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褐色男子、色白女子。

もずく。

戸賀くんと黒川くん。

昨日、さくを家まで送り届けてから俺は1人絶望の淵に立たされていた。サイハラサンとかいう男は、俺の付き合って間もない彼女にキスをした。(手の甲だけど。)俺ですらまださくにそんな風に触れてない。触れたことなんて幼馴染を始めた3歳の頃から一度だってない。正直、付き合う前に抱きしめたのが一番大胆くらいのレベル。大事にしたいと思って、キスの1つもせずにいたのに。本当は俺だって触れたい。さくに沢山キスしたいし、それで照れる顔を見てみたい。それを全部我慢してきた。なのに、あいつは。それを一瞬でぶち壊して爽やかに颯爽と帰って行った。俺は煮え繰り返ったまま温度が下がらない腹をそのままに、勢いに任せてベッドに飛び込むと目を閉じた。目を覚ましたときにはもう朝がきていたわけなんだど。

「おい、トガ。なんかあったのか?」
朝一番、俺の親友は少し心配そうに眉を下げて聞いてきた。
「…まあ。」
机に突っ伏したまま素っ気なく答えると、レオンは遠慮がちに言った。
「もしかして早乙女絡みか?」
「よく分かってるじゃん…。」
「まあお前がそんなんになるのは早乙女以外あり得ないだろ。…で?何があったんだよ。俺にも言えないことか?」
レオンはずるい。これはきっと白崎さんも思ってると思う。少女漫画から出てきた男の子みたいに、ぶっきらぼうに見えて実はすごく優しいとか、気にかけてくれてるとか。
「言えなくないけど、さくが嫌がるかもしんない。」
「じゃあ言わなくていい。」
俺が難色を示すとサラッとそう言い引き下がった。食い下がらないのがこいつの好きなところなんだ。
「さく…傷付いてるかな。」
堪え切れなくなった部分だけをボソッと呟くとレオンは静かな声で言った。
「俺はお前たちに何があったか知らないけど、お前が早乙女のことを大事に思ってるならいいんじゃねえの。大丈夫だと思う。根拠なんてないけど、早乙女もそれなりにトガのこと好きでいてくれてると思うぞ。傷付いてるって思うなら、今すぐ行ってやれば?きっと安心すると思う。」
そうだ、たしかに。こいつはいつだって俺の求めていた答えをくれる。
「俺、行ってくる。」
「おー。センセーには適当に言っといてやる。」
「悪い、頼むわ!」
俺はそのまま走り出した。南校舎である俺の教室から、北校舎のさくの教室へ。その間に駆け巡る昨日の俺の態度。自分の怒りでいっぱいで、一度もさくの顔を見ていない。ダメなんだ、こんなんじゃ。大事にするって、きっとそんなに単純なことじゃない。俺がさくのもとに辿り着くと、さくは一瞬顔を上げたが、すぐに俯いてしまった。でもこんなことで、めげてちゃ意味ない。
「さく、ごめん!俺と一緒に来て!」
強引に手を引き、人気のない北校舎の裏の階段へとさくを連れ出して行った。さくはその間、一度も顔をあげることも返事をすることもなかった。

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