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10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

72

「えんやこらえんやこらえんやこーらほーい」
「旦那ぁぁ!竜宮っておもしろいんすか?てかもうベロベロだー」
「ワウォーーーーン」
「ほらライライ、甲板は危ないからこっちにおいで」
 数百隻はあろうか帆船の中で一際でかいラグさんの船で俺はカルマとライとスーシェンを連れて竜宮を目指している。
 ヨルムンガルドの警備に一星と二星を配備、三星は相変わらず神域にひきこもり、五星は集落で時田塾の拡張の手伝い。
 なんもせずに人魚族のナンパに勤しむ四星を強引に連れてきたんだが景気付けに飲ませすぎた。
「いやはや、常日頃祭りのようですね」
 カエルが少し目を細めて話しかけてくる。 おそらくこれが笑顔なんだろう。 こいつロープに括り付けたら鮫釣れるかな?
「まぁ、楽しいのが一番だからな。俺達は大体こんな感じだ。」
「羨ましい限りです。国が必要とする武力と財力を欲しいままにし、更に並外れた技術力と神を嘲笑うような知恵そしてそれを補う人材。大陸で最も繁栄している事は間違いないでしょう。」
 ん? 俺こいつにそんなん教えたっけ?でも空母やら零戦見たらそうなるか。 まぁ、どうでもいいか。
「いやいや、ラグさんもすごい。この真珠を魔導媒体にして半永久的に風を起こす船。帆船でここまで速いのは初めて見る。正直蛙人族の船大工を舐めていたと思い知らされたよ。」
「これはこれはご慧眼であられる。魔晶石が近年は枯渇しておりますからな、代用できた事は革命でした……」
 ふふん、とドヤ顔おそらくで言い放つラグさんに違和感が更に膨らんだ。 矛盾が多すぎる。
 最高品質の米に舞い上がっていた事は認める。 それに表情はあまりわからないにしろ困り顔で嘆いていたラグさんを見て力になってあげたいと思わされたのも事実。
 だが、俺達の腰ほど大きさの乗組員達は薄汚れはいるが痩せ細ってるようには見えない。 それがデフォだと言うならそれ迄だが、この船全てに人魚の真珠の魔導媒体が使われているとしたら、それはおかしい気がする。
 無くて困った言うとったがなと。
 俺からすれば真珠を魔導媒体にする事は容易い。 だが、この大陸いや、この世界でそこまでの技術は正直発展していないように感じる。 何故なら貿易大国ヨルムンガルドの船でさえ、そんな技術が組み込まれた船が無かったからだ。
 となればこれ程までの人駆を集める事が出来、真珠を魔導媒体にする付与術式、更には魔晶石が本来担う空気中の魔素を濾過してクリアな状態にして使用する逆浸透膜の術式までをも使える高度な技術を持っている事に他ならない。
 となれば、ラグさん達は戦争の準備をしているのでは無いか? これはもしや竜宮で俺達が無茶苦茶に暴れて武力を見せつけ傭兵的な概念で派兵したらシェルルに続く第二の財布ゲットの予兆ではないか?
「つきましたよ、リブラさん」
 何も無い大海原でラグさんは竜宮についたと言う。 まぁ、海底都市と言っていたからこの海の底にあるのだろう。
「準備をするので少々お待ち下さい。」
「あぁ、わかった。」
 ラグさんを初めて子蛙共も船を飛び歩き見えぬ果てまで消えていく。
 それと同時に違和感に気付く。
「カルマ!ライ!スーシェン!海に飛び込め!!」
「御意!!」「ワンッ!」「ふぇ?溺れるくね?」
 カルマがスーシェンの首を掴み海に投げ入れると同時に数百隻の船全てが光輝き木っ端微塵に吹き飛ぶ。
『四天結紡の障壁』
 余波を跳ね返すと同時に光は収まり辺りが薄暗くなる。
「やっれー。旦那こらぁいってぇどういう事ですかね。」
