Bouquet of flowers to Messiah
Twin graduation missions
『人間になりなさい』
俺達双子の卒業ミッションの内容はただこれっぽっちだった。
「...人間になりなさい?」
「どういうこと...?」
それが分かるのは、そう遠くはなかった。
チャーチが壊滅的被害を受けた日。
その日に愛斗が姿を消した。
手掛かりは一切なかった。愛斗の端末は破壊され、その端末にはウイルスが仕掛けられ、有明さんが体調を崩した。暁に一応伝えたら「あいつただじゃおかねぇ」とキレてた。でも、暁は口では言っても実際にやらない。
場所を探るまでの間に、俺はたくさんの人に稽古をつけてもらった。百瀬さん、伊織兄さん、有賀さん、いつき兄さんに稽古をつけてもらった。
だけど、最後に皆同じ事を言ってた。
「最後に助け出せるのはお前だけだ」と。
それから数日経って、また襲撃を受けた。
今度は愛斗もいる。
愛斗の所に遅れていくと、雪兄さんと対峙していた。
「...愛斗...」
すると愛斗は俺に銃を向けてきた。そこで俺は確信した。
「...そうか、今はもう俺の知る愛斗じゃないんだね」
愛斗は強くなっていた。
だけど、俺は手首を掴んで引っ張った。
愛斗は驚いていた。それをいいことに、俺は話しかけた。
「...目を覚ませ、愛斗」
「...何を...」
「...答えろ、今お前の目の前にいるのは誰だ」
「...サクラ...殺すべき...」
やっぱりそうだ。
操られている。
「違う。よく見ろ、お前の目の前にいるのは誰だ」
愛斗は俺を忌々しく睨んでいた。それでも俺は気にしなかった。
「...黙れ」
「...愛斗」
「黙れ!」
愛斗はナイフを振り上げて俺を刺した。
痛かった。
言葉には表せないほど痛くて声を上げそうになった。
だけど俺は声をあげずに耐えた。
「海斗!」
雪兄さんが愛斗に銃を向けたのを、俺は止めた。
「雛森さん!...俺は大丈夫」
愛斗は逃げようと必死に動いていた。俺はその手を引いて抱きしめた。有賀さんに聞いたのだ。
『...抱きしめる...?』
『そうだ。どれだけ洗脳されていても、温もりと声は必ず覚えているもんだ。...藤瀬と有明がそうだったんだ』
『...暁と...幸樹兄さんが...?』
『試してみるといい、愛斗に』
...そう言われたのが襲撃を受けるさらに数日前。
「...愛斗、俺が誰だか...分かる?」
「...サクラは殺すだけだ」
その言葉の後に腹に激痛が走る。
その痛みも、俺は受け止めた。痛くても声に出さずに、ただ愛斗を抱きしめた。
「...そうだ、俺はサクラだ。だけどお前もサクラだ。俺の双子の弟で、俺のメサイアだ」
思い出せ。
俺が誰で、今まで2人で何をしてきたか。
どんなことをしてきたか。
「...メサイア...?俺にはそんなの...」
「...いるんだよ、目の前にいる俺がお前のメサイアなんだよ」
「...誰だよ...誰なんだよお前...」
声が弱くなった。
今しかチャンスはない。
「俺は海斗。柚原海斗。お前の双子の兄でお前のメサイアだよ」
「...海...斗...?海斗...?」
「うん、愛斗」
「...海斗...!」
あぁ、良かった。これが俺の知ってる愛斗だ。
そこから先は記憶が曖昧だ。
雪兄さんが俺たちの代わりに撃たれて、愛斗を追いかけさせたことしか覚えていない。気がついたら俺はベッドの上にいた。
俺が考える卒業ミッション。
人間になりなさい。
それは、「どちらかが散って消えてもどちらかがちゃんと片方の意志を継げるくらい強くなりなさい」ということなんだと思う。
