10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?
76
亜人の元首レアウルドは険しい貌で空を見上げると牙を擦り合わせた。
「ラグめ!しくじりおったか!引け!!引くんだ!!魔物が押し寄せるぞ!!」
空一面を埋め尽くす飛行物体から落とされる壷のような物体が轟音を撒き散らし地を抉り次々に一面を焼け野原に変える。
阿鼻叫喚の地獄絵図とはまさにこの事だろう。
下半身を失った亜人や獣人、そしてノースウォールの兵達が一様に逃げ惑うも非情なる兵器の雨は、これまでの戦争を笑い飛ばすように掻き消して行く。
蛞蝓人達に集まる魂は許容の限界を超え、制御できなくなった少年少女達は精神を壊し崩れ落ち身を溶かして行く。
黒煙が世界を埋め尽くし、それが晴れる頃、合戦の舞台であった平原から第四区画までの一面は焼け野原に変わり土が沸きたつ程の熱を放っていた。
「ちょっと考えてた結果より酷いな。」
実行者の時田の一言である。
時田が、ダウンロードした99式25番陸用爆弾は実際の所ここまでの威力は無い。 だが、以前にも説明した通り時田のダウンロードする兵器は自身のDEF×攻撃力だ。 ブリティッシュ弾一発で歴戦の追跡者を絶命させる攻撃力を持たせる事が出来る男が造り出した陸用爆弾は過剰なまでの破壊を齎した。
当然の結果なのだ。
コックピット越しに横に並ぶちゃらおはプルプルと顔を横に振っていた。
「仕方ないだろう。だが…」
あっさりと笑い飛ばす時田だが、余裕に見せた内心では違和感を拭えないでいた。
結果としては亜人獣人達は一目散に逃げ両軍共にほぼ壊滅。
戦は終わった。
だが、あまりにも凄惨な状況にシェルルはただただ震えた。
自身を雷化させ、なんとか逃げ延びたカムクラは右半身を失い姫の元に倒れた。
「いや、いやぁぁぁぁぁ!!」
鎧は原型を残しておらず痛覚すらも失ったカムクラは、ゆっくりと左手でシェルルの涙を拭う。 シェルルの目尻は煤で黒く染まるがシェルルは悲痛な表情でカムクラを見続ける。
「どうか……笑顔…を、お見せ…くだ…さい。」
「そんな、そんなっ!!」
「ど…うか」
カムクラは遠のく意識を保ちシェルルの頬を抓ると、シェルルは無理に笑顔を作った。 その笑顔にカムクラも優しい笑顔に変わり。
「では…生まれ…変わったら…」
それを見届けると同時にカムクラは意識を手繰り寄せるのをやめた。
とても優しい顔で。
「いやぁぁぁぁぁああ!!!」
シェルルの叫びがノースウォールに谺した。
シェルルは幼き頃の約束を思い出しカムクラの胸に顔を埋めた。
『ねぇ、カムクラ!シェルルがお母様の後を継いだらカムクラのお嫁さんになれる?』
『なれませぬ。』
『なんで!なんで?シェルルはカムクラじゃないといや!!どうしたらお嫁さんにしてくれるの!!』
『じゃあ…生まれ変わったら』
幼き頃の初恋の相手の死を見届ける姫君は、涙が枯れる程に涙を流し続けた。
側にいる事しかできないホーキ・ボンドは無力な自分に憤りを覚えるが、そっとその背中を見守った。
タナトスは遠目にそれを見て優しく笑うと踵を返した。
「あなたの魔法で死んだ者も、誰かの大切な人だったのよ。成長なさい、あなたはまだまだ幼いわ」
タナトスはそっと転移門を潜った。
数日後。
カムクラの埋葬を済ませ無表情にそれを見届けるシェルルの頭に突如声が響いた。
『初めまして姫君、此度の戦空から見させてもらいましたよ。酷い戦でしたね。』
「……だれ?」
『失礼しました、私は天空の大国の盟主ツグナと申します。シェルル姫は争いの無い世界に興味はありませんか?』
「争いの無い世界……」
