異世界闇金道~グレーゾーン?なにそれおいしいの?~(仮題
第二十四話
自宅に到着してソファに腰掛けると同時に自責の念がこみ上げてくる。
目立ってしまった……。
代償はネオスラム第一区の権利。
いい買い物だったのだろうか…思い通りに行かない事もあったものだ。
当初の予定は適当に小間使いのパシリにしてやろうかぐらいで声をかけたんだがな、話しが二転三転して大事になっちまった。
対面のソファでグッタリしてるアルストはとりあえずいい。
ここは放置としよう。
だがな、一つ問題が発生した。
「シクラ?何をしているんだ?」
「何って、何がですか?」
なんと言えばいいのだろうか。
夏の風物詩と言うのか、それとも夏のロマンとでも言うのか。
髪の毛を伸ばしてゆるふわウェーブの肩口までのショートカットの女の子に進化したお馴染みのシクラであるが、淡い水色と白のグラデーションのような浴衣で家の中をブラブラしているのだが何故だろうか。
そして何故ひたすらにサンドウィッチを作り続けているのだろうか…。
「えと、その服装とサンドウィッチ?」
「え?だって今日花火大会ですよ?行こうって言ったじゃないですか!!まさか…」
「忘れてない!忘れてないぞ!!そうか!今日だったか!!」
うわぁー。 めんどくせぇ。 そういやこの前シクラが花火大会に行きたいって言ってたからボディーガードがてら一緒に行ってやるって軽い気持ちで約束してたんだった。
やらかした。
これは完全にやらかした。
人多いかなぁ…。
シクラもずっと屋上と酒場を行ったりきたりしかしてないし、涙のタトゥーに絆創膏までつける気合の入れようだ。
断れそうには……ない。
「あ、あのさっ」
グロッキー状態だったアルストが急に起き上がり声をかけてくる。
「僕も…行っていいかな?」
キターー!!これは俺が行かないでいいフラグが立ったんじゃないかって無理か。
今話題のシクラと劣人で外に出すなんてライオンの檻にウサギを放つようなもんだ。
美味しくぺろりとイタダキマスdeath確定か……。
「かまわんがなんでだ?花火好きなのか?」
「うん…まぁ、ね」
よくわからんが留守番させておくよりは良いだろう、とりあえず魔力だけ使えるようになるか試してみたかったんだが時間がないな。
しかし、シクラのサンドウィッチの量が異常なのだが止めた方がいいのだろうか?
「ねー!さかえその子なにー?」「まりょくないのー?」「このまずいパンたべる?」「すごーい!からっぽぉ」「まっずー!」
妖精達も噛み付いては吐き捨てて踏みつけてるし、アルストの顔面に押し付けるしの祭り状態だ。
まず俺はそんなに食えんしな。
「シクラさんシクラさん」
「はいどうしました?サカエさん」
「そんなに誰が食べるのかなぁなんて」
「あぁ!心配御無用ですよ!ロイさん達酒場のみんなとアストラウドさんやユミルちゃんに差し入れです!最初はみんな一緒に行くって言ってたんですけど時間が合わなかったんですよ!」
あは…は。 もっと行きたくなくなる所だった。 知り合いが大勢いたりだとかワイワイ騒ぐのは別にそこまで嫌じゃないんだが、イベント事は苦手だ。
人が多い所に大団円で行くなんて疲れに行くようなもんだろう。
仕方ない…気合いをいれるか。
「ところでアルスト、お前学校の寮かなんかに住んでるんだろう?」
「うん?そうだよ」
「規則みたいなのは無いのか?門限だとか外出だとかあるだろう?」
「あるけどもういいんだ」
