大統領フルスイングで殴ったら異世界に転生した件。

慈桜

38


例えシルビアが、母親が今、目の前に現れようが泣いて止めようが、軽蔑されようが・・・。この激情が静まる事は無いだろう。命が軽いこの世界でも自分の手を直接汚すのは避けてきた。だが、イースを泣かした奴隷狩りは俺は絶対許さない・・・。いや、絶対に許すわけにはいかない。何処に逃げようが必ず俺が終わらせてやる・・・・。
使用者制限の解除には、大掛かりの機材がいると聞いた事がある。まぁ、アレンのポーチの中身ぶちまけてやろうとした時に聞いたんだが。とりあえず、奴隷商の場所を聞くしかないか。そこらで聞いてみるか。ちょうど優しそうなおばちゃんがいるし、この人でいいだろう。
「あの、すいません。奴隷商って何処にありますか?」
簡単に教えてくれた、スラムから抜けた1区、ここの左翼はほとんどがそうなんだそうで・・・。しらみっつぶしに行くしかないか。とりあえず端から端まで歩いてみるか。
「スキンヘッド顔面刺青スキンヘッド顔面刺青スキンヘッド顔面刺青スキンヘッドがんめんいれずみ・・・・・・・いた。」
何回呟いたかわからんが見つけた。スキンヘッドに顔面刺青。俺の鞄は持っていないが手にポーチを持ってる。服の汚れはイースの返り血か?なに余裕こいてフラフラ歩いてんだ?晩飯でも食ってたのか?なんにせよ見つかっちゃったなクソ野郎。ぼろい館に入っていったけど、あいつにしては上等すぎる棺だわな。
あぁ、やべぇわ。頭ン中真っ白になりそうだ。体の芯から熱が込み上げてくる・・・。口の中が乾燥して舌がざらざらで息がしづらい。
俺は、あいつに、地獄を、見せる。
いくか。
「こんにちわ」
って誰もいねぇのかよ。小さいカウンターがあるから受付みたいなもんか、休みかな?どうでもいいけど。いや廊下みてぇなもんだな。それなら奥か・・・・。どうやら奥から声が聞こえるな。
『ははは!!死ぬまで贅沢できるぜぇ!!!あーっはっはっは!!!』
はい、確定。さぁ、ハゲズミ、俺と遊ぼうか。
『あ?誰か来たかぁ??今日は休みだぞぉ!』
いい耳してるな。足音でも聞こえたか?さぁご対面だ。お前は今から感動の連続だよ。
「どうも・・・お前一人か?」「あぁ?なんだおまえ、ガキが来る店じゃねぇぞ??もしかぁ、あのガキのお友達か?友達だけじゃなくてぼくもいじめてほしいんでしゅかぁ??てか言葉わかんのかお前よぉ?ははっ」
硬そうなソファにむりやりふんぞり返って何がしたいんだコイツ。背中痛くねぇのかよ。背骨おかしくなるよ君。おちつけ、おちつけ俺。そうだ、大きく息を吸って、吐いて。
究極アルティメット・・・・・盗技スティール
「あぁ?何言ってんだお前?そんな白いちゃっちい棒で俺とやるんか?はは、もういいよお前!飽きたから帰れよ!!出口わかんねぇなら手伝ってやろうか?」
おえぇぇぇ、気持ち悪。でも、いい感じに背筋に寒気が来るよ。どんな壊れ方するのか見せてみろよ!
究極盗技アルティメットスティールおえぇぇぇ、やっぱきもちわる。」「おめぇはさっきから何言ってんだこらぁ!!!さっさと出てけって・・・え」
そら盛大にこけるだろうよ、お前の脛骨2本ここにあるんだから。
「あは!これ、お前の骨な!!俺のスキルって人の骨抜いたり入れたりできるんだよねぇぇ、返して欲しい??」「な、なんだよそれ、そんなスキルあるわけないだろ。早くなんとかしろよ!!おい!!」
ピコン(創造神により規制がかかりました。以後、究極盗技による人骨への神技行使は不可となります。)
こいつ話聞いてる?てかまじで??クソジジイどっかで見てんのか?今までなんでもありだったのに規制とか。俺のこれからのブラックな復讐はカルボーン的な仕事人だなとか思ってたのにこんな奴で規制とか・・・・。まぁいいか。こいつはこいつでそんだけの価値あんだろ。無抵抗でいる事しか出来ない子供を好き勝手痛めつけて、治癒魔法かけながら仕返ししてくるって言ったら泣いて止めてきたんだぜ?今までイースの友達が何人も売られたり殴られたり殺されたりした話を聞いた。こんな奴、生きてる価値は皆無だ。
