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10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

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「マサツグ!!!そっちいったよ!!」
「任せて!!剣神流ぅぅ!!!!『円』!」
 ログアウトができなくなってから色々と勝手が変わった…スキル発動と共に体が急加速し残像を残しながら四方からの一閃で戦大鬼トロルの胴体を切り裂く。 前まではこんなに発動の負荷はかからなかった。
「マサツグ少年!!後ろだ!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
 背中に有刺鉄線で引き裂かれたような歪な痛みが走る。 ダメージは僅かにしか通って無いのにも関わらず痛みは感じる。 不覚だ……もう一匹いたなんて…。 でもなんなんだ、街から出てそんなに経ってない街道だぞ? MPKでもされてるんじゃないかってぐらいのエンカウント率だ、くそっ。
「くっ!!ヘイトは俺が稼ぐ!!さがって!!!」
「っ!!すいませんギルマス!!!」
『武王喧嘩流ぅ!!破壊掌!!!』
 僕を斬りつけ仲間を殺された事に怒り狂ったトロルは死角から距離を詰めるギルマスの技を身に受けその身を破裂させる。 ギルマスが踏み込みと同時に突き出した掌底ででっぷりとしたトロルの腹を叩くとトロルの体の中に何かが蠢きその身を突き破ったのだ。
「ギルマス!!下がって!!」
「あぁ!頼む!!!」
浄化の炎獄メギドフレア
 広域殲滅魔法術。 対レイドボスやモンスタートレイン、モンスターハウス等に有効的な広範囲への攻撃魔法。
 高い攻撃力を持って広範囲殲滅を可能にする分、使用後のクールタイムが異常に長く、MP全使用は勿論、フレンドリーファイア無効さらに獲得経験値10分の1というペナルティも課される事から死に職や殲滅アニヒレーションに因んでオツカレーション。 またはザーボ○さんドドリ○さんに見離された孤高フリー○などと呼ばれ本来であれば嫌われる傾向がある……でも。
「フォー!!!やっぱり殲滅家は一家に一台必要だなぁぁ!!」
「ギルマス!!第二陣殲滅魔法行きます!!当たっちゃうから下がって!!!」
 ギルマスの言葉には大賛成だ。 こと殲滅戦において、これ程に助かる職は魔法職の中でも殲滅魔法術師が随一だと言ってもいいと思う。 うちのギルマスは死に職を選んで行き所を無くしたプレイヤーを率先してスカウトする、救済者プレイをモットーとしているプレイヤーで、このギルドも、どちらかと言えば和みギルドと呼ばれていたりする。 だが、ここに来て一気に優位性の持つギルドに様変わりしただろう。 低レベルだとしても30人余りの小規模ギルドで8人もの殲滅魔法術師がいるのだから。 本来であれば、撃ち漏らしなどもシステム的に多く起きる筈なのにも関わらず、二回に渡る殲滅魔法はどちらも撃ち漏らす事無く、文字通り殲滅に成功している。
 この先、順当にウチのギルメンがクラスアップが出来ればこのギルドの優位性は更に上昇するだろう。
「やった!!やったよ!ギルマス!!古代職からランクアップ出来るよ!!」
「へぇ、すげぇなって!えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーー!!!!!まじか!おい!!殲滅魔法術師アニヒレーションウィザードって英霊化出来るのか!!」
 ギルマスが驚くのも無理は無いだろう。僕も聞いた瞬間開いた口が塞がらなかった。
 何故ならジェイルブレイカーは古代職と呼ばれるジョブを選んだ後に種族を選びLv50までの間は生身としてプレイする。 総じて必要経験値が異常に高く設定されている為にクラスアップの条件下のLv50が高い壁になっていて、中々ここに辿り着く事は難しいとされている。 でも、この高みを登り終えると、職はそのままに大幅な補正を受けられるクラスアップが可能になる。 ゲーム的には大いなる力を持った英雄の子孫が英霊化するって言う設定だ。
 必要経験値は更に多量に必要となり獲得経験値も大幅に減少する。 一つの目処として、古参プレイヤーと呼ばれるプレイヤーはここを境界線として数えられるようになるのも納得の仕様と言うわけだ。
 さらにLv100を境界線に神格化と言う最後のクラスアップが起きるがメリットはLv上限が無くなるぐらいで、厳しい条件下でのLv1から出戻りと言う面で一部の廃人、または最古参廃神プレイヤーしか辿り着けないし辿り着きたくもないと言われている世界の話しなのでここでは省く。
「じゃあするよ?クラスアップしちゃうよ?」
 †堕天使イズナ†が嬉々としてクラスアップを見届けてくれと周囲にアピールをする。
「けどイズナ、お前贈り物持ってるのか?もったいないぞ?そのままクラスアップだけするのは」
「当たり前じゃん!!40レベの時から肌身離さず持ち歩いてるっての!!」
「えらい気が早いこって」
 クラスアップは自身の祖先の祝福を元に行われる。 そこで、自身の祖先の好物を差し出す事でLv50装備とスキルを授けて貰える。 この装備を貰えるか貰えないかの差なのだが、Lv50装備はかなり高額な為にするとしないでは大きな違いがある。
「じゃあ!!やりますねぇー!!えいっ!!」
 イズナがシステムウィンドウをクリックすると同時に目前に広がる街道沿いの草原一面に青い炎が燃え盛り、木々を枯らし荒野と変え、天から氷の大瀑布が流れ落ちる。
 それはVR時代に見た、良く作られた仮想では無く、肌で感じる事の出来る真実なのだと本当の意味で実感出来る程に美しかった。
「おめでとう……私のかわいいイズナ」
 見た事も無い絶世の美女が現れイズナの頭を一撫ですると、優しく微笑みかける。
「あ……あの!これ!!贈り物…です」
「ふふふ、優しいのね。でも大丈夫よ……気持ちだけで十分。」
 いつもの機械的な問答では無く、確実に意志のこもった言葉を言い放つと、女神…いや、イズナの祖先はその身を溶かしイズナと融合する。
 そして猛る蒼き炎は氷の大瀑布を溶かし、流れ出た水は大地を癒し枯れた木々が息を吹き返す。
 そしてイズナの手には龍王の瞳を核とした赤く透き通る杖が握られていた。

 このクラスアップを見て確信を持った。 ここはもうゲームの世界じゃない。
「あっ、あの!!ギルマス!!話したい事があります!!!」

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