10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

19

 翌朝、酔い潰れ眠りこけている中に飛び跳ねる程の大地震が起きる。
「ちょお!!なになになに!!」
「主君!!危険です!!」
「ガルルルルルル」
 地震の衝撃でアバターとの接続が切れたのだろう、本体で急に目覚めた違和感に気怠さを感じながらも起き上がりバランスを取りながら一階へ駆け下りる。
「家潰れんじゃね?これ」
「主君!!ご心配なさらずに!!耐震加工は抜かりなくです!」
「あらカルマちゃん、あなたすごいのね」
 冗談を言える余裕があるが、この地震は異常だ。 思い返すだけで師匠が本気で地面を殴った時に近い感じがする。
「この嫌悪感、もしやと思いますが主君。このカルマ、これに似た感覚を知っております」
「え?なに?」
「英雄乱生……世界融合です」
 え?世界融合?英雄乱生って師匠が生身だった時の時代の話しだよね? なんで今更!?師匠とか親父とかが世界融合を起こす神々を八つ裂きにして3000年は何も起きてないってチャリクス爺が言ってたけど。
 いや、まさか。てかそんな事よりカルマ何歳?
「ありえないっしょ?色んな意味で」
「いえ、恐らくこの感覚……見て下さい!!間違いありません!!」
「いや、そう言う意味で言ったんじゃ…。
 西の空が割れデジタル数字が蠢く黒い星が此方の世界に触れると同時に幻想的な星に姿を変える。
 そしてこの星が新たに迫りくる星を喰らう。
「主君!!!耳を塞いで下さい!!!」
 それは世界が新たな世界を吸収し再構築する為に一度消化する音なのだと理解できた。 おぞましい程の金切り音のような気味の悪い音が世界中に響き渡り、無音の世界が訪れるや否や風の音が聞こえ始めた。
 これが………世界融合……。


「すげぇぇ………」



 ただその圧巻の風景に驚嘆する事しか出来なかった。

「あぁぁあるじぃぃぃ!!!」
「あるじさぁぁん!!」
「主殿ぉ!!!」
「姐さぁぁぁん!!」
「イーシェン!!みんな!!」
 ゴブリンの集落の戦士達が俺とカルマの仮想体を背負い急ぎ足で現れる。
「はぁ、はぁ、無事だったみたいだね」
「あぁ、すごかったな。見たか?」
「うん、あれって語り継がれる大災害だよね?大丈夫かな?主……。」
 不安気な顔をする一同、イーシェンが俺は実は人間だってみんなに話してくれてるから、その分の驚きは無いようだけど、やはり世界融合への不安は消えていないようだ。
「心配すんな!関係ねーべ!」
 だって関係ないよね?多分。



 ------------------------------

 Chapter I アウリファナンティ神域の小さき王
 アウリファナンティ神域で勢力を拡大し続けるゴブリンを殲滅せよ。

 ------------------------------


「10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「その他」の人気作品

コメント

コメントを書く