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褐色男子、色白女子。

もずく。

黒川くんと調理実習。

俺は、この時間がテストの次に苦手だ。できないものを晒し上げ、笑い者にするこの時間が。
「深刻そうな顔してるけど、レオンって不器用なだけだろ?今に始まったことじゃないから安心しろって!」
トガの貶しともフォローともとれるそれに俺は苦い顔をした。
「…器用なトガには分かんねえよ、俺の気持ちなんか。なんでわざわざ調理実習とか高校生にもなってやるんだよ、普通選択だろこういうの。」
「頑なだな〜。…白崎さん、ちゃんとやったら褒めてくれそうだけどなあ?」
トガは本当に乗せるのが上手い。俺はいつもこの手にかかる。
「…やる。」
作るものはカップケーキ。女子の好きそうなものだ。特に甘いものが好きな小糸なら。俺はいつになく真面目に、丁寧にカップケーキを作った。時に女子たちにからかわれ、時にトガにいじられながら。本当に地獄のような時間だった。家庭科室には魔物が住んでいるのかもしれないと錯覚したほどだった。
「…できた。」
最後のラッピングまで終え、俺はようやくエプロンを外すことが許された。
「お疲れレオン!さて、渡しに行くか!俺もさくにあげたいし。」
「…トガって料理できたんだな。」
俺が裏切られたと言わんばかりの目線を送るとトガは嬉しそうに言った。
「練習、したんだ。さくがレオンと同じで料理とか諸々苦手だから。俺がやってやれるように。」
たまに、トガが眩しく見える。なんだか悔しい。ちょっとチャラいくせに。
「そーかよ。」
「えっ、興味なし!?」
トガが嘆くように声をあげた。それとほぼ同時に俺たちは小糸と早乙女のいる教室に到着したのだった。

お調子者のトガは、どうやら早乙女の前では無力らしい。
「さーく、これカップケーキ。」
「学校で馴れ馴れしくしないで。」
「いいじゃんかー、ほら!上手くできたから!」
「…貰ってはあげる。」
「まじ!?よっしゃ!」
構ってほしくて仕方がない子犬みたいな感じがする。でもそれは俺も同じだ。
「小糸。これ。小糸甘いの好きだろ。…俺はそういうの作るの苦手だけど、お前の為に頑張った。」
俺が名前を呼ぶたびに照れる小糸は嬉しそうに笑った。
「え、これカップケーキ?やったあ!えへへ、レオンくんも頑張ってくれてありがとう。」
正確に縮めていく距離。お前が気付いた時にはもう逃げ場はない。そんな汚い感情を沢山込めた…いや、俺からの愛情を込めたカップケーキを小糸は美味しそうに頬張る。
「!美味しいよ!」
「そうか、ならよかった。」
いつか、この気持ちを全部曝け出せればいい。最初の告白?あんなのほんの一部の一部に決まってるだろ?狙った獲物は逃がさない。だって俺はレオンライオンだから。

そんなことを考える俺を小糸が下から盗み見ていたなんて、これからもずっと知らないまま。

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