グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第18話 反撃の狼煙(爆発)


 長野県上空、数機の機影が雲の上を滑る。 5機は護衛の戦闘機は最強の制空戦闘機、F-15イーグル。 護衛されているのは米国空軍の情報収集機、RC-135。
 「グンマーの方から、電子情報は得られているか?」
 「イヤ、得られていない」
 「もう少し寄って、空中から撮影をするか?」
 「イヤ、辞めとく。撃墜デッドボールは勘弁だ」
 「野球ボールで、撃墜とか空軍中で、笑いものに成るのは勘弁だ」
 暗い部屋の中で、ディスプレイを見ながら彼等は言い合う。
 彼等が、言っているのは先月の事。 同じ編成の部隊が嬬恋周辺を強行偵察し、撃墜された。 撃墜と言っても、その場で堕ちたわけでは無い。
 F-15イーグルは、エンジン部に被害を受けたが、NEO埼玉の基地に帰投。 RC-135は機体の尾翼、エンジン、右翼が破壊され、航行不能で帰投不能。 御巣鷹の峯に激突し、搭乗員全員が死亡。
 国連軍は直ぐ様、グンマーを非難するべく調査をした。 調査の結果、驚くべき事が分かった。 エンジン部に入っていたのは、野球のボールだった。
 ただ、野球ボールは普通のとは違い鉄球で有った。 しかも、米国の公式野球ボールで有った。
 米国の野球リーグには、2種類有る。 一般人男性が、試合をする大リーグ。 それ以外の者が、試合をする鋼の精神アイアンメンタルリーグ。
 大リーグは、ビーストに襲われてない街で市民の娯楽に開催されている。 鋼の精神アイアンメンタルリーグは、ビーストがいる所で開催される。
 普通の野球は、選手・観客が主体。 鋼の精神アイアンメンタルリーグは、選手・観客・ビーストで構成。
 勿論、人気が有るのは、鋼の精神アイアンメンタルリーグ。
 この時代の大リーグは糞ゴミで、拝金主義である。 試合中、外野は飛んで来たボールを取るだけ。 投手やバッターも自分の仕事をすれば良いから、ブクブク太っている。 キャッチャーとバッター、ピッチャーの3人で試合をした方が良いと言われている。
 鋼の精神アイアンメンタルリーグは、楽しい。 試合中にビーストが、襲ってくる。 油断をしていると襲われる。 油断が出来ないので、全員が引き締まった躰をしている。 試合中に大量のビーストが乱入し、全員での戦闘も有る。
 人気なのは、鋼の精神アイアンメンタルリーグ。 大人の試合会場は、危険なビーストが多数生息している。 子供の練習場は、郊外の弱いビーストが住んでいる所が選ばれる。
 鋼の精神アイアンメンタルのルールは、自己責任。 練習や試合中に、死んでも文句は、言わないルール。 ファールボール等で、死んでも文句を言わない相互ルール。
 っという公式ルールの為、米国及び、国連軍は文句を言えない。 
 「このままでは、ラチがアカねーぞ!」
 「分かった、アサママウンテンまで、行こうか!」
 「分かった」
 情報収集機、RC-135は向きを変え浅間山に向かって動き出す。 浅間山周辺機に来たとき、画像を見ていた1人が声を上げる。
 「オイ、なんだ!此れは」
 1人が声を上げ、全員が覗き込む。 其処には、黒に金色の服を来た姿の何かが写っていた。
 「人間だな、マギウス値は?」
 「全員が、高度な練度の適合者フィッター
 「登山でも、しに来たのか?」
 「非常に高い、マギウス反応を確認」
 浅間山山頂の映像が、拡大される。 其処には、超大型の砲塔が置かれいる。 周りには、多数の謎の機械で、囲まれている。
 「本部に、緊急電だ!グンマーが動くと0959ッツ!!」
 突如、後方が光り、機体が揺られる。
 「一体何が!」
 「後方で、大爆発です!噴煙が舞い上がってます」
 「機体の高度上げ、退避だ!」
 機体が、ガタガタと揺れる。 カツン、カツンと石の様な物が当たる。
 「もっと高く!巻き込まれるぞ限界高度まで上げろ!」
 「何だアレは!」
 1人が外を指差し、双眼鏡で見る。
 「鳥、イヤ、戦闘機、イヤ、人間だ!」
 ノイズが走る映像に映るは、両脚の裏から炎を出し飛ぶ赤髪の少女。 中々に、シュールな光景である。
 「マギウス波から確認、業火の女神ヘルフレイアです。グンマーの副首席です」
 「あれが、業火の女神ヘルフレイア……ふつくしい」
 彼が、そういうのも分かる。 朱音副首席は、躰から炎を出し、巨大な炎鳥と化している。 その様は、不死鳥フェニックスの様に綺羅綺羅と何かで、溢れている。
 朱音は、立山方面へ向かって飛んでいく。

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