てか・・・。
「お前誰に命令してんだ?」
返事は無い。やっと理解したようだ。状況把握ですね、わかります。今、こいつは恐怖を感じている事を理解したようだ。思ったより相当早かったな、あっけなく顔が変わった。目を広げて瞳孔が広がって小刻みに震えてる。でもそれが普通かもな、スキルも何も無いただのカスだ、子供をいじめる事しか出来ない脆弱な存在。ただ体が大きかっただけで強くなった気にでもなってたんだろう。
「なんか言ってみろよ、おい」「交渉だ!交渉しよう!このポーチと交換だ!!いいだろ?もう使用者権限の解除もできてる!!中もすげぇぞ?だから頼むよ、骨戻してくれよ、返してくれよ!!」
あはははは、こいつ馬鹿、すげぇ馬鹿。戻せねぇよ。なんだよ骨返せって。いきなり骨2本渡されたらなんて言うのかな?俺だったら真剣に、え?って言うわ。二度見するわ。
「いらねぇし、つかお前さぁ、イースが返してって言っても殴り続けたんだってなぁ?」「ひっ、償う、償うから許してくれ!!これを売った金であの子を幸せにするからゆるしてくれ・・・許して・・・・頼む」「いやいや、まず教えてあげるけど、これ俺のだから。もういいからそう言うの。とりあえず手は痛いから蹴りで我慢してくれよ?一応鉄板入ってるし体術のレベルも7だからそれなりに痛いとは思うからさ、終わったら骨返してやるよ」「やめてくれ!!やめてくれ!!!やめでぐべぇぇぇ!!」
くっそ、奥歯って折れねぇな。うまくいかねぇもんだわ。けどいけるだけ折っておこう、それにしてもいい音するわぁ。肉の弾ける音、痛めつけてる気ぃするわ。イースはもっと痛かっただろうな。あいつ、強がっても女の子なのに、あんなにボコボコになるまで・・・・。こんなガチムチのおっさんに・・・。
「おい、口開けろ、トゥで入れてみるから。」「・・・ゆるひて・・・くらはい・・・」「かわいそうだなぁ、かわいそうだよお前ぇ、でも人のお願い聞けないんだもんなぁ、仕方ないよなぁ?<治療ヒール>、ほら、楽になっただろ?よしもう1セット行ってみよう」「ごめんなさあがっ、がはっ!」
いやいや、まだまだ始まったばかりだろ。何苦しいふりしてんだ?大丈夫大丈夫!!ちゃんと回復してあげるしぃ。
とりあえずひたすら蹴りますよぉってこれ以上蹴れるとこないわ。すぐパンパン。次の段階に行きましょう。丁度落ちたしね。
究極創造アルティメットクリエイト
仰向け大の字で気持ち良さそうに寝やがって。とりあえず起こすかって事で両手に釘打ってやるか。
「てい」「ヴヴァァァァーーーーーーーーー!!」「ごめん!!いたかった??<治療ヒール>うわ!ごめん!なんかくっついちゃったね。別にいっか!!じゃあもう一回治療して鼻の骨折ろうぜぇぇ!!<治療ヒール>」「だのぶ、たずげてぐれ」
いやいや待ってくださいよハゲズミさん!!!あなたが今日たこ殴りにした女の子は9歳ですよ??俺に謝る為に必死で立ってたけど、俺が治療持ってなかったらどうするつもりだったの?
「とりあえず、治しちゃったから、元に戻そう!」「やめてくれぇぇ!!!あがっ!!!!」
こっちがしんどいわ。回復スキルあったから結構いけてるけど足痛すぎる。技術に体がついてきてないのかな?なんかHP減ったり増えたりするんですけど。俺、HP少ないんですけど。
「ごぽっ、がはっ、はぁはぁ、頼む・・・許してくれ・・・。」「いいよいいよ、じゃあ約束守る?簡単な事だよ。約束をしよう!小指と小指繋いでさ、もう悪い事しませんって約束するって約束できる?嘘ついたら針千本飲ますのは俺が面倒だから、ひどい目にあわせてあげる事になるけど。」「ずる!!やぐそぐずるからゆるぢて!!!」
きたねぇなぁ、イースが泣いてるにも関わらず顔の原型わからなくなるぐらい殴ったくせに自分がそうなったら鼻水足らして泣きやがって。
「はぁい、嘘ついた!!!だってお前指ないじゃん!!ほら!!!」「ぎゃああああああああああああああああ!!!!!!!!」
指切り落としたぐらいで大袈裟だな、こいつ。けど約束やぶったらだめだよねぇ。全部切り落としておきましょう。
