10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

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 レイファンがアクセサリーを買っていた店で魔晶石を売ると250万ベルで買い取って貰えた。 驚愕だった。 あんな二級品が250万。 俺からしたら使い勝手の悪いゴミ石がこんなにも価値があるとは。
 まぁ、蛙がこの国に逃げ込んだ事を考えたら、人魚の真珠を魔晶石の代用品にしてる所を見て魔晶石がそれだけ枯渇してるんだろう。 迷宮の高品質の魔晶石なんて売ったら一生遊んで暮らせるんじゃ? たまらん。 たまらんぞビーステイルダム首長国。
「ここだ」
 網タイツピンヒールにワインの看板。
「素晴らしい。これはアートの領域だ。」
「馬鹿な事言ってねーで入るぞ」
 薄暗い入り口から中に入ると煌びやかな魔導ランタンが様々な色の炎を灯し、エナメル質の際どいバニーコスチュームを纏ったケモミミ共が一斉にいらっしゃいませと。
「ん?ここはなんだ?天国か?」
「おっ、リブラ若い癖に話しわかる奴だなぁ!あっ!すまんテーブルで頼む」
 かしこまりましたと黒服が案内する先はフッカフカのベロア調のソファだ。
「かわいいぃ!!レイファンの親戚かなんかぁ??はじめましてぇ」
 俺の席についたのはリアルうさ耳バニーガールだ。
「馬鹿言うんじゃねーよ!俺の兄弟分だよ!」
 おい、いつからそうなった。
「そうなんだぁ!ラミーナちゃんでぇーす!!」
「リブラだ。よろしく」
「なんかすましてる!かわいいぃ!!てかこの子も可愛い。」
「わおーん!」
 当然だと言わんばかりのライ。 ぐっ、しかし何故か可愛いと言われて嬉しい俺がいるぅ!! これが白黒ブチ猫耳のパワーなのか!
「レイファン給料日前なのに大丈夫ー?ツケきかないよぉ?」
 レイファンの横にアイスペールを持って現れたのは猫耳でサラサラの髪の毛のムチムチプリンのお姉さんだ。 尻尾ケツ尻尾ケツを交互に見やると俺のパルスがエレクトしてくる。
「心配すんなよ!今日はツケもまとめて清算してやるよ!」
「えぇ!?なんか逆に怖い!あはは!」
 二人は旧知の仲なのだろう。 そんな事はお構い無しに俺はラミーナちゃんをベロベロにしてやろうと心に決めた。 可愛いは正義なのだ。
「何飲みますぅ?」
「んーなんかシュワッとした高いヤツはないのか?」
 飲み屋と言えばシャンパンだろう。 売り上げの為に必死になってる嬢を金の力で倒す!
「うーん、シャルペの事かな?でも高いよ?3万ベルもするんだよ?」
「じゃあそれ!持ってこんかーい!」
「うぇぇぇ!お願いしまぁす!」
 シャルペ祭りの始まりだった。 レイファンと俺でボトル一本ずつラッパ飲み、直後に状態異常を魔法で解除。 俺からすればただの炭酸だ。
「うぃー!!ほら俺ら飲んだんだからお前らも飲めーし」
「ラミーナつよいよー??」
 グラスで一気に煽ったあとに次のグラスを渡す。
「いけいけぇ!!」
 援護部隊で他の嬢も席に付き出し祭りになった。 時間も延長しまくりレイファンも倒れ、女の子も一人また一人と意識を失う。 谷間にシャルペを垂らすとライがそれを舐め回す。
「わふー」
 こいつも中々ベロベロだ。 30本のシャルペが空くと同時にラミーナが真っ赤な顔で意識を朦朧させる。
「おかしいにょ、リブラちゃん、強すぎ」
「可愛いやつだなお前は」
 完全勝利。 頭を軽く撫でてやった。 可愛い可愛い言いやがった癖に俺の肩で寝やがった。
「じゃあ会計して!レイファンの馬鹿のツケも纏めて」
「は、はい!148万ベルです。」
