しろうず。

たっくん

3生 こだわりとおどろき

まぁそんなわけで僕(こと、師郎)と生野は昼飯を食べに来ている。僕からの提案で、そうめんを食べることにした。

すばらしいよな、そうめん。

あのツルッとしていてモチっとした食感。

そしてあの透き通ったような純白のフォルム。白い。どこからどう見ても白い。

この純白の見た目は、そう。

まるで、きn

「うめぇなぁ!」

…できるのなら僕が地の文を述べている間は黙っておいていただきたい。それも今は、僕の好物であるそうめんを食べているのだ。

静かに食べたいのだ。

今回ばかりは許さねぇ。

おれは怒ったぞ、生野。

そう思い、ひとこと言ってやった。

「それな!!」

…あれ?生野が満足そうにニコニコしてやがる。まさかここで言葉の選択ミスか。

ふむ。

やはり現代語は難しいな。もっと練習せねばなるまい。

さて。食い終わったし会計に行くか。

…っと。そうそう。

今僕には、あるこだわりがあってね。

暇人の、暇人による、暇人のためのこだわり。もとい暇つぶしだ。

それは、“一円一筋”だ。

説明すると、店でのお代を全て一円玉だけで支払うという、まさに一円玉一筋の人間になることだ。

まぁ、店側としては殺したくなるほど面倒な客だろうがな。

殺してくれるのなら、こちら側(といっても僕だけ)としてもありがたいんだがな。

どうも、この時代の人間は人を殺そうとするやつが少ない。

僕がちゃんと人間だったころは、殺し合いなんて日常茶飯事だったのに。

時代の移り変わりとは虚しいものだな。

…話が逸れたな。大人しくお代を支払おう。

「お会計、820円になります。」

さて、あらかじめ数えておいた一円玉500枚をまず出して、と。

「…!?」

ふふふ。店員よ、驚きを隠せないようだな。

では残りの320枚。数えて出させてもらおう。

~10分後~

「…!?」

今度驚きを隠せていないのは誰であろう。

そう。僕だった。

なぜかって?

ふふ。聞くまでもないだろう?

足りねぇんだよ、一円玉がぁッッ!!!!

あと3枚なぁッ!! 

くそ…、どうして…どうして足りない…!?

思い出せ…思い出せ…、おれの脳細胞よ、フル起動しろぉぉぉぉ!

…あ。そうだ。これだ。

~3時間前~

師郎「腹減ったよぉぉぉ!?(狂)」

友人A「お、しろちゃん。いいところに。おれ今パン持ってんだけどさぁ、200円で買わねぇ?」

師郎「買います!買わせていただきます!」

~現在~

…あいつか。たしかあのあと腹壊したよな。

よし。あいつは帰ったら半殺しの刑だな。

…いや、どうしよう…なんとかしてこの場を打開しねぇと…。

そ、そうだ!

生野がいたじゃねぇか!

生…

僕が後ろを振り向くと、軽く上から目線で、 バカにしてるようにニヤけながらこちらを見てくる人間(生野)がいた。

…野には頼らないで自分でなんとか解決しねぇとだ。

困り果てて辺りを見回してみると、

神の声が…いや、店員さんの声が聞こえてきた。

「お客様、そちらの一円玉を5枚までお使いいただいても大丈夫ですよ?」

かわいらしい笑顔と共に、その女性店員は僕に一円玉を勧めてきた。

一瞬。神と見間違えた。

…3枚使って、とりあえず支払った。

ていうか、この店員さん、美しいな。

今すぐにでも嫁にしたい。

いや、ここは名前だけ聞いておこう。

えっと。

「大変恐縮ですが、お名前だけ聞いてもよろしいでしょうか。」

「丁重にお断りさせていただきます。」

丁重にお断りされてしまった。

あとから聞いた話だが、僕、あのとき相当ニヤけてたそうだ。

…そりゃあ丁重にお断りされるわな。


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