大統領フルスイングで殴ったら異世界に転生した件。

慈桜

 田中一太たなかいった、26歳

 俺には大きな夢がある。

 26になるまで何の変哲の無い人生。

 普通に3流大学卒業して就職活動に嫌悪感を感じて、アルバイトしてた焼き鳥屋でそのまま就職。

 周りには将来自分の店が持ちたいです!みたいな事言いながら、心の中では笑い飛ばしていた。
 何故なら俺には常人では考えつかない大きすぎる夢があるからだ。

 その夢を叶える為に英会話も覚えたし、トレーニングもした。
 賄いも捨てる売れ残りのササミを選んだ。

 全ては大きな夢の為に……。

 渾身の一発を打ち込む。

 その一心で拳を最速で最短で打ち抜く修練を重ねた。

 高校の恩師は言っていた。

 どうせなら歴史に名を残す生き方をしろと。
 先生の生き様は素晴らしかった。
 音楽の先生を口説いては振られ、八つ当たりに舎弟みたいな先生を傘で殴って……。

 決まって言うセリフは俺みたいになるなよ!だった。

 そんな素晴らしい先生が俺は大好きだった。

 だから歴史に名を残せるように頑張りたい。

 先生の言葉を大切にしたい。

 俺の壮大な夢が叶えば俺は歴史に名を残す事が出来る。

 俺は夢を叶えるべく仕事を退職して飛行機に乗っている。計画は着実に進んでる。

 俺の偉大なる夢。 

 10年間抱き続けたこの想い。

 俺は歴史に名を残す為、星条旗を掲げる大国へ行く。

 俺の夢は——

 大統領を殴りたい。

 ——ただそれだけだ。

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