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10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

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 固っくるしいのは無しだ。 

 テンプレ。 

 その一言で片付けようじゃないか。
全部端折って、テンプレで異世界に転生したのはいい。 
むしろ定番です、本当にありがとうございました。
 だが………。
 俺は新しい生をリブラと言う名と共に受けたのだが……。 
何故こんな場所に産まれたのか、否、何故こんな場所に転生させたのか。 

 神の悪戯とはこの事かと、この五年間ひたすら諦めろと自分に言い聞かせてやり過ごすしかない日々を送っている。

「おい、リブラ!!これ食ってみろ!!むちゃくちゃ美味いぞぉぉ!!!」

 今俺に話しかけてくる茶髪茶眼で癖っ毛の目立つガタイMAXのイケメン、いや、ナイスダンディーは俺のダディだ。 火竜サラマンダー若竜ドレイクの巨体を片手でズルズル引き摺りながらニカッと笑っている。 苦笑いを押し殺して可愛く笑顔で返すしか許されない残念極まりない状態に内心は涙の滝がドバドバと流れ続ける。

「もう!あなた、なんでワザワザ引き摺ってくるの?チャリクスにアイテムボックス造ってもらったんでしょ??」

 急ぎ足で駆けて来たベッピンさんは俺の母ちゃんだ。金髪碧眼のナイスプロポーションのハイパーマムだ。家族補正とか抜きでガチで人間で最強であろうと予測する父ちゃんを完璧に顎で使い切る恐ろしいオカンだ。

「フォッフォッ、そこな脳筋には何を言っても無駄じゃわい。いやまさに、無駄無駄無駄!!!!フォッフォッ!!」

 緑のローブに長い白髭、幾千の宝石に彩られた黒い杖を持つテンションの高い老人チャリクス。錬金術師なのだが、おおまかに魔道具や魔導具、他にも便利な物を造るのが好きな変わりもんの爺さんだ。この集落を作る時も魔道具でバシバシ木を加工してたとかなんとか。

「美味そうだな」

 ボソッと呟くのは黒髪長髪の剣士ジェルスさん。
父ちゃんの親友だ。
俺の剣の先生でもあり、お兄さん的な人でもある。普段はクールを気取ってるがド天然の残念剣士だ。

「これは腕がなるぜ!おい!!!」

 スキンヘッドのコック姿のおっちゃん。この人は一言で言えば濃い。そうとしか言えない。そして濃い。何もかもが濃ゆい。てゆうか料理にそんな筋肉がいるのかと。もう馬鹿かと。バグジーさんは絶賛ナウで五歳時の俺に薪割りをやらせてるスパルタなおっちゃんだ。

「てめぇ、クラウド!!ちゃんと剥ぎ取りしてくれよ?若竜っつったって立派な竜なんだからよ?引きずったら傷むじゃねーか!!」

 のたのたと歩きながら寄ってくるのは鍛冶屋のグリムさん。所謂ドワーフだ。四六時中工房でトンテンカンやらかしてる職人さんだ。

「あらあらあら、皆さんお集まりで、ごきげんよう」

 大人しげなエルフのおねーさん。もといマミさん。本当はマミュルエル・エスカルタス・ルーファーと言うきゃりーなんたらばりの長ったらしい名前だが、みんなからマミさんと呼ばれている。美し…いや、そんな言葉では足りない、ふつくしい精霊魔法の使い手だ。

「ふん、そのような弱竜。ヌシの力を使うまでもなかろう?クラウドよ」

 そう親父の名前を呼ぶのはロリB…いや、今のは聞かなかった事にして欲しい。 
 こちらの赤髪の八重歯が光る小さなお嬢さんは自称龍王の残念な子で。龍が人化した姿なのには変わりないがナマケモノで龍王と呼ぶにはとても…、龍のくせに魔法が得意とか言う残念の塊のような人で…まずい。睨まれてる。

「妾に何か用か?皆の至宝リブラよ」

「い、いや、エルは今日も可愛いなぁって思って」

「ばばば、馬鹿者!!大人をからかうでない!!」

 顔を真っ赤にするエレミアといつものやり取りを済ませるとみんなのお弟子さんや仲間が集まってくる。

 今日はみんなでドラゴンパーティーだろう。
 エレミアは共食いとか気にせずにヨダレを垂らしてるし、それは見慣れた光景だ。
 なんでも龍は世界に自分だけで事足りるとか食らわば力が湧くとかなんとか。意味はわからんが、まぁ、そう言う事なのだろう。
 こんな毎日が繰り返される巨大な無人島に産まれた俺は毎日が驚きの連続だ。 
 住民達のおかげで不自由はした事ないけど、何故無人島に…。言い出したらきりの無い事にグッと溜め息を堪える。 てか無人大陸……?

 この頃は知る余地も無かったが、父クラウドは元より武王クラウドと世界中に名を馳せたすごい人だったらしい。 
 母リリスはどっかの大国のお姫様で独自に編み出した広域殲滅魔法で幾多の国を吸収する立役者となって殺戮姫とか呼ばれてたとか。 
 そんな二人にしばき回されて二人に恋をしたのが正真正銘龍王エレミアだとか。 
 まぁ、エレミアも全属性魔法生みの親とかも呼ばれてて普通に引いたけど。 ブレスで勝負しろよって感じ。

 他にもチャリクス爺は稀代の錬金術師って言われていて真理に辿り着いたとかなんとか。
 ジェルスさんは剣神様とか言って世界唯一無二の剣士だったとか。 バグジーさんなんかは世界最強の料理人バグジーとかなんとか、素直に料理は関係無いと思う。
 グリム爺さんも案の定グリムシリーズとか言われる国の国家予算を簡単に越える価値のある武具を造る名工だったとか。 
 そしてトドメに精霊王達を従えるマミさん。
 そして山奥から出てこない俺の師匠と先生達の悪名。
 神話並に語り継がれる伝説の人達を筆頭にお弟子さんや舎弟的な人達の逸話の数々。 
 聞けば目眩がしそうなこれらの話を知るのはまだまだ先の事である。
 俺はこの魔境秘境と呼ぶには軽すぎる、数多の迷宮、ダンジョン、異界化した神殿、遺跡等が点在するとんでもない無人島で幼少期を過ごす。 リブラ5歳、なんとか頑張って乗り切ろうと思う。
 ……頑張ろう。

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