だんます!!

慈桜

第七十二話 もふもふじゃ?

  クソ暑いなおい。 アフリ、いや阿国にしておこうか。 一部掲示板でDISられるからな。 てか阿国ってそんなに暑くなくて過ごしやすい的な事テレビで言ってた奴にゴブリン送りつけてやろうか。
 しかし広大な大自然だなぁ。 普通にキリンとか歩いてるし。 でもテレビやネットで見たらすんげぇなって思ったりするけど、実際に来てみると案外感動は薄いな。 すげぇの前に暑いが来る。
 さて、勢いでアフ、阿国に来てみたもののだな、こうやって大自然の中で悠々と生きている動物達を見ていると、意外とこのまま放っておいた方がいいような気分になる。
 かと言ってネットで見たようにライオンやキリンが殺されてるのは面白くない。
 しかし調べた所によると、彼等は人工的に半養殖状態で野生動物を増やしているらしく、ハンティング料で他の動物の保護資金に回す保護活動の一環でもあると言っているらしい。
 だが年々野生動物の数が減っている以上は、保護活動にはなっていないし、それが成り立っているのだとしても、IQ平均60〜70程度の人間が何を言っても信用できん、すまん失言だったな。
 でもアングラサイトとか見た事ある? 彼らって普通に喧嘩で殺し合いするよね、石で顔面ぐちゃーとか反り返った刀剣でワッショイとか、モラルの欠如と言うかなんと言うか、結局俺が言いたいのは、ムカついたぐらいで人すら簡単に殺しまくる奴等が動物の保護と言っても、体裁上はそう言っておこうって感じがどうしても伝わってくる。 何この盛大なブーメラン。 でも俺が殺してもDPで再利用マックスだからねって言い訳しとく。
 で、だ。
 差し詰まる所、結局彼等が高額な狩猟免許を発行して、高額の狩猟料を設定して動物を殺させるにも、何が原因かってのは金だろう。
 殺戮がライフスタイルに無いと呼吸が出来ない一部米畜と、そこらに溢れてる動物殺させて金にする。 この双方がいる限り需要と供給が発生し、無駄な殺戮は無くならない。 大昔のガチのクロンボ民族が、ぶっ殺してガチで食料にしてるって言うなら、とやかく言うのは間違ってるだろうが、娯楽でやってるのであればダンマス降臨してもおっけいでしょ。
 これにどんな解決案があるだろうか。 だんます無双でヒャッハーしてDPで野生動物増やす? それはちょっとお洒落じゃないだろうし、別に関係ないけど、太郎ちゃんが言ってたみたいに国際問題で冒険者が日本で共存し辛くなるのは頂けない。
 自称管理人の餌やりおじさん達に大金握らせてやめてもらう? 恐らく大金を渡せば、更に充実した狩場の発展に精を出してもっと大金を求めるようになるだろう。
 じゃあハンターをデスオブザぷりん? 恐らく最初は効果があるだろうが、ほとぼりが冷めれば意味が無くなるだろう。
 ぶらぶらしながらそんな事を考えて自問自答を繰り返していても、一向に答えは見えない。 当初の予定通りに、日本の近くに大陸創って、そこに動物達を保護するのが最有力だったが、それこそ日本が領有を宣言したら国際問題になる。 可愛い動物達をかえせーってな。
「むぅぅ」
『新たにDPで動物達を生み出せばよろしいのでは?構造も簡単ですし、以前に創造した事もあります。量産は可能です』
 それするなら動物云々じゃなくて冒険者の楽園みたいな島作るよ。 ダンジョンいっぱい設置して、ガンガン冒険者増やしてさ。
『早くそうなって欲しいものです』
 やっぱ大昔から現代まで脈々と受け継がれてきた百獣の王の血がかっこいいんだよなぁ。 俺がDPでライオン一年生創り出しても、石鹸とか入浴剤の方が価値あるって話がおかしくなったな。 俺ライオン買った事ないけどね。
「ガウゥゥ!ガッ!」
「おーうよしよしどうどう」
 とりあえずメスライオンに背後から戯れつかれました。 可愛いもんです。 本気で首狙ってきてますけどね。