「ほう、理由を聞いても?」
「サカエさん?だったっけ、お兄さんが言ったように貴族の身分を捨てるなら行く必要が無いんだ。魔力が無ければ気も練れない、学校に行ってたのは将来の為の人脈作りで行ってただけだから、それに…」
尻すぼみに声が小さくなったので更に問い詰める。
「それに?」
「うん、本来劣人は何かに秀でる物なんだ、計算が早かったり、絶対音感があったり、けど僕はイジメられて当たり前の特技しか無かったんだ」
アルストは顔を指先でそっと撫でる。
「どんな特技なんだ?」
「こんなの特技でもなんでもないよ、ただ、肌のキメが細かいだけなんだ…恥ずかしいよね、どう考えても」
肌がきめ細かいだと? ここで絶対に笑ってはいけないだろう。 眉間に皺を寄せて真剣な表情をするにも限界があるぞこの野郎。
「なるほどな、だがイジメっ子達に一泡吹かせてやりたくないのか?」
「うーん……あんまり」
「何故だ?悔しくないのか?」
「わからない、家の事になればし返さないとって思ったけど、今考えると興味が無いんだ」
「興味がない、か」
重症だな。
まだ力が欲しいと明確な欲が存在しているのが救いだが、人間追い込まれ過ぎると他に一切の関心を持たなくなる、これが酷くなり始めると自分にすら関心が無くなる。
どんだけトッポイ奴でも利息に漬けられると腑抜けになるのを見てきた俺の見解から言わせてもらうとアルストは精神的に壊れはじめてる。
これは面白くないな。
「よし、じゃあそのイジメっ子達を見返さなきゃ俺はお前に力をやらん」
「え?リンダさんに縄張りもらえるので話しついたんじゃないの?」
「それはあのオカマの要望だろ?別に貰えるなら貰うが喉から手が出る程ってわけじゃない、はっきし言わせてもらえば俺の気分次第だ」
「そんな…でも貴族をやめろって言ったじゃないか!それは条件にならないの?」
「それは力を与える方法が特殊だから出した条件だ、嫌なら帰ってイジメられてこい」
この言葉がアルストの琴線に触れたのだろう。
「…どうせ、どうせ出来ないクセに!!!適当に誤魔化そうとしてるだけなんだろう!!!」
仕方ない、論より証拠だな。
「シクラ、まだ時間あるか?」
「うーん、そうですね。少し早めに行きたいので鐘二つぐらいが限界ですかね」
「充分だ、アルストついて来い」
EROのクエストで貴族の大罪人を貴族へ返り咲かせるクエストがあった。 その貴族は子爵家の弱小貴族だったが、他の貴族に嵌められて獄中へ落ちる。 その時に、その貴族は大罪人の証として手首に入れ墨を入れられた。 その入れ墨のせいでそのクエストは難航する。
彫師のジョブレベルを最大に上げて、その国のNPCが経営する店舗で施術を行い、罪人に施す入れ墨の認識を芸術の刺青として認めさせる、口で言うのは簡単だが難易度MAXのこのクエストは今でも覚えてる。 マニアックな裏クエストの為に態々クリエイトツールのソフトを買わなければいけなかったし、更に岡山の本物の彫師が査定をすると言うぶっ壊れたクエスト。
当時250年前の世界観で行けば貴族が刺青を施すのはありえない。 最終的に嵌めた貴族の陰謀を暴いて革命的な手柄をあげて貴族に返り咲くが寄り親の伯爵家は今後一切の陞爵を無とする厳しい決が下された。
なんとも歯切れの悪い終わり方だったが、それからどれだけの意識改革が起きているかどうかはわからないが、おそらく今も相変わらずだろう。
何故そんな話をするかって?
もう分かっているだろう?
