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10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

60

 
「主君!墜落機とパイロット、並びに帝国兵の亡骸の回収完了いたしました!!」
「はいはぁい、墜落機はそのまま持っといて。パイロットには仮想体のカプセル食わせといて」
「了解した!!!」
 忙しい。 めちゃくちゃ忙しい。 マサツグ達が、民間人を助けたいと言ったせいだ。 いや、初めから決めていたんだ、マサツグ達が悪いんじゃない。 わかってる、わかってるけど忙しすぎる。
「えっと、鹵獲はされてないな。」
 今回の被害は零戦18機、四星特別陸戦部隊8、五星特別陸戦部隊2以上。
 ゴブリン達は残念だが死んでいた為に助からんが、パイロットの奴らは助かる。 何故かと言うと仮想体に魔素の散開が行われないように細工してるからだ。 言わばどう死のうと原子分解でもしない限り身体の形成される部分に情報蓄積をした上で仮死状態になるって感じ。 もっとも、新しいルールの管制術式の解明が進めば回収なんてめんどくさい事しなくて済むんだけど……。
「たすかりますたすかります」
「うめぇ………」
 とりあえずてんやわんやだろうから時田さん達に投げっぱなしにして集落に帰って来た。
 ある程度の想像はしていたが、そこでは蟹身味噌丼を豪快に食わせてる最中だ。
 老人、ガキ、老人、ガキ、浮浪者。
 うん、きりがないね。 しかも来たばっかりの時は完膚無きまでの悪臭が立ち込めてたからね。 まぁ、シビアな話だけども、ウチで面倒見るにはそれなりに働いてもらわないけません。 老人には老人の、子供には子供なんて言ってる余裕は無いのですよ。だってね、何人いると思います?
「ノースウォールに行く事を希望した3220名を抜いて計24286名ですね。」
「そうか、イズナご苦労様。」
「いえ!当然の事をしたまでです!」
 ため息しかでないのは仕方ないだろう?何が悲しくて…。 いや、全ては言うまい。 もうそろそろシェルル達が来る時期だ。転移プレートを置いてもらって浮浪者垂れ流しにしてやろうと思ったんだが、やたらと残留希望者が多かった。 厳しい条件を出したのにも関わらずだ。
「リブラ様ご覧くださいワシの美貌!これなら若い男衆は放っておきませぬよ!」
「ははは、リフィアさん。わかったから向こう行ってくれ」
 この桜色の髪のリブラ空軍の軍服が似合う美少女はさっきまでババアだった。 いや、正確に言えば今もババアだろう。
 時田塾の男女の生徒を見せて、この身体になってもいいなら残れと言ったのだ。 勿論軍事参加は適性を測るとも言っているし、ハーバータウンの開発人員と集落の広大な農地の農耕としての予定で話したのだが、ジジババは俄然やる気だ。 1000人でも残れば御の字と考えていたが、地獄から助けてくれて三食昼寝付きの雇用形態にしびれあがったのだろう。 まぁ、給料なんてのは出さないけどね。
 始めに行ったのは汚ない臭いの改善だ。 糞尿垂れ流しのクレイジーマザファッカな連中もいる中で、早急に服は焼却処分、そして生活魔法クリーンと神聖魔法クリアヒールを付与した消化器型の魔道具を先行して帰還させた時田塾総動員で撒き散らす。
 茶色とも黄色ともいえない極悪の空気が綺麗になった所で食事を振る舞い、仮想体カプセルを渡している所なわけだ。
「はうぅぅぅ。」
「どうされました主君!!」
「いや、なんかお腹痛くなってきた。」
 結果としてその作業は深夜まで続いた後に黒い軍服に身を包んだ述べ24286名の人員補填は完了した。 皆は一様にゴザを敷いた海岸で焚き火を囲み寝ている。
「しかし、よくもまぁこんな色んな見た目になるもんだな。」
「それはそれはリブラ様!あの容姿を選べれる白い空間はすごいですなぁ!ワシの若い頃の姿もありましたよ!」
「あぁ、リフィアさんか。って…え?」
「こう、空を埋め尽くす人影の中から何十人も雫のように降りてきて選ぶような」
「選ぶ……なるほど…」
 今まではゴブリンでしか試していなかったので知る余地も無かったが、仮想体と融合する時にある程度の容姿の選択が可能らしい事が判明した。 元々時田塾の生徒達は見た目はバラバラだったので、そういうもんなんだろうと決めつけていたが、どうやらキャラクターエディットがあるらしい。 これは世界の干渉なのか? それとも偶然が生んだ奇跡なのか?
「だから子供のままの奴もいるわけか。」
「ワシも幼子の容姿がありましたが、黒い影がかかって出来なんだです。まぁ、この身体も選べなんだのに叩き続けたら出来ましたがね!後は胸を大きくしろと願いも叶いました」
 oh…ババアタフネス。
 しかし自分が創り出した仮想体の仕組みを分かってないのはムカつくな。 ここは強行で自分も試してみるか? いや、それは危険だろう。 だが……これなら可能か…?
「面白い事が出来そうだ。リフィアさん感謝する」
