10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?
11
「あの…主君…それは一体何をしておられるので?」
翌日、悪魔幼女が完成させた二階建てのログハウスの中で俺は新しい遊びの為に汗をかいている。
「何って、アバターを造ってんだよ」
「アバター?でございますか……」
「そっ、そこの客人、ゴブリン少年と遊ぶ為の仮想体だ。おい少年、ちょっと痛いけど我慢しろよ」
「え?いや、こわい、血ぃ?血ぃぬかないで!!」
「ちょっとだから、はいはいはい」
術式は抜かりない。純度の高い魔晶石に肉体を構築する為の肉はジラントの肉を用意した。 後はこのゴブリン少年の血で身体の構成を完成させる。
見る見るうちに肉は蠢き身体を構築していく。
「完成だな。」
少しと言うか見た目的にゴブリンから竜の鱗が出た白いゴブリンになってしまったが成功と言っていいだろう。
「おい悪魔っ子。俺はしばらく眠る。その間、本体をお前とライに任せたいが出来るか?まぁ、本体に危害があればすぐ目覚めるから心配はないんだが。」
「主君よりの命、身命を賭して」
「ワンっ!!!」
「では、遊ぶとしようか。と、その前に。」
『付与式・吸魔』
エニアグラムの吸魔の喰眼を独自に分解し付与式に変換した。 これをゴブリン少年に施しておくだけで成長は著しいものをみせるだろう。
『魔魂憑依』
簡単に言えば幽体離脱みたいなもんだ。 本体の俺を仮死状態にして、霊体を魔素に埋め込み作り出した精神生命体をアバターに宿らせる。
え?自重しろって?うっさいだまれ。 今日から俺は竜小鬼だ。
「さぁ、遊ぼうか少年」
「あわわわ、あわわわわ」
取り乱した少年が落ち着くまで、かなり無駄に時間がかかったが致し方ないだろう。 さぁ、狩りの時間だ。
装備は指輪型のアイテムボックスと使い慣れた短剣一本。オーバーキルかも知れないが一応保険だ。 体内の魔素も本体に比べて少ないが随時吸収すればいいだろう。 マッピングで他の魔物の位置は丸裸だ。
「さて、始めようか」
しばらく森を掻き分け進むと前方に生体反応。 見えるのは赤い体毛に巨漢のゴリラだ。
「無理だって兄ちゃん!あいつは強すぎるよ!」
ゴブリン少年は怯えて動けない。全くもってつまらん奴だ。
『我が意に従い敵を穿て』
こんなもんはサクサクいくからええんじゃ。 短剣が自在に姿を変えゴリラの四肢を切り落とす。
「いいから早くトドメさせよ」
ゴブリン少年は生唾をゴクリと飲み、俺が渡したアダマンタイトの短剣を赤ゴリラの首筋に突き立てる。
「ウガァァァアアアア」
赤ゴリの絶命と共にゴブリン少年の身体が蠢き一回り身体を大きくする。
「ふむ、これが進化と言う奴か。」
「兄ちゃん……頼む、こいつ食わしてくれ……なんか急に腹が減って……」
「あぁ、勿論だ。好きなだけ食え」
雑食のゴブリンとは良く言ったものでゴブリン少年は一心不乱に赤ゴリラの肉に貪りつく。 俺も試しに一齧りしてみたが、なるほどに美味い。 仮想体と言えどゴブリンと同じ生態を持っているのだと理解するには充分な出来事だった。 食い残しを指輪に収め、次の赤ゴリラの元へ向かう。 この周辺はどうやら赤ゴリラの縄張りのようだ。
それから50匹目の赤ゴリラを倒した所で日が落ちる。 ゴブリン少年も見違える程の進化を見せた。
まずは身長だ。 三頭身程の小さな身体は170cm程度の長身と変わり、身体は引き締められた筋肉質に。 生態系を狂わせる捕食が原因か頭部から腰まで伸びる鬣は赤色に染まり肌の色も赤黒くなった。 顔も甘えが抜け武士のそれだ。 三白眼に伸びる三角の耳、真一文字に結ばれた口元。 そして額から伸びる一角。 ちょっとかっこいいのがムカつくが……。 この姿になるまで実に5回の進化を繰り返したが、今では自身の力のみで赤ゴリラを狩るほどになった。