「ほい!!!!」「あがぁぁぁぁ指がぁぁぁ!!俺の指がぁぁぁぁ!!!やめでぐれぇぇぇ!!」「うるせぇよ。指なくなったんならお前の大好きな不思議なポーチ使って夢叶えてみろやっ!!」「っぎゃあああああああ!!!!!!」
指落とした後の手踏み潰したけど叫ぶだけって普通だな。。一応治療はしたけどイースはHPが残り2だったんだぞ?フラフラで死にかけだった。それでも俺の鞄ごときを返してくれと頼み続けたんだ。お前も根性見せろや。
「じゃあ楽になっとくか。究極創造アルティメットクリエイト」「勘弁してください勘弁してください勘弁してください勘弁してください」
ダーツの矢、ハードバージョンね。これ投げるだけでもむちゃくちゃ痛いだろなぁ。ポコスカ刺しとくか。
「オリャ!!オリャ!!オリャ!!」「・・・・・・・あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃあああ、あぁあぁあぁ!!ごめんなさいごめんなさい」
そんな何処見てるかわからん顔であやまられてもな。
「お前はスラムの子供気分次第で殴ったり殺したり売り払ったりしてたのに自分がされたらごめんなさいってすげぇよなお前!!」「うわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!勝手に死んだんだ!!売られた奴だって毎日きもちいいんだぜ?最高じゃねぇか!!!!殴られたら大人がこわいってわかるだろ!!!教育だよ教育!!!何がわるいんだぁぁぁ!!俺を殺してみろ!!俺にはあのお方がついているんだ!!お前は終わりだぁ!!!」
開き直ったか、精神が壊れたか・・・そこまで調子に乗って人頼みかよ。誰だよそれ。もういいや、終わりにしよう。魔剣アイシクル、俺も相当のMP持つようなってからいろんな事できるようになったなぁ。
「もういいや、続きは地獄で聞いてあげるよ!!!!」
優しすぎるか?いや、いいだろう。こいつは反省なんかしないタイプだ。俺みたいな境遇の子供食い物にして生きてきた奴の最後としては上等だろう。
アイシクルに氷を纏わせ心臓めがけて貫こうとした刹那。眩い光と共に白い暖かい光の鳥が現れてハゲズミに襲いかかった。襲いかかったのだが・・・貫かれたはずの体は全ての傷が癒えている・・・。
「悪いが・・・、この男を殺させるわけにはいかない。」
光が小さくなり眩しさから目が回復すると黒髪で爬虫類のような赤い眼をした黒髪の長髪の男が立っていた。小さな光が焔に変わり鳥の型に戻り男の拳に消える・・・。
「あ?なんだお前。」
「焔拳アルフレッド。お前の友達のアレンとの腐れ縁だ、聞けばわかるかもなぁ?」
やらかした。ラスボス的な奴だ。虎の尾踏んだ所の話じゃねぇぞ。LV1で遭遇したスライムは魔王でした。みたいな話じゃねぇか。ステータスが表示されねぇし、眼がヤヴァイ。これ俺死んだかもな。でも。
「聞いた事があるかもしれないが、その男は譲れない」
「それは困ったなぁ。俺の計画にこんな奴でも役に立つ人脈をもっていたりするんだよ。それとコナン、お前復讐で戦争の真似事とかやめろ」
硬そうなソファに腰掛けるアルフレッド、足を組み直しながらなんか言いやがった。アレンがこいつに勝った?嘘つくなよ。もしかしてアレンって強い?って、え?こいつ俺の名前と目的なんで知ってんだ?おかんの知り合いか?
「なんで名前と目的を知っているんだ?シルビアの関係者か?って所か、それについては俺に答える義務は無い、だが、警告だけしておく。いますぐお遊戯をやめろ。それでもやめないのであれば明日の昼、持てる戦力を用いて爆破跡に来い。お前もろとも焼き尽くしてくれる」
勝手に心読みやがって、なめくさりやがって。
「首洗って待っといてください。」
「ふん、万が一お前が勝ったらこの男とこの国をくれてやる」
「いや、おっさん王様じゃねぇだろ」
「時間の問題だ」
「っておい!!!消えんな!!!どこいった!!くそ!!!!」

コメント

コメントを書く

「その他」の人気作品

書籍化作品