褐色男子、色白女子。
黒川くんと告白。
最悪だ。俺は朝から下駄箱で頭を抱えた。何故朝からこんなものを目にしなくてはならないのか。白い封筒に明らかに恋文であろう物が入っている。
「…はあ。」
仕方なく教室に持ち帰り、渋々開く。今はこんなものに構っている暇なんてないというのに。
「おっす、レオンどうした?朝から憂鬱そうな顔して!昨日のデートは成功したんじゃなかったのか〜?」
苦い顔をしている俺に明るく話しかけてきた男、戸賀壮士。そういえば昨日、こいつのことを白崎に紹介したんだった。
「…これ。まただ。」
「おお、またか。お前も大変だな?」
「ほんとうだ。いい迷惑だ。そもそも下駄箱に入れるとか不衛生だろ。食べ物じゃなくても汚い。」
「お前潔癖っぽいとこあるよな…。でも、それ白崎さんがしたらどうなんだよ?」
ニヤリと口角を上げるのは、トガが人をからかう時の癖だ。
「…めっちゃくちゃ嬉しいし可愛いと思う。」
「お前、そういうところだと思うぞ…。んで、例の白崎さんとはどうなんだよ。昨日の感じだとうまくいったっぽかったじゃん。」
「おう。お前の言ってたとおりだな、あの店のクレープうまかった。白崎も喜んでたし…他にもドーナツとか色々食った。白崎の食ってるところすげえ可愛かった。あと、白崎甘いの好きらしい。それから…」
「ストップストップ!お前の悪い癖だぞ、それ!落ち着け!白崎さんが可愛かったのはわかったから、お前はそのラブレター潰すのやめろ〜!」
トガに言われて初めてラブレターを握り潰していたことに気が付いた。それほどまでにどうでもいいことだったのだ、俺にとっては。
「帰りに中庭か。ベタだな〜、行ってやれよ?行かなくって悪い噂たって困るのお前だぞ?」
「わかってる。ちゃんと行く。」
「あの、私、レオンくんのことが好きです!付き合ってくださいっ!」
「…悪い、好きなやついる。」
いつも通り、一年の頃から変わらない台詞で断る。だが、たまにいるのだ。妙にしつこい女が。
「どうしてっ…!っ、誰!?私の知ってる人!?」
「お前には関係ない。教えてもろくなことにならないだろ。」
「じゃあどうして私じゃないの!?私が一番レオンくんのこと知ってる!」
「いや、お前…」
俺が言葉を繋ぐ前に、カタリと音がした。目線をやるとそこにいたのは、
「っ、白崎!」
女のヒステリー具合に怯えた顔をした白崎だった。俺が手を伸ばす前に女は何を思ったのか白崎に掴みかかった。パチンと嫌な音がする。
「あんたね!あんたがレオンくんのことたぶらかしたのね!最低!最低!」
間違ってはいない。俺が白崎を好きなのは事実だ。だけど、
「やめろ!こいつは関係ない!白崎に触るな!」
思わずはたき落としてしまった女の手。だが、俺にはそんなことに構っている余裕なんてなかった。
「白崎、行くぞ!」
この怯えきった白崎をなんとかしなくては。震える白崎を横に抱えると俺はその場を走りさった。そのまま、誰も来ない屋上へと全力で。白崎がどんな顔をしていたかも、何を思っていたのかも知らずに。
「…はあ。」
仕方なく教室に持ち帰り、渋々開く。今はこんなものに構っている暇なんてないというのに。
「おっす、レオンどうした?朝から憂鬱そうな顔して!昨日のデートは成功したんじゃなかったのか〜?」
苦い顔をしている俺に明るく話しかけてきた男、戸賀壮士。そういえば昨日、こいつのことを白崎に紹介したんだった。
「…これ。まただ。」
「おお、またか。お前も大変だな?」
「ほんとうだ。いい迷惑だ。そもそも下駄箱に入れるとか不衛生だろ。食べ物じゃなくても汚い。」
「お前潔癖っぽいとこあるよな…。でも、それ白崎さんがしたらどうなんだよ?」
ニヤリと口角を上げるのは、トガが人をからかう時の癖だ。
「…めっちゃくちゃ嬉しいし可愛いと思う。」
「お前、そういうところだと思うぞ…。んで、例の白崎さんとはどうなんだよ。昨日の感じだとうまくいったっぽかったじゃん。」
「おう。お前の言ってたとおりだな、あの店のクレープうまかった。白崎も喜んでたし…他にもドーナツとか色々食った。白崎の食ってるところすげえ可愛かった。あと、白崎甘いの好きらしい。それから…」
「ストップストップ!お前の悪い癖だぞ、それ!落ち着け!白崎さんが可愛かったのはわかったから、お前はそのラブレター潰すのやめろ〜!」
トガに言われて初めてラブレターを握り潰していたことに気が付いた。それほどまでにどうでもいいことだったのだ、俺にとっては。
「帰りに中庭か。ベタだな〜、行ってやれよ?行かなくって悪い噂たって困るのお前だぞ?」
「わかってる。ちゃんと行く。」
「あの、私、レオンくんのことが好きです!付き合ってくださいっ!」
「…悪い、好きなやついる。」
いつも通り、一年の頃から変わらない台詞で断る。だが、たまにいるのだ。妙にしつこい女が。
「どうしてっ…!っ、誰!?私の知ってる人!?」
「お前には関係ない。教えてもろくなことにならないだろ。」
「じゃあどうして私じゃないの!?私が一番レオンくんのこと知ってる!」
「いや、お前…」
俺が言葉を繋ぐ前に、カタリと音がした。目線をやるとそこにいたのは、
「っ、白崎!」
女のヒステリー具合に怯えた顔をした白崎だった。俺が手を伸ばす前に女は何を思ったのか白崎に掴みかかった。パチンと嫌な音がする。
「あんたね!あんたがレオンくんのことたぶらかしたのね!最低!最低!」
間違ってはいない。俺が白崎を好きなのは事実だ。だけど、
「やめろ!こいつは関係ない!白崎に触るな!」
思わずはたき落としてしまった女の手。だが、俺にはそんなことに構っている余裕なんてなかった。
「白崎、行くぞ!」
この怯えきった白崎をなんとかしなくては。震える白崎を横に抱えると俺はその場を走りさった。そのまま、誰も来ない屋上へと全力で。白崎がどんな顔をしていたかも、何を思っていたのかも知らずに。
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