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10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

『来たれ来たれ我が眷属よ!!あやつを殺せ!!!』
 通称、村のみんなが沼と呼ぶ100階層も続く迷宮を塒にしているスネイプ先生。 その迷宮は召喚にて呼ばれる高位魔獣が無限に犇く無理ゲー迷宮で、こうして知り合えたのも1階層で素材をかき集めすぎて説教された所から始まった。
 それから自室に気軽に来てもいいと言っている癖に、ここまで怒るのはどうかと思う。 来るのはいいけど空間魔法は使うなとか無理ですから。 毎回100階層制覇してたら辿り着きませんから。
「先生!!今日も召喚術の修行よろしくお願いします!!」
 その言葉にスネイプ先生は更に青筋を立てる。
「……ぐぬぬ、何度も言うが我はお主の先生ではない!!!我は魔王スネイプであるぞ!!」
「あははは、いやだなぁ。先生達はそれぞれに魔を極めた王なんでしょう?先生と呼んで何がいけないのですかー?」
「ぬおおあああ!!!他のゴミ魔王と同列にするなああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉ!!!!」
 赤く輝く魔方陣が多重に現れ魔獣が召喚される。 今回はライガー50匹同時か…。 いやはや先生は手厳しい。 雷を纏った巨大な狼が50匹、うむ、これは先生の愛なのだろう。本気で行かせてもらいましょう。
『起きろ九芒星エニアグラム
 まず右目に複雑な九芒星が浮かび上がると同時に、まだ未完成の九芒星が左目にも浮かぶ。
「固有時制御ver.5」
 今の俺の魔力総量はかなりの物だ、だが九芒星開眼と更に自分自身の時間を自在に操る能力、固有時制御、これは俺の魔力を持ってしても長くは持たない。 まぁ、時間を操るようなズルはこれぐらい制限があった方が燃えるけどね。
 俺の固有時は倍々で5段階目を迎えている。 イコール、俺は通常時の32倍の速さで動ける。 そこまでの速さで行動してるにも関わらず思考加速のおかげで見える世界はスローモーションだ。 確実に急所を貫きライガーを消して行く。 そして残す所一際大きなライガーの個体だけとなった所で固有時制御が解ける。
 この間、わずか5秒。
「さぁて、戦いますかぁって、ん?」
 文字通り瞬殺したライガー49匹分の技と力と魔素を九芒星から吸収し右手に集約させてみると新しいスキルが生まれた。
『出てこい雷獣』
 爆発にも似た光の瞬きが消えると紫電を纏った雷そのものが獣の姿で現れ唸っている。
「グルルルルル」
「なっ!?ありえんぞ!!リブラ!!なんだそれは!!!」
「わかりません!」
 ニコッと笑うと同時にスネイプ先生のライガーは消し炭になった。
「授業ありがとうございます!じゃあライガーの召喚術式と主従契約の術式貰っていきますね!!先生!!」
 まだ驚いているような顔を浮かべている中でちゃっちゃと会話を終わらせてズラかるとする。 ゲートが閉まると同時に、膝から崩れ落ちたスネイプ先生が私の魔物を返せと泣いていたが、いつもの事なので気にしないでおく。
 さて、術式のカツアゲじゃなくて授業も終わった所でお勉強タイムだ。
 まず複雑難解な術式をチャリクス爺に貰った分解の魔法書で分解する。が、そこで問題が発生した。この術式で行くと、一度別次元の世界、おそらく魔界的な場所へ赴いて直接契約する必要がある。 今までで先生から没収した中では一番ややこしい物だ。 さすがライガー、強かっただけある。多分。 だが、契約の部分の魔法式を強引に変えてしまえば通常召喚は出来るであろう。 と、言うわけでチャレンジしてみるが。
『我が呼び声に顕現せよライガー』
「グルァァォァァァァ」
 地響きのような咆哮と共に現れたのはライガーの最上位、獣神雷牙さんだ。 爺の本を見て知っている、体長8mで八本の角、白銀の体にまとわりつく紫電。 うん、間違いない。 特SSSクラスの天災級の魔物だ。