『えぇ、あなたがずっと笑顔でいられる世界です』
「ラグめ!しくじりおったか!引け!!引くんだ!!魔物が押し寄せるぞ!!」
空一面を埋め尽くす飛行物体から落とされる壷のような物体が轟音を撒き散らし地を抉り次々に一面を焼け野原に変える。
阿鼻叫喚の地獄絵図とはまさにこの事だろう。
下半身を失った亜人や獣人、そしてノースウォールの兵達が一様に逃げ惑うも非情なる兵器の雨は、これまでの戦争を笑い飛ばすように掻き消して行く。
蛞蝓人達に集まる魂は許容の限界を超え、制御できなくなった少年少女達は精神を壊し崩れ落ち身を溶かして行く。
黒煙が世界を埋め尽くし、それが晴れる頃、合戦の舞台であった平原から第四区画までの一面は焼け野原に変わり土が沸きたつ程の熱を放っていた。
「ちょっと考えてた結果より酷いな。」
実行者の時田の一言である。
時田が、ダウンロードした99式25番陸用爆弾は実際の所ここまでの威力は無い。 だが、以前にも説明した通り時田のダウンロードする兵器は自身のDEF×攻撃力だ。 ブリティッシュ弾一発で歴戦の追跡者を絶命させる攻撃力を持たせる事が出来る男が造り出した陸用爆弾は過剰なまでの破壊を齎した。
当然の結果なのだ。
コックピット越しに横に並ぶちゃらおはプルプルと顔を横に振っていた。
「仕方ないだろう。だが…」
あっさりと笑い飛ばす時田だが、余裕に見せた内心では違和感を拭えないでいた。
結果としては亜人獣人達は一目散に逃げ両軍共にほぼ壊滅。
戦は終わった。
だが、あまりにも凄惨な状況にシェルルはただただ震えた。
自身を雷化させ、なんとか逃げ延びたカムクラは右半身を失い姫の元に倒れた。
「いや、いやぁぁぁぁぁ!!」
鎧は原型を残しておらず痛覚すらも失ったカムクラは、ゆっくりと左手でシェルルの涙を拭う。 シェルルの目尻は煤で黒く染まるがシェルルは悲痛な表情でカムクラを見続ける。
「どうか……笑顔…を、お見せ…くだ…さい。」
「そんな、そんなっ!!」
「ど…うか」
カムクラは遠のく意識を保ちシェルルの頬を抓ると、シェルルは無理に笑顔を作った。 その笑顔にカムクラも優しい笑顔に変わり。
「では…生まれ…変わったら…」
それを見届けると同時にカムクラは意識を手繰り寄せるのをやめた。
とても優しい顔で。
「いやぁぁぁぁぁああ!!!」
シェルルの叫びがノースウォールに谺した。
シェルルは幼き頃の約束を思い出しカムクラの胸に顔を埋めた。
『ねぇ、カムクラ!シェルルがお母様の後を継いだらカムクラのお嫁さんになれる?』
『なれませぬ。』
『なんで!なんで?シェルルはカムクラじゃないといや!!どうしたらお嫁さんにしてくれるの!!』
『じゃあ…生まれ変わったら』
幼き頃の初恋の相手の死を見届ける姫君は、涙が枯れる程に涙を流し続けた。
側にいる事しかできないホーキ・ボンドは無力な自分に憤りを覚えるが、そっとその背中を見守った。
タナトスは遠目にそれを見て優しく笑うと踵を返した。
「あなたの魔法で死んだ者も、誰かの大切な人だったのよ。成長なさい、あなたはまだまだ幼いわ」
タナトスはそっと転移門を潜った。
数日後。
カムクラの埋葬を済ませ無表情にそれを見届けるシェルルの頭に突如声が響いた。
『初めまして姫君、此度の戦空から見させてもらいましたよ。酷い戦でしたね。』
「……だれ?」
『失礼しました、私は天空の大国の盟主ツグナと申します。シェルル姫は争いの無い世界に興味はありませんか?』
「争いの無い世界……」
『えぇ、あなたがずっと笑顔でいられる世界です』
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