褐色男子、色白女子。

もずく。

白崎さんと三度目の寄り道。

さくちゃんと戸賀くんが付き合い出してから3日後。私は久し振りにレオンくんと寄り道をしていた。
「ふわわわわわ…」
甘いものを目の前にした私の語彙力は著しく低下し、レオンくんにまた笑われてしまった。
「ははっ、小糸ってすごいキラキラした目で甘いもん見るよな。なんか小ちゃい子みたいだ。」
「えっ!?そんな…!」
小さい子みたいと言われたことに大袈裟に反応するとそれもまた可笑しそうに笑う。
「はー、ほんっと…やっぱり色白くて小さいから余計にそう見える。」
「ひどいよ、レオンくん!自分が背が大きくて大人っぽいからって!」
「悪い悪い、ほらイチゴパフェくるぞ?」
「うう、この話は後で決着をつける!!」
謎のセリフを残して私はすぐにイチゴパフェに釘付けになった。バニラアイスに赤いイチゴのソースがかかっていて、グラスの底の方にはイチゴとフレークが入っている。何層にも積み重なっていて、てっぺんの方は大きなイチゴがアイスの周りを縁取っている。
「いただきますっ!」
スプーンで一口すくって口に入れるとたちまち甘酸っぱい、イチゴ独特の風味が口いっぱいに広がった。
「えへへ…」
ついニヤニヤしているとレオンくんはコーヒーを飲みながら私に聞いた。
「そんなに美味いか?」
「そりゃあ勿論!!」
食い気味に答えた私にレオンくんはニヤリとしてから口を開けた。
「ん。」
「ん!?」
そのまま戸惑う私に、意地悪そうな目で訴え続ける。はやく食べさせろ、って。トントンと口の端っこを叩いているレオンくんに、半ばやけくそでアイスを食べさせた。
「お、うまい。」
「…よかったですね…」
レオンくんは、こういうことを平然とやってのけるからずるいんだ。
「ああ。小糸も口直し程度にこれ飲むか?」
「コーヒー?」
「美味いぞ。」
てっきり砂糖でも入っているかと思って油断した。
「にっっが!!!」
「そりゃブラックだからな?」
「ひどい!!うう〜!」
慌ててパフェを口に運ぶ私を見て、レオンくんはまた笑っていた。私はまた膨れたが、パフェはレオンくんが奢ってくれたから全てを許した。

「ここ、美味いけど地味に遠いよな。」
「そうだね、頻繁には来れないね。」
店を出た私たちは帰るべく、駅へと進んでいた。だが、それは突然に起こる。
「…あれ?白崎じゃん!」
「え?…!な、んで、」
「久しぶり〜!」
「元気にしてた?」
誰も予期せぬ、再会。
「小糸?知り合いか?」
「…っ、ちゅ、がく、の、」
私が言い終わる前にレオンくんは私を背中に隠した。そしてそのまま、鋭く光る満月は元同級生たちを映した。
「どうも。俺は高校の友人の黒川レオン。よろしく。」
ギラギラとした目で、マウント取る気全開で。

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