「脱げ」
「え?」
「いいから上着を脱いで裸になれ」
「サカエさん?僕はそっちの趣味は」
やはりオカマのせいでおかしくなってるな。
とりあえずアルストを案内したのは屋上に設置した複数の工房の内の一つのタトゥースタジオだ。
上半身裸で恐る恐るとベッドの前で佇むアルスト。
心配するな、俺もノーマルだ。
「そこに寝ろ」
「あっ、うん」
「お願いしますって言え」
「お願いします……って何するの?」
「刺青を彫るんだよ、今下絵書くから待ってろ」
「し、しせい?刺青ってあのイレズミのこと?」
「あぁ、他に何がある?後イレズミと言うな、シセイと言え」
数秒の沈黙の後に我に返ったのかアルストは飛び上がる。
「だ、ダメだよ!いくらなんでも勘当されちゃうよ」
「だから貴族をやめる覚悟をしろと言っただろ」
「でも体に絵を彫って意味がなかったら?消せないんだよ!?」
突然怖気付きやがって、お前もストーリーの登場人物なら物語らしくされるがままに返事しとけってんだ。
でも、実際にいきなり刺青を彫りますと言われたらこうなるかもしれないな。
あっ、いい事考えた。
「心配するな、そうだな…ここからは有料の話だが安心する為に聞くか?なんなら5日5割の利息で貸してやっても良いぞ?」
「………お金か、無いよ。全部取られたし」
「仕事を紹介してやらんでも無いぞ?」
「絶対に安心できるなら買うよ、その話。でも安心出来なかったら払わない」
「毎度あり」
それと同時に消費が激しいので普段使わない職をセットする。
『千職師セット・ジョブマテリアル』
直後あたり一面を埋め尽くす千の多種多様な光が部屋を埋め尽くす。
「俺はお前らの御伽噺に出て来る千職師だからな、不可能は無い」
あまりに突然の事で理解が追いついていないのだろう、ポカンとしたアルストが光を見つめる。
「綺麗だ…」
「おいやめとけ」
そっと吸い込まれるように紫色の光に触れると同時にアルストは嘔吐した。
「おえぇぇぇぇ」
当然だろう。
だってこれジョブコマンドの選択時間省略スキルでERO時代はジョブ選択時にエフェクトが発生して時間が止まる仕様と言うかダメージ判定から除外されるようになっていたスキルだ。
現実世界になれば習得していないジョブに関しての無限に溢れる情報が脳に干渉しておかしくなるだろう。
死んでもおかしくない、だが。
「何これすごい。船酔いしたみたいだ」
さすが劣人と言うべきか? 魔力も気も無いと言うのはある意味凄い事なのかも知れない。 今回は俺のカミングアウトでこのスキルを使用したが、やりようによっては広範囲の敵を戦闘不能または殲滅する事が出来る気がする。
「どうだ、納得出来たか?」
「……うん、この光に触れて分かった、よくわからなかったけどさっきの光に触ったとき鍛治の知識が溢れたんだ…千職師様なんだよね」
「企業秘密だがな」
「きぎょーひみつ?」
「いや、いい。気にするな」
芸術家のスキルで一瞬で書き上げた下絵を前にスキル発動をする。
『彫師セット・芸術家セット・付与師セット・連動』
「じゃあどうする?信用したなら情報お買い上げって事で施術するが?」
「うん、でも高いの?」
「そうだな、金貨1枚でいいだろう」
「…高いね、いや、安いのかな?でも……お願いします」
よぉし、パシリGET。
目立ってしまった……。
代償はネオスラム第一区の権利。
いい買い物だったのだろうか…思い通りに行かない事もあったものだ。
当初の予定は適当に小間使いのパシリにしてやろうかぐらいで声をかけたんだがな、話しが二転三転して大事になっちまった。
対面のソファでグッタリしてるアルストはとりあえずいい。
ここは放置としよう。
だがな、一つ問題が発生した。
「シクラ?何をしているんだ?」
「何って、何がですか?」
なんと言えばいいのだろうか。
夏の風物詩と言うのか、それとも夏のロマンとでも言うのか。
髪の毛を伸ばしてゆるふわウェーブの肩口までのショートカットの女の子に進化したお馴染みのシクラであるが、淡い水色と白のグラデーションのような浴衣で家の中をブラブラしているのだが何故だろうか。
そして何故ひたすらにサンドウィッチを作り続けているのだろうか…。
「えと、その服装とサンドウィッチ?」
「え?だって今日花火大会ですよ?行こうって言ったじゃないですか!!まさか…」
「忘れてない!忘れてないぞ!!そうか!今日だったか!!」
うわぁー。 めんどくせぇ。 そういやこの前シクラが花火大会に行きたいって言ってたからボディーガードがてら一緒に行ってやるって軽い気持ちで約束してたんだった。
やらかした。
これは完全にやらかした。
人多いかなぁ…。
シクラもずっと屋上と酒場を行ったりきたりしかしてないし、涙のタトゥーに絆創膏までつける気合の入れようだ。
断れそうには……ない。
「あ、あのさっ」
グロッキー状態だったアルストが急に起き上がり声をかけてくる。
「僕も…行っていいかな?」
キターー!!これは俺が行かないでいいフラグが立ったんじゃないかって無理か。
今話題のシクラと劣人で外に出すなんてライオンの檻にウサギを放つようなもんだ。
美味しくぺろりとイタダキマスdeath確定か……。
「かまわんがなんでだ?花火好きなのか?」
「うん…まぁ、ね」
よくわからんが留守番させておくよりは良いだろう、とりあえず魔力だけ使えるようになるか試してみたかったんだが時間がないな。
しかし、シクラのサンドウィッチの量が異常なのだが止めた方がいいのだろうか?
