岳の三山を占領。
 高瀬ダムを確保した部隊は、浅間山から【例の砲塔】を運搬。 薬師岳、水晶岳を占領した部隊は、立山及び、劔岳を占領へ向かう。
 【例の砲塔】は、剱岳つるぎだけに設置する。

 「朱音あかね副首席は?」
 「富山のビーストを押し流すべく、各ダムの破壊に向かわれました」
 表示されたのは、富山へ流れるダム。
 有峰ありみね祐延すけのぶ熊野川くまのがわ。 神一、久婦須川くふすかわ室牧むろまき。 御母衣みぼろ鳩谷はとがや椿原つばきはら。 祖山そやま小牧こまき城端じょうはな。 臼中うすなか刀利とうり
 計14ダムが、表示される。
 「朱音あかね副首席殿、富山全土を水責めとは、エゲツナイですわ」
 思わず、親衛隊隊長の白衣ひゃくえは声を上げる。 それに反論するのは、山岳部と登山ワンダーフォーゲル部の2人。
 「分かります、ですが富山市内は、沢山ビーストがいます」
 「一番早いのが、水で流す事です。最後は、副首席の能力で何とか可能です」
 2人は、両手を合わせがら言う。 ウン、リア充爆ぜろっという感じ、槍ヶ岳が休火山で良かった。 下手な山だったら、大噴火していただろう。
 「分かったわ、全員に通達!」
 白衣ひゃくえは、通達をスマホで伝える。 そして、槍ヶ岳から飛び降りる。
 「「隊長!!」」
 2人が慌てて、下を見る。 其処には、全長100m程の大きな観音像が歩いていた。
 「ウチの観音様は、デカイなー」
 「しかも、手が沢山生えている」
 手の中に、収まった白衣ひゃくえは手を振る。 ノッシノッシと山を飛び越えながら、多数あまたの手はビーストを屠る。
 紫色のビーストの血が跳ね返り、白い観音像が紫に変わって行く。
 「アレが、コードネーム、紫観音パープルキャノン
 「スッゴイ!さて、お昼ご飯を作ろう!」
 登山ワンダーフォーゲル部は炊飯部隊と共に、鍋と包丁、コンロを出す。 飯が無ければ、戦闘という物を続ける事が出来ない。 兵站は、何より重要……なのだ。
 他の戦闘員は、命じられたたけに向かっていく。
 戦場と台所、己の戦場へ向かって行く。
 2100年4月17日11時30分。 親衛隊は立山及び剱岳、占領を開始。

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