「なるほど、だから先生は直接契約に行ったのか。」
 召喚術師の契約の取り方は実に多種多様で、今回のような特SSSクラスは呼び出しなんてするのは持っての他だ。 もし会社員が営業電話をかけてアポイントメントを取り付けたとして、行くのめんどいから来てくれなんぞ言った日には二度と契約なんかとれない。
 だが、これは魔物との話しだ。 魔物は総じて話しの分かる奴が多い。 それは本能で生きてる他に理由は無いのだろうが…。
「グラァァァァァァァ!!!」
 首を一閃、雷牙さんが噛み付きを仕掛けてくる。 そのスピードは読んで字の如く、目にも止まらぬ速さだ。 しかし、もしここで雷牙さんから逃げれば村のみんなが倒してくれるかも知れないが、そうなると島自体が吹き飛びかねん。 そうなってくると。
「君、ちょっと喧しいわ、と」
「ギャウゥゥゥゥゥ」
 眉間に一発拳を放り込む。 強化術で金剛石程度の硬さにした拳を音速を越えて放り込むと雷牙さんは両方の前足で器用に頭を押さえる。
「くぅーんくぅーん」
 俺の口角が三日月型に変わるのを理解した。そこからはひたすらに殴る蹴るの暴行。 申し訳ないが、ぶりっ子しすぎて辛すぎるストレスを此処で爆発させてやろうと思う。 殺しはしない、勝てないとわからせてから眉間をひたすらトゥキックだ。 雷牙さんは最終的に号泣しながら土下座をした。
「俺の召喚獣になってくれるのか?」
「がうっ!」
 モチロンです!と地面に頭を擦り付ける獣神様。 なかなか可愛いとこがあるじゃないか。
「よし、じゃあ契約しよう」
 新しく構築した魔方陣に短剣で切った指先から血を一滴落とし雷牙はそれにフラフラしながら食らいつく。
 ドクンと心臓が大きく揺れる感覚と共に魔力がゴッソリと抜かれる。
「ッ!?ハァハァ、流石の雷牙さんって事か、ハァハァ、フラフラだ」
 へたってその場で座り込んでしまうと小さな子犬?が俺の顔をペロペロ舐めてくる。
「うん?なんだお前、え?でも……」
 感じとれる内包する魔力と神威は完全に雷牙さんのそれと同じ波長だ。 ただ規模が小さくなっただけで。でもありえない。 契約が済んだ時点で雷牙さんは俺の許可無しでは顕現出来るはずがない。じゃあこの小さい雷牙さんは一体何者??
「またえらい事を………」
 物陰から現れたのはスネイプ先生だ。紫髪赤眼のナイス乳が腕を組みながらため息をする。 見ていたのか乳め。
「先生!これはどういう「あせるな」
 先生は話しを最後まで聞かずに遮った後に致し方無しとゆっくりと説明してくれた。
「前に、魔獣や魔物との契約には自前の代償が必要と言う話しはしたな?」
「ええ、血肉か魔力か生命力か気力か…ですよね?」
「そうだ、それでだな………」
 要約すると、対価として支払えるハズの無い量の魔力を契約の際に支払ったおかげで雷牙さんは完全に顕現したのだと言う。 通りで俺が魔力欠乏で座り込む程になった理由だ。 分母自体持って行かれるのだからレベル的な段階分けをすると5レベル程は雷牙さんに持って行かれた事になる。 そして、九芒星の発動と同様、俺の魔力の消費で雷牙さんが元の姿に戻れる事もわかった。
 しかし、それは不味い。
 明日は師匠に会いに行かなければならない。 もし、ここまでの力の低下がバレれば確実に殺される。
 このままでは………。
「先生!ありがとうございます!ちょっとジラントしばいてきます」
「ふむ、あやつらもああ見えて元火竜がこの島の魔素を吸って進化した個体だ、気をつけるのだぞ」
「はい!!!!」


 43代目魔王スネイプ。 俺の父親達に滅されたとされ、魔界の山奥で魔獣と慎ましく生きていたが教育係りとしておさげ髪を引き摺られながらこの無人島に拉致られた事を知るのは数年先だ。


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