地味な俺がなんでモテるの!?

斉藤 自由

第19話 可憐で無邪気な彼女は 秋枝 桜

成城はいつもの日課を終わらし珍しく何事も無く寝る事が出来ると思っていたが、やはり楓が先に寝ていたので部屋から追い出しドアの前に立ち入り禁止!と紙を貼っておいた。
その時の絶望していた楓の表情は少しびっくりした。
それはともかくそのままゆっくりと睡眠をとった。

「成城!起きなさい!」

と未来が起こしに来てくれたのでそのまま制服に着替えリビングに向かうとそこには、もう楓と大西が朝食を食べていた。
今日のご飯の担当は未来であった。

「おぉ」

と成城は思わず声を漏らしてしまった。

今日の朝食はおかずがアスパラガスのベーコン巻きに目玉焼き、汁物は鰹だしが効いたわかめと豆腐の味噌汁、そして安定の白米であった。

「いただきます。」

とアスパラベーコン巻きを一口で食べる。

「どう?美味しい?」

と未来が潤んだ目でみてくるので成城は素直に答えた。

「あぁ、結構旨いな。このアスパラガスはベーコンを巻く前に一回バターを絡めながら火を通してからベーコンを巻きそして、また焼いたんだな。」

「相変わらず舌の構造どうなってんのよ」

と未来は突っ込みを入れたがその突っ込みはいつもより少し嬉しそうだと成城は感じたのであった。

そして、3人と登校していると大西結依のファンに驚かれて陰で舌打ちされたり、学校に着いて下駄箱を開けると、バサッと大量の手紙が入っておりその殆どが彼女達の過激派のファンからだった。

「成城ってやっぱりモテモテじゃないー」

とからかいに来たのかこのこのーとばかりに指でつついてくる。

「お前…察してるのにひどい奴だな。」

「まぁねー」

と未来は手紙を見る。

「まぁでも…」

「?」

「本物が入ってるかも知れないからちゃんと目を通しなさいよね」

と未来は走り去ってしまった。

「なんだったんだ…」

成城は未来が何を伝えたいのかわからなかったが「目を通せ」と言われたので取り敢えず手紙をバックの中に入れ休み時間に読む事を決めた。

教室のドアを開けるとがやがやと良い雰囲気だった教室が氷つく
成城は少し居心地が悪かったがあまり気にしないで自分の席に着き周りを見渡すと、男子には睨み付けられ、女子にはひそひそ話をされる。
そして、橘 桜花は成城のこの状況が面白いらしく少し小馬鹿にしている表情で成城を見ていた。
陽太も見てみぬ振りであった。

成城は陽太をひどい奴だと思ったが良く考えて見ると、自己紹介をしあった仲だけでそこまで仲良いと言えないのだろうと成城は結論した。

「みんなおはヨーグルト!なんてな!はははは……うん…そうだな!はは…」

と突然入って来た先生はこのクラスの異常な空気に負けていた。
先生もっと頑張れ、全然面白く無いがもっと頑張れ!

「おはヨーグルトってな!…………な!」

先生…痛過ぎる…ウケて無いのに確かめる辺り本当に痛い……

「じゃあ…日直の人は号令を…」

「起立」

良くいつもどおりにいられるな…と成城は突っ込みを入れたかったのであった。

そして、休み時間に手紙を一通り見てみると……

成城はハートのシールが貼ってある手紙を見つけ成城はそれを無言で開く。

成城君へ
こんな形で呼びつけてすみません!
実は私、ずっと前から成城君の事がどうしても気になってしまって…
この気持ちを伝えたいです!
今日の放課後……屋上で待ってます!

と可愛らしい文字で書いてあったのでさすがの成城でもこれがわからないという訳では無い。
名前が書いていないのは残念だが、しかしそれは時間の問題だ。

「屋上か」

そういえば…と成城は未来の言っていた事を思い出す。

(「本物が入ってるかも知れないからちゃんと目を通しなさいよね」)

