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10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

62

  ワシは柴田からええ返事が貰えたっちゅう伝言を受けて、嬉々としてあいつの帰りを待っとった。 なんてったって零戦やからな。 大日本帝国の花形や。 あの男心くすぐるかっこよさっちゅーんは小ちゃい時から変わる事が無い。
組長おやじ…柴田の兄さんが戻られました….」
「ほんまか!!ほな呼んだれや!」
「いや…しかし…」
「呼べ言うたら呼ばんかい!あほんだら!」
 暫くすると柴田が覚束ない足で帰って来た。
「おう!柴田!どないやった?」
「おじちゃんだれー?」
「なんやわれ、おちょくっとんのか?」
「えー?怒ってるのー?こわい。柴サターン柴サターンセガタサーン」
 どう言うこっちゃ。 柴田が壊れたで……。 ワシは正直混乱すると同時に妙な寒気を覚えた。 いくらゲームから出れんくなった世界やっちゅうても、こんなアホの子になる原因なんぞあるワケ無い。 それに柴田は頭も体も人一倍頑丈やってVR始める前の検診でも言われとったしのう…。
 そこに、目の前の柴田から伝言が届く。 目の前の柴田はそんな素振り何も見せて無いのにや。
『初めまして組長さん。僕はリブラと申します。この度は、そこの糞尿垂れ流しの柴田さんの度重なる無礼の代償として、柴田さんから数多くの機能を回収させて頂きました。それらは、このシステムウィンドウも兼ねて保存させて頂いております。今後この様な事が無いとお約束していただけるのなら柴田さんを修復しても構いません。ですが、そちらはご稼業的に交渉には向かない方々だと僕の独断と偏見で決めつけております。柴田さんを想う気持ちがあるのであれば次回はお間違えの無いよう。』
 ごっつ丁寧に喧嘩売られてもた。 せやけど、この柴田がどないな下手打ったんかもわからんのも考えようやな。 ただ壊して送りつけたっちゅうんも考えられるけど、機能を回収ってどう言う事や? 運営か?それともハッカーか?いや、ジェイルブレイカーはそんな簡単なプログラムやないぞ?
 これはちょっと慎重にならなあかんかもしれん。