「兄ちゃん……見てくれよ!この身体!!こんなゴブリン見た事ねぇよ!!」
そりゃあそうだろう、俺も見た事ないよ。 あの赤ゴリラはレッドキングと言われる森の強者だ。 俺の居た島ではあれの100倍ぐらい強いゴリラがいっぱいいたが間違いではない。
ゴリラは強いものなのだ。 ゴブリンは最弱であるが勇気のあるゴブリンは果てしなく力を手に入れる可能性があるとチャリクス爺の文献にも書いてあった。 錬金術で使用される素体もゴブリンやスライムがよく使われるのも、その理由の一つなのだろう。
「素晴らしいなゴブリン少年、いや、そう言えば名前を聞いてなかったな?」
「名前?あるわけないじゃん!俺ゴブリンだよ?」
「そうか…じゃあ名付けてもいいか?」
「え………?いいのか?」
ふむ、やはり名前は無かったようだな。 しかし、いつまでもゴブリン少年は字数的に邪魔臭い。 なんと名付けるか………言ってみたもののウチの悪魔っ子にすら名前を付けてないのに……。 どうしたものか……。 あっ!!一番星みぃーつけたっ……うん。
「一星なんてどうだろうか?」
「イーシェン…いい名前だ。ありがとう……いや、名付け親だから俺も忠義で答えさせてもらう………」
イーシェンは膝を着き剣を捧げる。
「俺の忠誠を受け取ってくれるかい?」
少し恥ずかしいが仕方ない。 俺は短剣を受け取り剣の腹で両肩を叩く。
「その忠誠、しかと受け取った。これより俺の刃となり盾となり力を尽くせ」
「これより我は剣となり盾となりこの命を忠義に尽くそう」
こんな小っ恥ずかしい事をしている間に、辺りは真っ暗になったが視界は相変わらず良好だ。 おそらく魔物であるゴブリンは夜目が効くのだろう。
「では、イーシェン。これよりお前は俺と共にこの森のゴブリンの集落を全て踏破しゴブリンの王となる事を俺に誓うか」
「うん、それが命令とあらば必ずしや」
「じゃあ行こうか、まずはお前の集落を取り返しに行こう。」
翌日、悪魔幼女が完成させた二階建てのログハウスの中で俺は新しい遊びの為に汗をかいている。
「何って、アバターを造ってんだよ」
「アバター?でございますか……」
「そっ、そこの客人、ゴブリン少年と遊ぶ為の仮想体だ。おい少年、ちょっと痛いけど我慢しろよ」
「え?いや、こわい、血ぃ?血ぃぬかないで!!」
「ちょっとだから、はいはいはい」
術式は抜かりない。純度の高い魔晶石に肉体を構築する為の肉はジラントの肉を用意した。 後はこのゴブリン少年の血で身体の構成を完成させる。
見る見るうちに肉は蠢き身体を構築していく。
「完成だな。」
少しと言うか見た目的にゴブリンから竜の鱗が出た白いゴブリンになってしまったが成功と言っていいだろう。
「おい悪魔っ子。俺はしばらく眠る。その間、本体をお前とライに任せたいが出来るか?まぁ、本体に危害があればすぐ目覚めるから心配はないんだが。」
「主君よりの命、身命を賭して」
「ワンっ!!!」
「では、遊ぶとしようか。と、その前に。」
『付与式・吸魔』
エニアグラムの吸魔の喰眼を独自に分解し付与式に変換した。 これをゴブリン少年に施しておくだけで成長は著しいものをみせるだろう。
『魔魂憑依』
簡単に言えば幽体離脱みたいなもんだ。 本体の俺を仮死状態にして、霊体を魔素に埋め込み作り出した精神生命体をアバターに宿らせる。
え?自重しろって?うっさいだまれ。 今日から俺は竜小鬼だ。
「さぁ、遊ぼうか少年」
「あわわわ、あわわわわ」
取り乱した少年が落ち着くまで、かなり無駄に時間がかかったが致し方ないだろう。 さぁ、狩りの時間だ。
装備は指輪型のアイテムボックスと使い慣れた短剣一本。オーバーキルかも知れないが一応保険だ。 体内の魔素も本体に比べて少ないが随時吸収すればいいだろう。 マッピングで他の魔物の位置は丸裸だ。