まさか…未来…

と成城は少し大人の顔をイメージしながら気持ちを整理した。

ちゃんと答えなきゃな…

と成城は放課後を待った。





「ふぅ…緊張するな」

と放課後になり成城は屋上の扉の前で深呼吸していた。
成城は初めて告白を受けるのだ、同性愛でなければ異性からの告白は誰だって緊張するだろう。

「行くか」

とガチャリと扉を開けたがまだ誰も居なかった。
まぁ放課後になった瞬間に教室を飛び出して誰よりも早く屋上に着いたので当然という物だろう。

「ふぅ」

とあたりは夕焼けに染まる。
告白のステージでは最高のシチュエーションだろう。

そして、その時は来た。
ガチャリと扉の音を聞き成城は思わず扉に背を向けドキドキしてしまった。

「こここんな所によよよ呼び出してなんだよ」

と後ろを振り返ると…そこには

「ぎゃははは!こいつ本当に来やがったぜ!」

「まじでひっかかるのかよ!」

「こいつ、何か根暗そうだな…」

とざっと5人近くの不良さんが成城を見て爆笑しながら近づいて来ていた。

「………………………」

成城は無言であった。

本人は怒っているのか、悲しんでいるのかさえわからない感情があった。

「よぉ!兄ちゃん!お前!あの橘様にちと馴れ馴れしいんじゃねぇか!?」

「ようよう!しかも!あの幼なじみにしたいランキング上位の二葉未来の幼なじみなんだってな!」

と不良達はドスの効いた声で成城にヤジを飛ばしていた。

そして、黙りとしていた成城を不良達は囲み成城を睨み付ける。

「じゃあ兄ちゃん…死ねや!」

と不良は手に持っていた金属バットを振り下ろす。




時は少し遡るが。
階段を上がって行くのは秋枝 桜あきえだ さくらという、白い女子生徒がいた。
白い髪、白い肌、そして、白い目…そう彼女は人間のアルビノであったのだ。
そして、髪型は右側に髪をまとめていた、いわゆるサイドアップという髪型だ。
周りの印象は、彼女のその美しさには触れてしまっては消えてしまいそうな儚さがあり、成城以外の一年は全員知っている人物だったのだ。
しかし、その中身は…

(はぁ、また皆さんとお話しが出来なかったわ…)

そう、彼女は心の中では皆と話しをしたい触れ合いたいと思っていた。
しかし、本人は私は嫌われているという勘違いをしてしまい、中々声が掛けられずにいた。

(はぁ、屋上で叫ぶのはこれで何回目なんでしょう…)

と秋枝は屋上の扉を開けようとするが…

「じゃあ兄ちゃん…死ねや!」

と言う声が聞こえたので彼女は扉少し開け屋上を覗き見る。
そこには一人の男子生徒に対して数人の不良が囲んでいるのを確認し、秋枝は正義感で助けようと飛び出そうと思ったが、秋枝の体は動かなかった。
動かない自分の体に動揺しつつも動かそうと思ったが動けない、それは恐怖心から動かない訳ではない。
もっと別な…そう、秋枝の本能がここで飛び出してはいけない、と体が動かなかったのだ。

(すみません…)

とその事には気付かず恐怖心が働いているのだと勘違いした彼女はまだ名も知らぬ男子生徒に心の中で謝りながら様子を見ていたのであった………




「じゃあ兄ちゃん…死ねや!」

と不良が振り下ろした金属バットは成城に向かった。
誰もが当たると不良は思い、不敵に笑っていたが…

ガキン!

と成城は左腕をガードに使いバットを止めていた。
だが、柔らかい腕に似合わない音が鳴った事で不良は呆気に取られていた。

「は?」

そして、バットを見るとバットの方が衝撃に耐えられず少しへこんでいた。

「は?」

と、不良は理解で出来ず、固まっている。

「おいどうしたんだ?」

そして、金属バットが壊れてしまってるのに気付いた不良達は静かになった不良団の一人が動揺を隠すように大声を上げる。

「おい!お前何しやがった!」

「いや…普通にさ…」

「いったぁぁぁぁ!!!」

成城は転げ回った。

「痛い痛い痛い!なんで、バットで殴るんだよ!!」

「はぁ…」


リンチにしてやろう、と思っていた不良達も興が冷めたらしく、呆気にとられていた。





皆さん!僕です!斉藤です!
いやー書いてて思ったのは、結構バトル物って難しいなってのと不良がありきたりだなーっと思いました。
でも、不良はこんな感じかなと思い書いたのでキャラは満足しています。
そして、急のキャラデザ変更すみませんでしたーー!
煮詰めてから出さないのが今回悔やまれました。
皆様混乱してしまうかもしれませんが宜しくお願いします!

ですが、またちょくちょくキャラデザは変更してしまうかもしれません。
いや!反省してない訳では無く!物語の流れや雰囲気等は大方決まっているのですが、こっちの方が良いかな?とアイデアが後から浮かぶ事があり変更させて頂くかも…という訳でですね…
もちろん!そう簡単に変更すると混乱してしまうので極力変更はしません!

この調子ですが皆さん!この作品をこれからも宜しくお願いします!



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