天使が暮らす家

ノベルバユーザー222759

ごめんなさい

《チャミナ?》

〈ユノにぃ?僕、ブタさんの貯金箱、お金。〉

《そっか。よく言えたね?人の物を勝手に取るのは、泥棒と一緒。分かるか?》

僕らは村で唯一の孤児院で育った

正しくは、チャンミンの両親が経営していたから

チャンミンは、孤児ではなかった

そこには沢山の子どもが生活していて

僕らは幼き頃からずっと同じ部屋で、兄弟の様に育ってきた

チャンミンの両親は、子ども達に沢山の愛情を注いでくれていた

ユノは、大切に貯金していた

月に貰える極僅かなお小遣いを

そして、それを知っているのはチャンミンだけで

数日前、少し減っているのに気付いていた

毎日寝る前に数えていたから

《チャミナ?それ何?》

〈兄さんも食べる?美味しいよ?〉

食べ物に飢えていないとは言えないけど

チャンミンの家は、お世辞にも裕福ではなくて

それであって、身寄りのない子を沢山引き取り育てているから

正直言って貧しかった

きちんと3食与えてもらえた

けれど、流行りのお菓子を貰うことも、おやつの時間も存在しなかった

〈チョコレートっていうんだよ?〉

《そっか。》

嬉しそうに美味しそうに食べるから

追求出来なかった

チャンミンが、人のお金を盗むようにも思わなかったし、思いたくもなくて

〈美味しかったーっ。〉

数日後、大粒の涙を浮かべたチャンミンに向き合うことになる


〈ユノ兄さん。〉

《んー?》

〈チョコレート、食べてみたくて。兄さんのブタの貯金箱、お金。バレないかなって。〉

《狡い考えは嫌いだ。それに、人の物を勝手に取るのは、泥棒と一緒。》

〈っ、ごめんなさい。〉

《シウォンさんに鞭を借りてくるから、正座して待ってなさい。》

チャンミンの父は、怒ると鬼の様に怖い人

この家には3つのルールがあり、それを破れば、シウォンさん(チャンミンの父)に叱られるのだ

〈っ。〉

ユノは部屋を出たものの、自分が罰を与えていいものか迷っていた

施設長室を訪ねた

〚ユノ?どうした?〛

《シウォンさん。チャンミンが僕の貯金箱から、お金を取って。それで、お菓子食べた。僕、チャンミンのこと。》

ユノが言わんとすることがシウォンには分かっていた

だから、優しく問いかけた

〚ユノ?出来るか?〛

《っ。》

〚チャンミンをここに連れておいで?ユノが反省したと思うまで、チャンミンのお尻に教えよう。な?〛

《っ。》

〚チャンミンが将来、悪い人になって警察に捕まったら悲しいよな?ここで優しくするのが、良いとは思わないよ。ね?〛

《はぃ。》

暫くすると泣き腫らした表情の二人が部屋を訪れた

チャンミンに正座するように指示し、ユノをソファーに座らせた

〚チャンミン?何故、私に叱られるのか分かりますか?〛

〈っ。ユノ兄さんのお金を取って、お菓子買った。泥棒さんと一緒。〉

〚そうですね?ユノが優しくて良かったですね?チャンミン。悪いことしたから警察に行くことも出来るのです。でも、ユノは望まなかった。〛

〈ん。〉

〚2度とこの様なことがないよう、私が罰を与えます。〛

チャンミンを立たせると、椅子に引きずり寄せた

うつ伏せにし、お仕置きを受けさせる姿勢を取ると

〚チャンミン。痛むでしょうが、1打ごとに自分のしたことを悔いなさい。分かりますね?〛

〈はぃ。〉

産まれてすぐに、駅のポストに置き去りにされていたユノ

彼を引き取ったのが、この施設を立ち上げるキッカケとなった

(ヒュッ、バシーンッ

風を切る音と共に、鋭い痛みが走る

ユノは目を閉じ耐えていた

(ヒュッ、バシーンッ

〈っ。〉

(ヒュッ、バシーンッ

〈ユノ兄さん、ごめんなさい。2度と、同じことしませんっ。〉

〚ユノ?〛

《チャミナ、約束な。》

〈はぃ。〉

俺が言わんとすることが分かったのか、シウォンさんは静かに微笑んだ

《チャンミン、俺の膝においで?》

〈はぃ。〉

赤く線が入り、腫れた小さなお尻

触れるだけで力が入る

《チャンミン、年の数だけ我慢な?》

〈っ。はぃ。〉

膝を組み、厳しい姿勢を取る

2度としないように厳しく打ち据えるのだと、決めていた

(バチーンッ、バチーンッ、バチーンッ

〈いっ。〉

(バチーンッ、バシッ、バチーンッ

最後の一つを大きく手を振り上げ打ち据える

(バチーンッ

《チャミナ。》

〈兄さん、ごめんなさい。〉

《痛かったな。よく我慢したね?》

〈もう。しないよ?約束。〉

《約束な?》

〚チャンミン、お尻冷やすよ。〛

〈ん。〉

真っ赤なお尻を出して、ソファーにうつ伏せるとそのまま寝てしまった  

〚強くなったな、ユノ。〛  

優しく頭を撫でてくれる大きくて温かい手

《ありがと、シウォンさん。》

俯いたまま顔を上げれなかった

僕は泣いていたから

そして、シウォンさんは気付いていたのだろう

何も言わなかったけど


 







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