「よいしょお!!」
 ソフトタッチで怪我しないように背中から叩きつけてみた、懐くかなって思ったけどめっちゃ暴れてはる。
 よく見たら他のライオンもいっぱい寄ってきてるな。
「もふもふ祭りじゃあぁあ!!」
 警戒こそすれ、全力で走るのは狩りの時だけのようで、後退りしては隙を見計らって寄ってくるが、俺からするならいいもふだ。
 わざと背中を見せると、ここが好機と飛びかかってくる。 すかさず頭と腹に手を当てて背中から叩きつける。
 もふもふもふもふもふもふもふ。
「ふぁぁあ!!ふっこふこやど」
 首、胸、耳を堪能しまくってやった。 もうどうにでもしてと、全力でジタバタ暴れてたメスライオンさんはぐったりと脱力してしまう。 陥落である。 その間、他のメスライオンが襲って来たが、とりあえず首根っこ掴んでポイポイ投げてたら近寄ってこなくなった。
「くはは!憂い奴め」
 今この場にいるカワイコちゃんは俺が本域のモフリストである事を叩き込んでやる。 フェリアースに行ったらクソでかいフェンリルでもお腹向けてコロンってするんだからな。 覚悟しやがれ。
「うん?」
 いきなり乾いた発砲音と共に弾丸が俺に飛来する。 とりあえず横からキャッチ。
『12.7×99mmNATO弾ですね。スナイパーライフルで狙撃されたようです』
 えぇ?人も狙う系? てかいきなり狙撃とかハードボイルドすぎるだろ。 俺の背後に立つな、んーまんだむ。
『マスターは人ではありません』
 今そう言う厳密なのいらない。 しかし困ったな、視界をズームすると、アフリカンが思いっきり狙い定めてる。 阿国って民族衣装着てる人ばっかりだと思ってたが、どうやら普通に作業員みたいな格好をしているようである。 しかもこの地に合わせた薄めの迷彩の上下の作業着に、解散騒動で大騒ぎのハワイ野郎様顔負けの如何にもなハンサムサングラスまでしてやがる。 凄まじくガッカリだ。 そらマサ○族も普段はスマホでSNSしてんだからおかしくないわな。
「ちょっと話聞いてくる」
 近寄って行くと、何発も立て続けに発砲されたが、とりあえず変に勘繰られないように紙一重で退けとく。
 冒険者アバターに弾かれるのを見られたら化け物ぉ!ひぃぃぃ!フラグになるから、そんな凡ミスはしないのだ。
「やぁ、こんにちは。少し話をしようじゃないか」
「ひぃぃぃ!化け物ぉぉ!!」
 解せぬ。
 とりあえず走って逃げて行くので檻に閉じ込めよう。 指パッチンだけの簡単なお仕事です。
「ひぃやぁぁあ!!やめてくれ!出してくれ!!」
 地中から鉄格子の檻が飛び出して、スナイピング作業員のサノバビッチをゲットする事に成功した。
「出す出す。出してやるから話をしよう」
「嘘つくんじゃねぇ!!ひやはっ!シネェェ!!」
 この人頭おかしくなって銃撃ちやがりました。 さっきまで散々ぶっ放して当たらなかったのに学ばない奴である。
「格子にちゃんと掴まっとけよ」
 とりあえず話が進まないので、檻ごとライナー性の弾道で投げる。 安全保障皆無のジェットコースターをお楽しみ下さいってヤツだな。
 結構な速度で飛んで行った檻は、砂煙を巻き起こして動きを止める。 木とかに当たってひっくり返りまくったら死んでたかもな。
 檻に近寄ると、格子にしがみついて震えてるニガー坊やの完成だ。 これでやっと話し合いの席を設ける事が出来る。
「お前はトロフィーハントの関係者か?」
「…………なんだ兄さん。お客さんだったのか。てっきり俺は密猟者だと思ってた。けど予約でいっぱいだ。狩りはできない」
「なんで翻訳してんのに若干カタコトなんだよ」
 とりあえず話が出来そうなので檻を片付ける。 しかしこいつらに会った所でって話なんだよな。
「お前ら、動物狩らせるのって続けるの?」