「ん?あぁ、召喚術ってのはな、描けないはずの場所程効果が上がるんだ。砂浜で海竜の召喚陣を描けばそのまま海竜が出てくる。だが、この数百隻の船を利用した大規模の召喚陣、しかも水面となると…」
「なるほど、こうなるわけですかい。」
 雲を貫くような体躯に蒼く神々しい鱗に禍々しい爪。
 海竜帝リヴァイアサン。
 津波を巻き起こす轟音の咆哮と共に、狭き世界に呼ばれた怒りを顕にしている。
「いや、旦那。結局俺達はあのカエルに嵌められたって事ですかね?」
「まぁ、そう言う事だろうな。」
「カエルって美味いんすか?」
「鳥肉っぽいらしいな。」
 やけに大人しいカルマを覗くと怒りが募りすぎて一面を凍らせた後に体育座りでぼーっとしてる。 ムカつきすぎて混乱してるんだろう。
 すると氷をつたってライが俺の頬を舐め始める。 眼がすっごいキラキラしてる。
『俺様を喚んだのは貴様らか』
 黄色い爬虫類特有の眼で睨みつけながら話すリヴァイアサンにカルマは胡座をかいて瞑想状態に入る。 多分幼女型を保つのが辛いんだろう。 そっとしておこう。 あぁ、わかるよ、俺も今すごくムカついてきた。
「え?旦那、あいつ殴っていいっすか?」
 白髪の偉丈夫が指を差し、少し笑いながら問いかけてくる。
「いや、ライがちょうだいしてるからライにまかせよか。」
 ライが二足で立って仔犬の姿でちょうだいちょうだいをするのだ、あげなければ可哀想だろう?
『無視か、いや俺様に怯えをなして声を失ったか。』
 あぁ、無視してた。すまん。 じゃあちょっと相手してあげよう。
「あるぇ!?おかしいな!?穴子を召喚したはずなのにウツボが出てきたぞぉ!?」
 スーシェンがそれにノリノリで乗ってくる。
「ウツボって食べれますかぁぁ!!??」
『この無礼者がぁぁぁ!!!』
 怒髪天を衝く咆哮と共に巨大な爪を空から振り下ろす。
「ライ、好きなだけ俺の魔素を食え。」
「ワオォーーーン!!!」
 刹那。
 俺が膝をつく程の魔素をゴッソリと持っていた獣神雷牙は天を穿つ8本の角を12本に増やし紫電を纏う神々しく禍々しい白銀の大狼と姿を変える。
『オイラがここまでムカつくんは珍しいでやんすよ』
「「「えぇぇぇぇ!?!?」」」
 瞑想状態のカルマですら0.1秒にも満たない速さで首をライに向ける。
 まさかのオイラでまさかのやんす。
 そして振り下ろされた爪は直後に腕ごと爆ぜる。
 エニアグラムでも朧げに捉える事がやっとの光の速さで空中に磁場で足場を作り食い散らかして行く。
 一度雷鳴が響くと片腕が爆ぜ、一度雷鳴が轟くと胴に風穴が空く。
『ウガァァァァァァ』
 あっれ。 ライもしかして俺より強い? てか俺がしばき回した時まだまだ子供だったのかな? いや、いかんぞ。 俺は絶対に負けん。
「旦那、あれまじでライですか?いくらなんでも強すぎじゃ」
 ものの数秒でリヴァイアサンが肉片に変わった。 倒れたリヴァイアサンはきっちり俺が回収したがな。 素材祭りやぁ。 美味いんかな?
 ライはリヴァイアサンの臓物で口を血だらけに染めながら勝利の遠吠えを上げると大海原に極太の雷柱が水平線の向こう側まで伸びて行く。
『あるじ!!褒めて褒めて!!オイラ頑張ったでやんすよ!トカゲはすぐ死んでしまったでやんすが』
「あぁ、良くやった。おつかれさまっ」
 首筋を撫でると少しビリビリと電撃が走るが気持ち良さそうにしてるから良しとしよう。
 ライは直後に元の小さな体に戻りワンワンと楽しそうに自分の尻尾を追いかけて回りはじめた。
「いやぁぁぁ!!ライライがあんなのいやぁぁぁ!!」
 素に戻ったカルマは謎に号泣しだした。
 直後蛙共を殺しに行こうと海を凍らせ探しに行ったが雷撃に海の藻屑となった数百隻の船の残骸だけしか見つからなかった。
 ライ、グッジョブ。








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