大統領フルスイングで殴ったら異世界に転生した件。
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山道に抜けるといい意味で予想を裏切られた。オバナの戦闘力が予想以上に高かったのだ。俺の予想では、質で負けても量で押し切る泥試合的な戦闘方だと予測していたのだが、各々がそれなりに剣や拳を理に適った形で振り回している。かなり優勢だ。
「おい、状況は?」「オーウボス!キュウニバディガパワフルネ!ブリッジノチカクノマジックソルジャーガツヨカッタケドシバキマワシタヨ!」
やはり、こいつらは郡にして個の存在なのでは無いだろうか?最後尾のコイツが橋近辺の情報をわかっているのはおかしい。それともう一つの予想だが、こいつらの能力は俺のスキルが影響するのじゃないか?ガバジから剣術体術を奪い反映されたのだとしたら納得出きる。まぁ、今はそんな事より目の前の戦だ。ここで60のオバナを追加する。
「まだ生きている弱った敵兵を連れてきてくれ。急いで」「イエスボス」
乱戦の中、かろうじて生きてる個体をオバナ達がセッセと運んでくる。どいつもガバジと似たりよったりなステータスの奴ばかりだ。何の恨みがあるわけでも無いが、どうせ死ぬなら能力を頂こうと思う。
次々運ばれる者達から片っ端MP、SP、スキルを奪う。そして即座にオバナを量産する。どう言った計算方法で加算されているのかはわからないが、フィンブルスルの剣術と体術はマスターレベルと言っていいだろう。魔法をもっと獲得したかったが、高級なのか生活魔法ばかりだ。魔法剣士的な奴を倒したと言っていたがワガママを言えば連れてきて欲しかった。
コナン 5歳 所持金0GHP12/12MP61/364SP121/872胴 ぼろいシャツ足 ぼろいズボン靴 ぼろい靴魔法生活魔法 火水土風火魔法 火球水魔法 水球アルティメットスキル究極神技・究極盗技究極神技・究極複製究極神技・究極隷属スキルLV5言語理解LV5御者LV1鑑定LV8剣術LV7体術
圧勝・・・いい響きだな。現状600を越えるオバナと言う地獄絵図が完成した。拮抗していた戦いも簡単に終わりを向かえ現状、力で押さえつけた捕虜に溢れている。極力殺さないようにしていたみたいだな。いい仕事だオバナよ。
現在一人一人SPを奪い奴隷に変えた直後になる。流石に川に落とした兵隊に剣を持ってオバナを自爆させ続けたら降参してくれたのは、ある意味助かった。無駄な犠牲を出さない為にも。
さて、今回この隊を率いていた体調とやらが目の前にいるのだが・・・。「主様、どうなされました?」「聞きたい事がある」「なんなりと申しつけ下さい。私めのわかる事ならなんでもお答えいたします」「なぜフィンブルスルの兵がフィヨルムに向かっていたのだ?」「それはですね・・・。」
簡単に説明すると、両国の交渉で一時休戦と共に人質の交換が行われる事となった、交渉の場ではフィヨルムから人質で嫁いだ王女殿下をフィヨルムへ帰す変わりに、フィンブルスルから流れた流民の回収を黙認すると言う契約。だが、これは建前で、不利になったフィヨルムの一時休戦申告に対して、事実上賠償として、前線での農村や流民を土地ごと売り払った形となる・・・と言う所か。しかし、腑に落ちない。いくら国家間の取り決めとは言え、多少の土地で納得できるだろうか?しかも切り札である人質まで差し出して。体裁を守る為とは言え、負けていたはずのフィヨルムが有利とも思える話だ。
「なんか矛盾が多くないか?それならフィンブルスルが偽善者にでもなったように聞こえるんだが」「さすが主様、ご聡明であられる、実はこれには裏がありまして、ですが我々は細かい部分を教えられていないのです。」「そうか、役に立たんな。」「その続きは妾がお話しますわ」
そこに金髪のお姉さんが捕虜の馬車から悠然と降りてきた。齢30前後と言った所か、しかしいきなり前に出てきてなんだかなぁ。話しの流れと自分の呼び方的に予想できるけど。
「あんたは?」「申し遅れました、エリーナ・フォン・フィヨルム。元フィヨルムの第三王女で御座います、例の人質と言えばわかりやすいでしょうか?」
わかってましたよ。こいつ5歳児相手に何本気で駆け引きしてんだ?めんどくせぇ。
「コナンだ。家名は無い。何分5歳児なもんで言葉使いは知らんが大目に見てくれ」「賢いお方。有難う御座います。さて、話しは戻りますが。」「ああ、教えてくれ」
大体の話が見えてきた。この世界には、代々受け継がれる泉の巫女が各国に居る。それは有名な話なのだが、此度の戦でフィンブルスルの巫女が消息を絶った。国家と同レベル、もしくはそれ以上と言われる教会組織の数年間に及ぶ圧力で、巫女の捜索を行った結果、戦争中のフィヨルムで反応があった事を皮切りに事態は動き出したと。今回俺の集落を襲ったような悲劇が分かっているだけでも50件はゆうに越えているそうで、兵が独断で暴走している状況でもあり、若い女や見目がいい子供などは奴隷に売られている・・・だそうな。
「くだらん戦争で俺の母親やババアを・・・・。」「・・・・・。」「・・・・・。」
静けさの中、無い頭で冷静に考える。まずフィンブルスルに行かねばならないのは決定事項だ。だが、簡単に入れるのかと聞けば答えはNOだ。市民権のある子供は現在外壁からでる事は禁止されているようで、外からの来訪者は問答無用で斬るんだそうだ。当初の予定では兵団に紛れ込んで足りない人員はオバナに偽装させようかと考えていたのだが、武装解除までする徹底ぶりなので難しいだろうと言う事。正面からぶつかるにも拙い。100人体制の警備に付け加え跳ね橋を越えねばならぬ仕掛け、どうすればいい?
「おい兵団長、奴隷はいくらで買えるんだ?」「ピンからキリまでですが、大体銀板3枚ぐらいから半金貨3枚ぐらいでしょうか?たまに桁が違う者もいますが」「お前達が買ってくる事はできるのか?」「可能です、しかし、今回の失敗で処罰される可能性は高いですが・・・」「くっ、奴隷は売られてすぐに売り出されるのか?」「いいえ、流民に奴隷紋を施すのは金銭面で元が取れなくなるので2月から3月の期間を持って教育をし、それからと言った所でしょうか」
これは吉報だ。不幸中の幸いと言うのはこういう事だろう。
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