「そっちか。反対団体との話は国と国でとなったはず。俺たち関係ない」
「そっか。じゃあ俺が全員皆殺しにしても関係ないって事だよな?俺と話してくれないならさ」
「どうしてそうなる!」
 だってそう言う事だろうに。 こっちは純粋な疑問をぶつけてるのに、答える気がないなら、ディスカッションはできない。それなら居てもいなくても一緒だろ。 阿国人がDPいくらぐらいなのかも気になるしな。
「はぁ…まぁいいや。帰っていいよ」
「いっ、いいのか?」
「話にならんしな。俺はここで野生動物の見学でもしてから帰るから」
 スナイピング坊やは嬉々として帰路につく、俺から逃げるように一直線に走り出した。 まるで俺たちの拠点はこっちにありますよと教えてくれているみたいだ。
「ご苦労様です」
 さっき撃たれてキャッチしたNATO弾とやらを投げつけてみる。 超高速でジャイロ回転をしながら飛翔した弾丸は、スナイピング坊やの後頭部から容易く突き抜けていった。
「ストラーイク」
『DPは50ですね』
「やっす」
 御冥福を祈るよスナイピング坊や。 まさか弾丸を投げただけで当たるなんて思いもよらなかった。 俺の手違いだ。 君の不運に祈りを捧げよう。
 やっぱこっちの動物連れて帰って、DPで創った動物置いていくのが一番かな。
『でも意外ですマスター。マスターがこんなにも自然動物に興味を示すだなんて』
 多分後にも先にも、この地球に限ってしか、この感覚にはならないだろうな。でも俺が動物好きなのは知ってるだろ?
『えぇ、ですがそれはマスターが生み出した数多くの魔物達に限ると思っておりました。遠い昔、このライオンたる動物を創造した際、弱く儚く嫌いだと申しておりましたので』
 だから獅子系統やらなんやらと、地球の動物をベースに多くの魔物を生み出した。でもそれは異世界に於いては弱いから嫌だったんだよ。百獣の王なのにゴブリンに囲まれて狩られるとか最悪だって思ってた。でも今は違う。こいつらに格好良さや強さを求めるんじゃなくて、純粋に可愛さを求めてる。だって可愛いだろ?
『ルーンをいくつか刻めば最高に可愛いかもしれません』
 それじゃ冒険者と一緒だからね?
 とりあえず名古屋の殺戮大臣とやらが訪れるまでは、ライオン達に餌付けして時間潰しておこう。 向かってるのは向かってるんだろ?
『えぇ、数日後には到着しているかと』
 地方の冒険者も増やさなきゃなぁ。 そういやコアちゃんさ、日本の寝たきりの人とか冒険者の打診してみるって話どうなったの?
『あまりいい返事は貰えていません。逆にご老人達の方が色よい返事を頂いてますよ』
 一億総活躍作戦阿波さんが失敗したんなら俺がやってみようか。
『日本の方は冒険者の素養と順応力が凄まじいですからね、よい案かも知れません』
 コア、今冒険者の申請ってどれぐらい来てるんだ?
『本気で…と判断するならば、250万人程です。そして真剣にそれしか考えていないのは50万人程です。冗談交じりを入れるならば1100万人程が、一度はメッセージを送ってきておりますが、内容としては、冒険者にされてもいいがを冒頭にクレームや質問が多く、選考外の外国人も含まれますので、250万の数字が現実的です』
 それでも凄い数だな。 その真剣に冒険者になる事しか考えてない奴らを選考基準にして、阿国遠征を条件として飲む奴は数が揃うか?
『冒険者になれるならば、マスターのピーーを四六時中ピーーしてやるって豪語する猛者もいます。喜んで冒険者になるでしょう』
 なにそれこわい。
 じゃあ選別しといてくれ。 トロフィーハンター関連は、会ってみなきゃ始まらないが、ダンジョンマスターとして打てる手は打っておこう。


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