 ーーーーーーーーーーーーー

「難しい。」
 自室で椅子に腰掛けながらため息と共に呟いてしまったのはそんな言葉だ。 昨日のヤクザさんに繋がる通力を頭から引っ張り出して、切り離してくっつけてまでは出来るようになった。 なんせ情報が多すぎる。 脅してシステムウィンドウ起動させて、機微な変化をエニアグラムで見つけて切り取って保存。 変身させて切り取って保存。 仮想体に一切れ入れたら、能力をパーツ分けするみたいに仕分けできたのは良かったけど、そこからの進展無し。 そんな感じで切り離してくっつけてを繰り返したけど、法則性がわからない。 最後は廃人になった柴田さんに死んでもらってお帰りねがったけど。 これに関してはもうちょっと時間が必要になりそうだ。
 とりあえず、それは放置して。 今作成してるのが、ワードチップだ。 急増した人民に、転移プレートを使用できる権限を持つ魔法を覚えて貰う。 魔法石って言う、術式を埋め込んだ石はあるみたいだけど、俺みたいに薄っぺらなチップは無いみたいだ。 まぁ、マキちゃん情報だから間違いないだろう。
「主君!!シェルルが来ましたぞ!!」
「あぁ、ちょっと手が離せないから下で待っててもらって!コーヒー…入れれるよな?」
「うっ!大丈夫です!」
「はは、マキちゃんかイズナに頼んでよ」
「了解した!!」
 ステテテテテと階段を降りてく幼女を尻目に、ワードチップを量産する。 素材は竜種の角膜に妖精の粉を馴染ませて引き伸ばして乾燥するだけ。 後は細かく切った半透明のそれに、指先に付与した転移プレートの使用許可と起動言語を埋めて行く。
「指疲れてきた……。」
 フェアリーランドでも当然手伝ってもらってるけど、こういった新たに作った仕組みの魔法付与に関しては時間的に俺がやった方が早いから今回は頑張った。
「終わったぁぁ。」
 後は時田塾に渡して、人員の割り振りをしてもらうだけだ。 現状は帝国がうっとおしいっぽいから、星持ちの警護有りの状態で外壁の建造がメインになるだろうけど、外壁建造用の魔道具を創るのがメンドイ。
 くそ。最近珍しく俺働きっ放しだ。
 手っ取り早く帝国を潰してやろうかと思ったけど、周りに隣接するのは大国ばかりだし、今回の奇襲壊滅作戦でかなり牽制はできたと思う。 今も放置してるけど、ヨルムンガルドの王城の下で下敷きになってるガチホモの話だと、帝国はかなり人口が多いらしいので今の所ぶっ潰す作戦は保留だ。 今回みたいに民間人は別みたいなやり方が出来ない。 そうなると貿易国家を落とした旨味が激減する。 いや、壊滅してますけどね? 今後を考えての話しです。
 後はカルマが拾ってきた帝国兵の死骸だな。 色々使い道はあるけど、10万近い数ともなると…。
 まぁ、いいか。
「じゃあタナトスさん、これ時田塾、あの昨日紹介した零戦造ってる所にこれ持っていって!」
「かしこまりましたですわ」
 さて、シェルルさんと難民垂れ流し交渉でもしようか。
「お待たせしました、と…えと?初めまして?」
 一階のリビングには貴族のような赤い服を着た切り揃った茶色の短髪の青年とシェルルの二人。 その青年が突然最敬礼をとる。
「お初にお目にかかります、リブラ様。わたくし、ノースウォール神聖国に属する追跡者クラン北方同盟のホーキ・ボンドと申します」
「ぶふぅっ!!」
 ホーキ・ボンドて!!! ゲームする奴って何考えてネーミングするのかね?
「リブラです、見ての通りの若輩者ゆえに、あまり礼儀とかはわかっていない。シェルルさん、今日はどう言ったご用件でこちらの方を?」
 素直な意見だ。 付き人が来なくても来れるようにアイテムボックスを渡しているのだから、付き人を連れてくるという事はそれなりの用事があるはずだ。 正直俺は駆け引きとかは嫌いだ。 シェルルは俺に米や酒を持ってきてくれる。 そしてシェルルはゴミを持って帰ってくれる、まさにWINWINの関係だ。
 シェルルは此方に向き直りそっと笑う。
「いいえ、いつもと変わらず物々交換ですよ?こちらの方はノースウォール神聖国属国の代表者なので、ノースウォールの米や酒以外にもリブラ様の力になれるかと思いましてっ」
 ウィンクなんかしやがって。 乳もみたい。めっちゃ乳もみたい。って待てよ? こいつと付き合いをするのを条件に3000人を超える浮浪者達垂れ流しの交渉に持っていけるか?
「北方同盟としましても武勇轟くリブラ様と懇意になれましたらと…それに、何かとお困りな事もありそうですので」
 あー、そっち系の人ね。 いや、どっち系とかわかってないけどなんとなく。
「じゃあストレートに…シェルルの紹介って言うのもあるし悪い付き合いはしようとは思わない。ただ、挨拶代わりとは言ってはなんだが3000人を超える人員の受け入れ態勢を整えて頂きたい。」
 ホーキ・ボンドはキョトンとしている。 もっと邪険にされるとでも思ったのかな? 真意はわからんけど、腹芸が好きそうな癖に表情に出すとは。 まぁ、こっちは何にせよバタバタだ。 猫の手でも借りたい状態ではあるからな。 こちらに害意の無い、力を持つ者の干渉は歓迎だ。
「そのような条件でお近づきになれるのでしたら大歓迎ですが…失礼ですが今は人材が必要な時では無いのですか?」
 まぁ、間違いない。 けど、残りたくないって言ってる奴を残して置くのもいらないしね。
「まぁね、まぁ、ノースウォールに行く事を希望している奴らだし、無理に働かせようとは思っていないからな。」
 心なしかホーキ・ボンドの目が光ったような気がした。 こいつあれだ。 メガネいるやつだ。 後で作ってやろう。 似合いすぎるはず。



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