10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

82

 やっぱりシェルルの母ちゃんだったらしい。 どう見てもエロいシェルルだったもんな。 とりあえず放置も良くないってことで新しい転移プレートで集落に戻りタナトスや安らぎの庭園の留守番連中に預けた。
 なんか変わり果てたノースウォールを見てヤンデレラになってたから心配だったってのもあるけど、とりあえずは丸投げ放置。
 死にたかった死にたかったと連呼するわりには、イズナ達が作った料理がっついてたから回復するだろう。
「シエルクラティアねぇ。」
「どうかなされましたか主君」
「いや、一人言だ。気にすんな。」
 カルマはエライね。 転移プレート設置完了の報告と同時にちゃんと俺を待ってるもんね。 いい子いい子ビンタしてあげようかな。 ビーステイルダムにいろって言ったのに。
 まぁ、それはいいとして前までだったら金なんて飯や酒を買う為しか価値なんて無いだろうなんて思っていたけど娯楽が存在すると知った俺からすれば立派な踏み倒しだ。
 きっちり取り立てさせて貰おう。 この大陸に無いとこなら十中八九追跡者関係だろ。 俺の財布生活から抜け出せるなんて思って貰っちゃ困る。 なんだったらそのシエルクラティアってのが理想郷なら俺の理想の財布に変えてやりましょかね。
 まぁ、今は目の前の事片付けるか。
「行くぞ」
「はい主君!!!」
「わうっ!」
 集落に並べた転移プレートに乗ると景色が変わり、ビーステイルダムの都市に出る。
「リブラさんここに来たんですかい?」
「あれ、写楽お前別に参加しなくてもいいんだぞ?」
「いや、まぁ、リブラさんに世話なりっぱなしってのもあるし、それに、トキタサンが戦うって言うなら俺たちも手伝いたいですし…」
 頭をぽりぽりとかく写楽には素直に感謝しておこう。
 だが…。
「まぁ、俺やカルマや星持ちが本気出すからには出番はないかもな?」
「主君の手を煩わせるわけにはいきませぬ!このカルマめが尽力を尽くして!」
「わうっ!!」
 僕の事も忘れないで!と言わんばかりのライ。 でも実際はおいらもいるでやんす!なんだろ。 そこは深く考えるのはやめよう。
「大丈夫っすよリブラさん!こう見えてもあの毎日のハードすぎる漁でちょっとは強くなってますから!」
 あぁ、大蟹って実は強めの魔物だって誰かが言ってた気がするな。 俺からすれば美味い蟹でしかないが。
「まぁ、期待しておくよ!!」
 そこに巫女の格好をしたコムギもぴょこんと顔を出して会釈をしてくる。
「コムギも来てたのか!」
「どもです!みんな来てますよ!と言っても後方支援ですが」
「いやいや助かるよ!万が一に備えて回復職は嬉しい。で、話しは変わるがこの街の制圧はどうなってる?」
 コムギは多少人として腐っている所はあるが、常に全体を見渡そうとする癖がある。 おかげで前回の住民の救助でもコムギが一番の手際を見せた。 だからこそ、こんな質問でも答えれるはずだ。
「とりあえず重要拠点に該当しそうな場所に関しては制圧は完了しました。常駐の兵に関しては捕縛しています!なお住民への被害はでていません。」
「そっか。じゃあ残りはあの砦だけか?」
「はい!その通りです!」
 転移プレートの設置場所から見える大きな天然岩壁に護られる砦。 そこから届きもしない弓を放つ獣人達の姿。
「人間のおんなぁぁ!!!こっち来てみろよ!穴だらけにしてやるぜぇ!!」
「ノースウォールの町娘みたいに可愛がってやるからよぉ!!」
 兵よりも野盗の方が似合いそうな奴らが多少イラつく挑発をしてくるが、こちらは時田塾の面々が突撃銃を構えて発砲許可を待っている状態だ。 おそらく俺が来た事によって命令系統が俺に変わってるのだろう。 まぁ、混戦してないならよかった。
「そうだ、写楽。お前殺神流は上達したのか?」
「いや、リブラさんの領域にはまったく…殺神流のはずがリブラさんの喧嘩流にすら叶わないです」
「うーん、まぁ喧嘩流が一番強いって考え方もあるんだがな、まぁいい。見てろ」
『武王・闘気開放』
 俺が闘気開放すると同時に大半は腰を抜かして膝を折るが、写楽は俺の気にあてられて闘気を開放する。
「す、すいませんリブラさん!あれ!?引っ込まねえ」
「良いんだよ!それで良いんだ写楽!!やっぱお前素質あるよ!」
 これは親父が小さい時に俺に言った言葉だ。 より強い闘気に負けじと気が勝手に反応するのは素質だ。 それは負けん気であり根性、所謂気合いだ!と。 だからここで写楽の気が勝手に反応するのは喧嘩相手だと腹が立つが身内だと喜ばしい、そんなもんだ。
「写楽、喧嘩流、武闘流、殺人流、殺神流と技を覚えて何か思った事がないか?」
「うーん…そうだなぁ、シンプルに…そう技が単純になっていく。違いますか?」
「大正解だ。俺の師はまず初めに殺神流から教え始めた。それは当然シンプルでありながらも全ての基本を集約した技の集大成だからだ。だからこそ、自身に眠る闘気を全て開放して喧嘩流を放てばどうなる?」
 答えはこうだ。
「おまえらちょっとはしっこよっとけ!!」
『武王喧嘩流城割り』
 マウントポジションから打ち下ろす右。 本来はそういう技だ。 防御を城と見立てて、まとめて割る。 まぁ、手で顔守るなら粉砕骨折させますよって技だ。 喧嘩流の初歩中の初歩。
 だが、闘気を全開にしていれば。
「喧しい華咲かせたらぁぁ!!!」
 拳が接地すると同時に地が割れ砦ごと飲み込み大地震が起きる。 そして山が崩れ落ち、砦をまとめて奈落の底へ飲み込んでいく。 ちょっとやりすぎたな…。
「まぁ、こんな感じだな」
「あわわわわ!!じゃあリブラさんが城割り百連なんて打ったら………」
「わからんな。そればっかりは」
 言葉を失う横でカルマがズーンと沈んでいる。
「主君…次こそはこのカルマに」
「わかったわかった。じゃあ次に行こう」
 と、その前にレイファンの事忘れてたな。 ビーステイルダム首都に後々集合だったな、あいつがもし仕事中だったら変に絡みかねんな。 とりあえず様子見にいくか。







「10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「その他」の人気作品

コメント

コメントを書く