 俺は急ぎ自室に戻る。
『魔魂剥離』
 まずは、魔素で構築された自分の情報を取り込んだ魂を作成する。リンクを繋げればゴブリンの仮想体を動かす魔魂憑依になるのだが、リンクを切った状態で侵食遮断のコーティングをしたガラス箱にとどめる。 だが、この作業が中々に難しい。
「ふぅ、なんとかうまく行ったか。」
 そして大技だ。 魔素のパイプラインを作り、俺と竜小鬼を魔魂を挟んで繋げる。 侵食を遮断するガラス箱を強引に貫いてのパイプラインだ。 多少でも集中力を切らせばパイプラインが途切れるのは至極当然。 ゴブリンの方はガッチリと繋がり、俺は意識下でのパイプだ。 流石にこの作業で集中力が途切れてきた。 だが、気合いで続ける。
多重接続マルチリンク
 よぉぉし、これで山は越えた。 並行思考が可能になる。 俺と竜小鬼は二人で一つだ。
 お互いの視界、お互いの同一の思考。 今世界にリブラは二人いるのだ。
「よし、じゃあ飲むか」
 俺の思考通りに竜小鬼の俺が仮想体のカプセルを飲む。
 刹那。
 俺は自室にいながら、白い空間のビジョンを見る。 俺はそれを見ながら精霊召喚を始める、自我を持つ事を条件に大精霊に願いいれる。
『大精霊よ、俺は、願う。』
 凄まじい情報量が頭に流れ出す。 ババアが言っていた通りに空から黒い雫が落ち、自身が選択可能な多種多用の姿が立ち並ぶ。 だが、理解した。 懸念していた通りだ。 今、ゴブリンの方が見る仮想体は着実に侵食を始めている。 手に入れた情報で確定したのは、このままだと俺自身も飲まれると言う事だ。
『俺に、全てを、捧げる、精霊を、此処に、呼べ』
 本来は大精霊には精霊言語で丁寧にお願いしなければならない。だが、幼少より大精霊の絶対的君主マミさんと共に過ごした俺はワガママ言いたい放題だ。 当然、無茶ぶりでもすぐに答えてくれる。
『おぉ、至宝リブラよ、この世の、全ての、精霊が、お前に、尽くそう』
『大精霊、俺は、急ぐ、早くして』
 美しく尊厳のある大精霊の笑顔が空中から消えると黒いオーブが降りて来る。 精霊の服従契約だ。 精霊との契約としては最上位の契約形態に若干感動しながらも、時間がないのでサクッと行く。
 俺はそのオーブにパイプラインを繋ぎ竜小鬼に接続し、即座に自身に魔魂を引き入れる。
「おっしゃー!耐えたぁ!!これは有意義な情報ゲットだぜ!わっしょい!」
 新しい力の正体は、名前は分からないが通す力だ。 通力とでも言おうか。 小鬼の俺が凄まじい早さで分解されて取り込まれて存在を書き換えられていった。
 あの0と1は全てが一つに繋がっていて存在と設定を魂に通してから魔素を喰って変換した受肉を起こす。
 後はひたすらに循環を繰り返す。 魔物を倒して魔素を吸収すれば循環速度が上がるので、より効率的になる。 当然知識を蓄えれば、知識が0と1の通力となって循環を始めるので物覚えが良くなるのも当然。
「なるほどすげーわこれ。」
 職業とかはこれの循環の適応だろう。 存在を作り出す時に、過去のデータを算出して特化した循環を起こす。 ここを詰めれば、時田塾のやつらも追跡者となんら変わらんくなるわけだろう。
「じゃあ、時田さんのダウンロードも言わば通力で仮想体を創り必要材料を通力で分解、そして構築して循環と言う事か。」
「………………」
 ん? なんか黒髪黒目で黒い口紅のすっげーダークな素っ裸の美人がいるんですけど。 いや、黒い羽衣みたいなんでビーチクは見えねっす。
「やっと気付かれましたかご主人様」
 え?何この子。 何言ってんの?
「よもや契約も無しにこんなワケの分からない受肉をさせられるとは思いませんでしたわ。」
 もしかして、実験の時のオーブ? どうしよ。 捨て駒が受肉しちゃったよ。
「この死を司る上位精霊タナトスがこんな扱いを受けるなんて…中々…火照る…いや、悲しい…ですわ」
 なんかもぞもぞしてるんですけど。 もしかしてアッチ系の人?ってか精霊だよね。 試してみる価値あるよね?
 とりあえず、魔素を殺意と混ぜ合わせて気孔に巡らせると、あら不思議。 師匠みたいな赤黒い悪そうな魔素が飛び散るんDETHねぇ。 ここで複音声の無属性魔法で声を重複させる。エコーも大切。
『『『おい変態、ケツをこっちにむけろ』』』
「ひっ、ひゃい!!」
 ビクン!ビクビクン!!ってなっちゃってる。 突き上げられた尻に丁度鉄の靴べらがあったのでそれを振り抜く。
『『『こぉぉの雌豚がぁあ!!』』』
 パ……チィィィィィン。 音速を越えたか。 音が遅れて聞こえるよ?
「そんなぁ!そんなぁぁ!!こんなのはじめてぇ!!」
『『『狂ってんか?狂ってんのか?痛いのが気持ちいいのか?おい』』』
「ふぁい!ひっ、ひっ、ひぐーーーー!!!」
 その時扉が轟音を立てて開く。
「主君!それはいけません!」
「そうだね。」
 カルマに怒られて目が覚めた。
 なんたる。


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