褐色男子、色白女子。

もずく。

白崎さんと恋バナ。

「それじゃあ、さくちゃん達付き合い始めたんだ!よかったあ、おめでとう〜〜!!!」
その日の帰り、帰宅部の私と部活が休みのさくちゃんは二人で机にお菓子とジュースを広げて駄弁っていた。
「あー、うん…。まあ。色々迷惑かけてごめんね、小糸。」
「全然!二人がうまくいったことが嬉しいよ!」
今日、レオンくんはバスケ部の助っ人で不在、サッカー部の戸賀くんも不在。放課後をさくちゃんと過ごすのは久しぶりだった。
「戸賀くん、ずっとさくちゃんのこと好きだったんだよね!いいなあ、幼馴染の男の子と…きゅんきゅんするよ〜!」
「そう?小糸には黒川がいるじゃん。いつ付き合うの?」
さくちゃんの言葉に肩が跳ね上がった。そういえば、忘れてた。友達として接しすぎてて、告白されていたことはどこ吹く風だった。
「付き合う…とかよく分かんないし…レオンくんが…その…」
言葉を濁しまくる私を見て、さくちゃんは頷いた。
「分かる。付き合うとかよく分かんない。壮士はそれでもいいしこれから知ってこうって言ってくれるけど…恋とかしたことないもんね…」
はあ〜と二人してため息をこぼしたときだった。
「トガがどうした?」
「レオンくん!?」
「黒川!?」
教室の廊下側の窓からレオンくんが顔を覗かせた。
「今トガの話してなかったか?」
「いっ…や…してた、けど、」
しどろもどろするさくちゃんにレオンくんは笑った。
「ははっ、あいつ今日の午後テンションの上がり方ヤバかったぞ?女子に何聞かれてもん〜しか答えないでずっとニヤニヤしてたし。お前と付き合えたことが嬉しいんだろ。それでいいんじゃないか。分からなくても、いいんだろ?」
「…聞いてたの…。」
「ははっ、悪い。でもまあ、俺は付き合うってそういうことだと思う。分からないなりにお互い手探りで、想いあってくもんだろ?」
「想い、あってく…」
何か大事な言葉な気がして私は、その言葉を噛み締めて飲み込んだ。
「どうした?」
「う、ううん、何でもない!」
「そうか?俺そろそろ戻る、じゃあな。暗くなる前に二人とも帰れよ?」
「はーい!」
背を向けたレオンくんを見送って、二人で顔を見合わせた。
「…腹立つほどいい奴だわ、やっぱ。」
「…うん、レオンくんは優しい…。」
実は一番乙女心分かってくれるのは、レオンくんだったりして。

「はやく振り向いてくれねえかな、小糸。」
彼の呟きは、先の見えない廊下の闇に溶けていった。

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