「ははっ、こいつ50万近くツケてたのか!ありがとう。」
 150枚の金貨を渡してレイファンを捨てて外に出た。 あの黒服も飲んでたから片付け辛いだろうなぁ。 知ったこっちゃないけど。
 辺り一面が真っ暗になり、長い時間遊んでた事を実感しふと城を見やると燃えてた。
 目を擦って見てみた。
「なんてこったい。」
 空を燃やす程に煌々と燃える城が赤いレーザーと共に瓦解する。
 一気に目が覚めた。
 これは確実にやらかされた。 もしかしなくてもあんなのできる奴あいつしかいない。
「カルマのばかぁぁ!!!」
 俺は楽しかった楽園から、現実の夜道を一目散に走った。
 くそったれくそったれ!! 暫くはここにとどまってラミーナちゃんとぐへへへな事してやろうと先行投資した俺の心を返せ!! 金の力で倒しきろうとした俺の心を!!
 いや俺が悪いのか? 城は燃やすなって言ってなかった俺が悪いのか。 そうだ、きっとそうだ。 あいつら馬鹿だもんな。 俺が悪かったな………。
「そんなわけあるかぁぁ!!!」
「ガウゥゥゥゥ!!!」
「なんで!!!!」
 ライが俺の怒号に勘違いして特大のプラズマボールを城にぶつけやがった。 木っ端微塵に吹き飛んで城が跡形もなく消える……。
「どうしてこうなった。」
 城の門に行くと当たり前のようにカルマと四星、五星が立っていた。
 足元に無数に転がる蛙の残骸と四肢を落とされた虫の息のラグ。 こうなってしまっては財布どうこうの話しは無理だろ。 ラグはもう用無しだな。
「リブラ…さん…」
 グチャ。
「カルマ!!なんでこんな事するかな!!」
「主君!!大変な事になりました!!説明させようかとラグを生かしておいたのですが…」
「え?踏み潰しちゃった。」
「私から説明させていただきます主よ」
 そして全容が明らかになる。 この国がロウエント共和国と出兵しノースウォールに攻め立てたと。 そしてラグ達蛙共は俺たち神域勢を加勢させないように、そしてリヴァイアサンで殺すように仕向けられた。 そしていち早く俺にそれを伝えようとしたカルマが不意打ちで髪を少し焼かれたと。 で、キレて城燃やしたと。
 まずいな。 ノースウォール落とされたら俺の財布が…。 けどそんな事態になってんならシェルルのヘタレ具合ならヤバくなってたら集落に顔ぐらい出してるだろ。
 星持ちは居なかったのは幸いだが、時田さんあたりなら同盟国がどーのこーの言って加勢してそうだな。
 いや、一先ず戻るべきか…。
 亜人獣人の戦力が分からない以上安心はできないな。 クソ、やたらと女子供が多いのは俺の為に世界が舞台を用意してくれたと思ったが理由はあったんだな。
「どうされますか主君」
 どうするか…。 確かにそうだな、どうにかしなければならないだろう。 こっちはプチ旅行を楽しんでるってのに。 なんでこんなめんどくさい事が起きる。
 なんかムカついてきたな。 とっても。
「お前らは残れ、これより3日以内にビーステイルダム、ロウエントの主要都市全てに転移プレートを設置しろ、ヨルムンガルドの警備は一星だけにし総力を上げてこの国を落とす。ビーステイルダム首都は落としたものと考えていい。速やかに全主要都市を落とし直後に南下、規模は知らんがノースウォールを攻めた獣人亜人共の掃除を始めるぞ」
 返事と共にカルマ達は姿を消す。
 3日は言いすぎたか。 まぁ、なんにせよ、気に入ったから貰っちゃおう。 この国。
 ただ国って何を持って勝ちなんかな? わかんねぇから国政に関係する奴全部殺せばいいって事? それだけで国ゲット?

「戦争って面白いかもなぁ!」

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