「ねー!さかえその子なにー?」「まりょくないのー?」「このまずいパンたべる?」「すごーい!からっぽぉ」「まっずー!」
妖精達も噛み付いては吐き捨てて踏みつけてるし、アルストの顔面に押し付けるしの祭り状態だ。
まず俺はそんなに食えんしな。
「シクラさんシクラさん」
「はいどうしました?サカエさん」
「そんなに誰が食べるのかなぁなんて」
「あぁ!心配御無用ですよ!ロイさん達酒場のみんなとアストラウドさんやユミルちゃんに差し入れです!最初はみんな一緒に行くって言ってたんですけど時間が合わなかったんですよ!」
あは…は。 もっと行きたくなくなる所だった。 知り合いが大勢いたりだとかワイワイ騒ぐのは別にそこまで嫌じゃないんだが、イベント事は苦手だ。
人が多い所に大団円で行くなんて疲れに行くようなもんだろう。
仕方ない…気合いをいれるか。
「ところでアルスト、お前学校の寮かなんかに住んでるんだろう?」
「うん?そうだよ」
「規則みたいなのは無いのか?門限だとか外出だとかあるだろう?」
「あるけどもういいんだ」
「ほう、理由を聞いても?」
「サカエさん?だったっけ、お兄さんが言ったように貴族の身分を捨てるなら行く必要が無いんだ。魔力が無ければ気も練れない、学校に行ってたのは将来の為の人脈作りで行ってただけだから、それに…」
尻すぼみに声が小さくなったので更に問い詰める。
「それに?」
「うん、本来劣人は何かに秀でる物なんだ、計算が早かったり、絶対音感があったり、けど僕はイジメられて当たり前の特技しか無かったんだ」
アルストは顔を指先でそっと撫でる。
「どんな特技なんだ?」
「こんなの特技でもなんでもないよ、ただ、肌のキメが細かいだけなんだ…恥ずかしいよね、どう考えても」
肌がきめ細かいだと? ここで絶対に笑ってはいけないだろう。 眉間に皺を寄せて真剣な表情をするにも限界があるぞこの野郎。
「なるほどな、だがイジメっ子達に一泡吹かせてやりたくないのか?」
「うーん……あんまり」
「何故だ?悔しくないのか?」
「わからない、家の事になればし返さないとって思ったけど、今考えると興味が無いんだ」
「興味がない、か」
重症だな。
まだ力が欲しいと明確な欲が存在しているのが救いだが、人間追い込まれ過ぎると他に一切の関心を持たなくなる、これが酷くなり始めると自分にすら関心が無くなる。
どんだけトッポイ奴でも利息に漬けられると腑抜けになるのを見てきた俺の見解から言わせてもらうとアルストは精神的に壊れはじめてる。
これは面白くないな。
「よし、じゃあそのイジメっ子達を見返さなきゃ俺はお前に力をやらん」
「え?リンダさんに縄張りもらえるので話しついたんじゃないの?」
「それはあのオカマの要望だろ?別に貰えるなら貰うが喉から手が出る程ってわけじゃない、はっきし言わせてもらえば俺の気分次第だ」
「そんな…でも貴族をやめろって言ったじゃないか!それは条件にならないの?」
「それは力を与える方法が特殊だから出した条件だ、嫌なら帰ってイジメられてこい」
この言葉がアルストの琴線に触れたのだろう。
「…どうせ、どうせ出来ないクセに!!!適当に誤魔化そうとしてるだけなんだろう!!!」
仕方ない、論より証拠だな。
「シクラ、まだ時間あるか?」
「うーん、そうですね。少し早めに行きたいので鐘二つぐらいが限界ですかね」
「充分だ、アルストついて来い」
EROのクエストで貴族の大罪人を貴族へ返り咲かせるクエストがあった。 その貴族は子爵家の弱小貴族だったが、他の貴族に嵌められて獄中へ落ちる。 その時に、その貴族は大罪人の証として手首に入れ墨を入れられた。 その入れ墨のせいでそのクエストは難航する。
彫師のジョブレベルを最大に上げて、その国のNPCが経営する店舗で施術を行い、罪人に施す入れ墨の認識を芸術の刺青として認めさせる、口で言うのは簡単だが難易度MAXのこのクエストは今でも覚えてる。 マニアックな裏クエストの為に態々クリエイトツールのソフトを買わなければいけなかったし、更に岡山の本物の彫師が査定をすると言うぶっ壊れたクエスト。
当時250年前の世界観で行けば貴族が刺青を施すのはありえない。 最終的に嵌めた貴族の陰謀を暴いて革命的な手柄をあげて貴族に返り咲くが寄り親の伯爵家は今後一切の陞爵を無とする厳しい決が下された。
なんとも歯切れの悪い終わり方だったが、それからどれだけの意識改革が起きているかどうかはわからないが、おそらく今も相変わらずだろう。
何故そんな話をするかって?
