褐色男子、色白女子。

もずく。

早乙女さんと白崎さん。

「おはようさくちゃん!」
「おはよ、小糸。」
元気に私に挨拶をしてくる小糸に思わず笑みがこぼれる。可愛い。
「今日の試合、楽しみだねえ。」
「…そうだね。」
素直に頷けない。だって私への告白なんてそんなの…
「戸賀くんにも、レオンくんにも頑張ってほしいね。」
「うん。」
これは本心だ。頑張ってもらわなきゃ困る。
「さくちゃん、戸賀くんと付き合って何か変わったことある?」
「変わったこと?」
「うん。」
キラキラと目を輝かせて私に聞いてくる。そういえば小糸は少女漫画好きだったな。
「いや、特にはないかなあ。今まで通り…?少しだけ距離感が近くなったくらい。」
半分嘘で半分本当。いくら小糸でも全部を話すのは少し気恥ずかしい。
「へえ〜。元々幼馴染だもんねえ。ねえ、キスとかした?」
「キッ…キス…」
思い出される西原さんとのあのことと、今朝の壮士の顔。体温が急上昇していくのが分かる。
「したんだー!」
「うるさいよ小糸…」
「きゃー!」
ぐりぐりと頭を私に押し付けて、喜ぶ小糸。
「してたら何になるの…」
「キュンキュンする!」
「そう…」
からかわれるのがこんなに恥ずかしいことだったなんて、私は今知った。
「いいな、私も素敵な恋がしてみたい!」
「…黒川じゃ駄目なの?」
「くっ…ろかわくんはそんなんじゃないよ!お友達だよ…」
ここもここで拗らせてる。私が言えたことじゃないけど。
「相手は小糸のこと好きなんでしょ?何がだめなの?」
「だめっていうか…なんていうか…」
小糸の尻込みする癖は一年の時から治らない。私が頬をつつくと小糸は話を変えるようにグラウンドを指差した。
「あっほら!来たよ!」
「本当だ。」
選手入場だ。いつもよりキリッとした顔の壮士がグラウンドに入る。背番号はエースの11。緊張感が高まる中、キャプテン同士が挨拶を交わす。そして、
「お願いします!」
試合開始のホイッスルがグラウンドに鳴り響いた。

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