大統領フルスイングで殴ったら異世界に転生した件。
15
ギルドカードの提示と一万ギリスの入場料。決して安い値段では無いが背に腹は変えられん。俺は今、フィヨルム王立図書館に来ている。
フィンブルスルは現在一級厳戒態勢で冒険者ですら受け入れを禁止しているらしいが、他国に至ってはギルドが身分を保証してくれる為入国は可能だ。何故、地図が必要だったのかと言うと、フィンブルスルに隣接する国家を調べる為である。当然、条件としてはフィンブルスルの地を踏まずに行ける国で・・・・あった。
「なんだってんだよコナン。地図とにらめっこなんかしやがって」「いや、なんでもない。気のせいだった。」「なにが気のせいだったんだ?」「いや、俺がいた村はフィンブルスルからどれぐらいの距離だったか知りたかっただけだ。」「ったく、関心関心。復讐もそこまで行けば異常だな。なんか役に立つ情報は有ったのか?」「いや、無かったな。」
なんとでも言え。とりあえずアレン、明日で暫くお別れだ。こいつは若干心が綺麗すぎる感がある。興味深いのは分かるが、図書館にまでついてくるのは過保護すぎる。計画の邪魔になる可能性がある以上、現状で行動を共にするのは良くない、まぁ一日一緒に居ただけだが、これは間違っては無いと思う。友人としては、とても優れた人材だが・・・悪友にはなれそうも無い。明日準備を整え俺はフィヨルムを出る。向かう先は、商業国家フリーズ。魔動船の開発にいち早く着手し、世界の壁と呼ばれる標高10万メートルの大霊峰から各国に流れる大河エーリヴァーガルを渡り世界貿易の大部分を担う商業国家フリーズ、その手の伸ばし方は途方もなく、一度だけだがうちの村にも来た事があるぐらいだ。 誰もが名前を知ってる国ではあるが、こんな所にあったなんて。
フィヨルムからフィンブルスルを東に見てフリーズは中間から北に当たる位置にある。予測の域は出ないが、恐らく徒歩では計り知れぬ、馬車では片道2週間はゆうにかかる距離ではあるが、馬を買って乗り潰せば短縮出来るだろう。問題は道中で潰れた場合だが・・・隷属して空馬でもう一頭追従させるか?いや、荷物が増えるだけだな。こんな事ならアレンのマジックポーチ盗んで・・・・いや、コピーすればいいのか。いける、いけるぞ!マジックポーチは大きさ問わず500キロぐらいなら入る時空間魔法が施されている。なら馬にかかる比重は俺のみ、やった、これで勝つる。子供である事をここまで感謝したのは初めてかも知れない。馬の値段にもよるが、安かったら2頭買おう。
「ふわぁぁ。もう暗いし宿でも取りにいくかぁ」「だな。」
宿で軽い食事を済ませ、体を湯で洗い泥のように眠った。アレンがやたらと話しかけてきたが爆睡してやった。装備をペタペタ触ると泣いてやめてと言っていたが知った事では無い。
翌日
「ねむた。さぁ、今日も依頼頑張るか!!」「アレン、悪いが今日は依頼を一人でやってくれ」「えぇ?なんでだよ?」
ウネウネの茶髪頭をボサボサと掻き、とても29には見えない渋いおっさんのアレンは寝ぼけながらも鋭い視線をこちらに向けてくる。
「今日は一人でゆっくり調べ物をしたいから図書館に篭るんだ。お前がいたら五月蝿いからな。」「へいへい、わかりやしたよぉー。ったくお前の為に依頼受けたのによ。」「感謝はしている・・・が、悪いな。今日はいけない。」「わかったよ。馬鹿みたいに罰金払うのもアホ臭いから行ってくるよ。」「悪いな。約束してくれ。今日俺の邪魔はしないと、約束できないならお前の国宝級装備が世界中で二束三文で武具屋に並ぶ事になる。」「わかった!早まるな!なっ?黄龍が復活なんかしたら洒落にならんからな、それだけはやめとけ。」「うん?黄龍が復活するってどう言う事だ?」「龍種に魔剣を喰わせると復活するんだよ、お前そんな事も知らずに複製してたのか?」
うひょお!!あぶねぇ!オバナ達がドラゴン探してくるってもしかして破滅フラグだったんじゃん。もう連絡取れてるから安心できたけど、もうちょいで黄龍の群れ爆誕とか笑えネー。
「っま、そう言う事だから約束は守れ。」「って全然解決してねぇぞコナンテメェ!!」
ってな具合で別行動に成功。半ば脅しだった事に関しての言及は拒否する。
さぁ、楽しい買い物の始まりだ。
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