もう分かっているだろう?
「脱げ」
「え?」
「いいから上着を脱いで裸になれ」
「サカエさん?僕はそっちの趣味は」
やはりオカマのせいでおかしくなってるな。
とりあえずアルストを案内したのは屋上に設置した複数の工房の内の一つのタトゥースタジオだ。
上半身裸で恐る恐るとベッドの前で佇むアルスト。
心配するな、俺もノーマルだ。
「そこに寝ろ」
「あっ、うん」
「お願いしますって言え」
「お願いします……って何するの?」
「刺青を彫るんだよ、今下絵書くから待ってろ」
「し、しせい?刺青ってあのイレズミのこと?」
「あぁ、他に何がある?後イレズミと言うな、シセイと言え」
数秒の沈黙の後に我に返ったのかアルストは飛び上がる。
「だ、ダメだよ!いくらなんでも勘当されちゃうよ」
「だから貴族をやめる覚悟をしろと言っただろ」
「でも体に絵を彫って意味がなかったら?消せないんだよ!?」
突然怖気付きやがって、お前もストーリーの登場人物なら物語らしくされるがままに返事しとけってんだ。
でも、実際にいきなり刺青を彫りますと言われたらこうなるかもしれないな。
あっ、いい事考えた。
「心配するな、そうだな…ここからは有料の話だが安心する為に聞くか?なんなら5日5割の利息で貸してやっても良いぞ?」
「………お金か、無いよ。全部取られたし」
「仕事を紹介してやらんでも無いぞ?」
「絶対に安心できるなら買うよ、その話。でも安心出来なかったら払わない」
「毎度あり」
それと同時に消費が激しいので普段使わない職をセットする。
『千職師セット・ジョブマテリアル』
直後あたり一面を埋め尽くす千の多種多様な光が部屋を埋め尽くす。
「俺はお前らの御伽噺に出て来る千職師だからな、不可能は無い」
あまりに突然の事で理解が追いついていないのだろう、ポカンとしたアルストが光を見つめる。
「綺麗だ…」
「おいやめとけ」
そっと吸い込まれるように紫色の光に触れると同時にアルストは嘔吐した。
「おえぇぇぇぇ」
当然だろう。
だってこれジョブコマンドの選択時間省略スキルでERO時代はジョブ選択時にエフェクトが発生して時間が止まる仕様と言うかダメージ判定から除外されるようになっていたスキルだ。
現実世界になれば習得していないジョブに関しての無限に溢れる情報が脳に干渉しておかしくなるだろう。
死んでもおかしくない、だが。
「何これすごい。船酔いしたみたいだ」
さすが劣人と言うべきか? 魔力も気も無いと言うのはある意味凄い事なのかも知れない。 今回は俺のカミングアウトでこのスキルを使用したが、やりようによっては広範囲の敵を戦闘不能または殲滅する事が出来る気がする。
「どうだ、納得出来たか?」
「……うん、この光に触れて分かった、よくわからなかったけどさっきの光に触ったとき鍛治の知識が溢れたんだ…千職師様なんだよね」
「企業秘密だがな」
「きぎょーひみつ?」
「いや、いい。気にするな」
芸術家のスキルで一瞬で書き上げた下絵を前にスキル発動をする。
『彫師セット・芸術家セット・付与師セット・連動』
「じゃあどうする?信用したなら情報お買い上げって事で施術するが?」
「うん、でも高いの?」
「そうだな、金貨1枚でいいだろう」
「…高いね、いや、安いのかな?でも……お願いします」
よぉし、パシリGET。
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