大統領フルスイングで殴ったら異世界に転生した件。
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「こいつぱねぇぇ!!!!!!!!!!!!!」
デカイ奴の脚は普通じゃない。口を閉じるのですら難しい程のスピードで駆けるデカブツ。とてもじゃないがGがすごい。魔物を踏み潰すんじゃなくて轢き殺すとか本当にウマー??手を放せば暫くは空中で滞在出来るのではないのだろうか・・・。栗毛の可愛い奴はついてこれてない。当然だ。
「止まれ!!止まれぇ!!」「ぷうるるるるる」「よしよし、栗毛を待ってあげよう?な?」「プルルル」
必死に首を横に振りやがる。栗毛になんの恨みがあるってんだ、この爆弾馬が・・・。って名前・・・つけてあげようかな?乗り潰すつもりだったけど、この距離走って息すら切れてないファンタジー馬だったら余裕で走りぬけそうだ。栗毛に至っては申し訳ないな。オバナに向かわせてフィヨルムに帰るようにして貰おう。
「じゃあお前の名前を考えようと思う。」「プルゥルゥルルル」
首をブンブン振って喜んでる。うん、爆弾でボムだと、色々問題がありそうだから・・・。ふむ。
「ニトロ!!お前の名前はニトロだ!!」「プルゥゥゥゥン!!」
おぉ!!喜んでる喜んでる!!よし、気合入れなおしていくか!!
「じゃあオバナ、栗毛頼むぞ!!」「イエスボス!!」「それで計画はどうだ?」「イエスボス!ミンナゴウリュウシタネ!アトハ、ウォーダケネ!」「わかった!お前は栗毛を門番に預けてから向かえ」「イエスボス!」「よし、ニトロ行くか!!」「プルルルル!!」
またもスピードの向こう側へ・・・・。
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「小さな子供が馬に乗っていなかったか?」「あ゛れっ?アレンさんを待たせてるって言ってましたよ??北の山道に抜けていきましたが・・・・?えっ?」「わかった、助かる。」
俺は今愛馬のコナユキに跨り北の山道を走っている。コナンを追いかける為だ。あいつは面白い奴だが、時折黒い感情に食われそうになってる。俺は初めてあいつを見た瞬間に、あの悲しみと憎しみを顕現させた黒い瞳をなんとかしてあげたい感情に襲われた。急に俺のSPが減った時に目が合ったコナンにカマかけたらポロポロと自分の話をし始めた時にコイツの力になってやろうと決めた。コナンは俺に能力がバレてると思ってるらしいが、実際は分かってない。ただ、5歳の子供がありえないレベルの剣術と体術を習得してる事から予測してカマをかけたら出るわ出るわ、信じられない話の数々。コナンの能力で分かってるのは、スキルやSPを奪う力と、複製する力と、謎の人間を召喚する能力。そしてもしかすると、動物を従わせる能力もあるかもしれない。おかしい。テイマー以外はユニークスキルやエクストラスキルでも無いような能力だ。テイマーでもあんなじゃじゃ馬を従順させるのは不可能やもしれないのに、容易くやってのけた事にも疑問符が浮かぶ。過去の勇者で一つだけ他人のスキルを上書きするといった能力、エクストラスキルがあったと伝記には残っているがそれだけでも恐ろしい、にも関わらず、全てを凌駕するスキルをコナンは持っていると考えていいだろう。もし、国がコナンの有用性に気付けばあいつは死ぬまで買い潰されるだろう、それは絶対に避けねばならない、俺の側でSランク冒険者まで育てば所属国の国王に限りなく近い発言権と権威が約束される。そこまで俺は強力しようと考えているわけだが、困ったちゃんは逃亡中だ。差し詰めフリーズで一暴れしてフィンブルスルになんらかの不利を被らせようとしているんだろうが・・・無駄だ。フリーズは商業国家で軍事介入は不可侵、変に攻撃しようモノなら魔動兵器で滅ぼされるだろう。状況が悪いと見なされれば大陸内10カ国を敵に回す可能性がある・・・・・それか!!!!コナンはフィンブルスルを完全に追い込む為にフリーズに向かったのか・・・。だとしたらそれは悪手だ。下手したら母親ごと国が滅ぶ可能性もある。急がねばならない!!
「どうっ!どうっ!これはコナンが買った馬・・・?」「プルンプヒッ」
くそっ!!どこまで賢い子供だ!俺が追いかけてくる可能性として置き去りにしたのか・・・・。あの馬の脚で逃げれば相当な距離は稼げるが燃費が悪い、持ち歩ける餌の量を考えたら2日目で完全に脚が止まる計算で4日後には捕まえれるはずだった、だが、半日かかったこの距離からフィヨルムに戻ると明日出発になる、少量の餌を現地で食わせれば、コナンは商業都市に着いてしまうだろう、あの人の波に一度入られると見つけるのは難しくなる・・・・くそ!!あいつの賢さを甘く見ていた。
「オイ!ワレ!ウマカエセ!」
更に伏兵かコナン、お前はいい軍師になれるよ。だがな。
「またアイシクル複製しやがって!!!!クソ!!かかってこい!」
「ファック!ウマドロボウハシニヤガレクダサイ!!!」
「ちゃんとしゃべれやゴラァァァ!!」
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