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褐色男子、色白女子。

もずく。

戸賀くんと西原先輩。

サッカー部の練習が終わって、下駄箱に行く。さくのクラスの下駄箱を確認すると、もうさくの靴はなかった。帰ったのかと少し寂しく思いつつも俺はローファーの踵をトントン、と整えた。まあ帰れって言ったの俺なんだけど。下駄箱を出て、少し歩くと見覚えのあるポニーテールが見えた。さくだ。俺は嬉しくなった。まだ待っててくれたのか。だがその気分は一瞬でぶち壊されることとなる。
「おい!俺のさくに触るな!」
全身の血が沸騰したみたいな感覚。知らない男がさくの腕を掴んでる。
「壮士…?」
「さくに触っていいのは俺だけだ。誰だか知らないけどお前が触っていい権限なんてどこにもない。」
敵意むき出し。仕方ない。だって俺の大事で可愛いさくに無許可で触ったんだから。
「ちょっと壮士…!すみません、西原さん。」
サイハラサンを睨みつける俺をさくが軽く嗜める。
「いえ、大丈夫ですよ。…僕は戸崎高校の3年で生徒会長の西原帝です。ええっと、壮士くん?」
なんだこいつ、なんだこいつ!ムカつく、すごく嫌だ!
「どうも、さくの彼氏の戸賀です。これお返ししますね。サイハラサン。」
俺はさくの手から連絡先が書いてある紙を奪い取って、サイハラサンに押し付けた。
「で、うちに何の用ですか。先生なら呼んできますけど。」
「壮士、いいから行こう。もう帰ろ。」
これ以上のやり取りを避けるためにさくが俺の手を引く。するとサイハラサンは性悪そうに口元に弧を描いた。
「おやおや…ひどいですね、僕はご挨拶に伺っただけなのですが。」
「ご挨拶?」
俺が怪訝そうにサイハラサンを見つめた。
「ええ、今度サッカーの試合でお邪魔することになったので。サッカー部のエースストライカー戸賀壮士くん、どうぞよろしく。」
「…戸崎って、そういうことか…!」
なんで生徒会長が、って思ったんだ。違った。こいつは生徒会長としてじゃなくて、戸崎のエースストライカーとして俺に喧嘩を売りにきてたんだ。
「ああ、それから…」
その瞬間、全てがスローモーションに見えた。
「貴女に一目惚れをしました。全力で奪いに行きます。今度の試合、ぜひ見に来て下さい。」
奴はさくの手をとって、ゆっくりとそこに唇を押し付けた。
「へっ…」
さくは今まで見たことない、困惑したような、怒ってるような、照れているような、泣きそうなような…そんな顔をしていた。
「っ、さく帰るぞ。」
「う、うん。」
俺は悟った。あいつは、とんでもなく危ないやつだと。

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