「さて、始めようか」
しばらく森を掻き分け進むと前方に生体反応。 見えるのは赤い体毛に巨漢のゴリラだ。
「無理だって兄ちゃん!あいつは強すぎるよ!」
ゴブリン少年は怯えて動けない。全くもってつまらん奴だ。
『我が意に従い敵を穿て』
こんなもんはサクサクいくからええんじゃ。 短剣が自在に姿を変えゴリラの四肢を切り落とす。
「いいから早くトドメさせよ」
ゴブリン少年は生唾をゴクリと飲み、俺が渡したアダマンタイトの短剣を赤ゴリラの首筋に突き立てる。
「ウガァァァアアアア」
赤ゴリの絶命と共にゴブリン少年の身体が蠢き一回り身体を大きくする。
「ふむ、これが進化と言う奴か。」
「兄ちゃん……頼む、こいつ食わしてくれ……なんか急に腹が減って……」
「あぁ、勿論だ。好きなだけ食え」
雑食のゴブリンとは良く言ったものでゴブリン少年は一心不乱に赤ゴリラの肉に貪りつく。 俺も試しに一齧りしてみたが、なるほどに美味い。 仮想体と言えどゴブリンと同じ生態を持っているのだと理解するには充分な出来事だった。 食い残しを指輪に収め、次の赤ゴリラの元へ向かう。 この周辺はどうやら赤ゴリラの縄張りのようだ。
それから50匹目の赤ゴリラを倒した所で日が落ちる。 ゴブリン少年も見違える程の進化を見せた。
まずは身長だ。 三頭身程の小さな身体は170cm程度の長身と変わり、身体は引き締められた筋肉質に。 生態系を狂わせる捕食が原因か頭部から腰まで伸びる鬣は赤色に染まり肌の色も赤黒くなった。 顔も甘えが抜け武士のそれだ。 三白眼に伸びる三角の耳、真一文字に結ばれた口元。 そして額から伸びる一角。 ちょっとかっこいいのがムカつくが……。 この姿になるまで実に5回の進化を繰り返したが、今では自身の力のみで赤ゴリラを狩るほどになった。
「兄ちゃん……見てくれよ!この身体!!こんなゴブリン見た事ねぇよ!!」
そりゃあそうだろう、俺も見た事ないよ。 あの赤ゴリラはレッドキングと言われる森の強者だ。 俺の居た島ではあれの100倍ぐらい強いゴリラがいっぱいいたが間違いではない。
ゴリラは強いものなのだ。 ゴブリンは最弱であるが勇気のあるゴブリンは果てしなく力を手に入れる可能性があるとチャリクス爺の文献にも書いてあった。 錬金術で使用される素体もゴブリンやスライムがよく使われるのも、その理由の一つなのだろう。
「素晴らしいなゴブリン少年、いや、そう言えば名前を聞いてなかったな?」
「名前?あるわけないじゃん!俺ゴブリンだよ?」
「そうか…じゃあ名付けてもいいか?」
「え………?いいのか?」
ふむ、やはり名前は無かったようだな。 しかし、いつまでもゴブリン少年は字数的に邪魔臭い。 なんと名付けるか………言ってみたもののウチの悪魔っ子にすら名前を付けてないのに……。 どうしたものか……。 あっ!!一番星みぃーつけたっ……うん。
「一星なんてどうだろうか?」
「イーシェン…いい名前だ。ありがとう……いや、名付け親だから俺も忠義で答えさせてもらう………」
イーシェンは膝を着き剣を捧げる。
「俺の忠誠を受け取ってくれるかい?」
少し恥ずかしいが仕方ない。 俺は短剣を受け取り剣の腹で両肩を叩く。
「その忠誠、しかと受け取った。これより俺の刃となり盾となり力を尽くせ」
「これより我は剣となり盾となりこの命を忠義に尽くそう」
こんな小っ恥ずかしい事をしている間に、辺りは真っ暗になったが視界は相変わらず良好だ。 おそらく魔物であるゴブリンは夜目が効くのだろう。
「では、イーシェン。これよりお前は俺と共にこの森のゴブリンの集落を全て踏破しゴブリンの王となる事を俺に誓うか」
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