俺も愛斗も、おんぶにだっこじゃダメなんだ。
お互いがお互いを支えられるように、どこにいても繋がってるんだと信じ抜く力をつけなさいということだったんだと思う。
サクラとしても、メサイアとしてもまだまだ未熟な俺達だからこそ、だと思う。
...俺は負けない、愛斗にも、自分にも。
「...海斗、任務だよ、行こう」
「うん、分かった」
卒業しても同じ任務につくことがある。
俺は愛斗を守り、愛斗と叶える理想を作り上げてみせる。
そう新たに決意して新しくなったメサイアコートに腕を通した。
俺達双子の卒業ミッションの内容はただこれっぽっちだった。
「...人間になりなさい?」
「どういうこと...?」
それが分かるのは、そう遠くはなかった。
チャーチが壊滅的被害を受けた日。
その日に愛斗が姿を消した。
手掛かりは一切なかった。愛斗の端末は破壊され、その端末にはウイルスが仕掛けられ、有明さんが体調を崩した。暁に一応伝えたら「あいつただじゃおかねぇ」とキレてた。でも、暁は口では言っても実際にやらない。
場所を探るまでの間に、俺はたくさんの人に稽古をつけてもらった。百瀬さん、伊織兄さん、有賀さん、いつき兄さんに稽古をつけてもらった。
だけど、最後に皆同じ事を言ってた。
「最後に助け出せるのはお前だけだ」と。
それから数日経って、また襲撃を受けた。
今度は愛斗もいる。
愛斗の所に遅れていくと、雪兄さんと対峙していた。
「...愛斗...」
すると愛斗は俺に銃を向けてきた。そこで俺は確信した。
「...そうか、今はもう俺の知る愛斗じゃないんだね」
愛斗は強くなっていた。
だけど、俺は手首を掴んで引っ張った。
愛斗は驚いていた。それをいいことに、俺は話しかけた。
「...目を覚ませ、愛斗」
「...何を...」
「...答えろ、今お前の目の前にいるのは誰だ」
「...サクラ...殺すべき...」
やっぱりそうだ。
操られている。
「違う。よく見ろ、お前の目の前にいるのは誰だ」
愛斗は俺を忌々しく睨んでいた。それでも俺は気にしなかった。
「...黙れ」
「...愛斗」
「黙れ!」
愛斗はナイフを振り上げて俺を刺した。
痛かった。
言葉には表せないほど痛くて声を上げそうになった。
だけど俺は声をあげずに耐えた。
「海斗!」
雪兄さんが愛斗に銃を向けたのを、俺は止めた。
「雛森さん!...俺は大丈夫」
愛斗は逃げようと必死に動いていた。俺はその手を引いて抱きしめた。有賀さんに聞いたのだ。
『...抱きしめる...?』
『そうだ。どれだけ洗脳されていても、温もりと声は必ず覚えているもんだ。...藤瀬と有明がそうだったんだ』
『...暁と...幸樹兄さんが...?』
『試してみるといい、愛斗に』
...そう言われたのが襲撃を受けるさらに数日前。
「...愛斗、俺が誰だか...分かる?」
「...サクラは殺すだけだ」
その言葉の後に腹に激痛が走る。
その痛みも、俺は受け止めた。痛くても声に出さずに、ただ愛斗を抱きしめた。
「...そうだ、俺はサクラだ。だけどお前もサクラだ。俺の双子の弟で、俺のメサイアだ」
思い出せ。
俺が誰で、今まで2人で何をしてきたか。
どんなことをしてきたか。
「...メサイア...?俺にはそんなの...」
「...いるんだよ、目の前にいる俺がお前のメサイアなんだよ」
「...誰だよ...誰なんだよお前...」
声が弱くなった。
今しかチャンスはない。
「俺は海斗。柚原海斗。お前の双子の兄でお前のメサイアだよ」
「...海...斗...?海斗...?」
「うん、愛斗」
「...海斗...!」
あぁ、良かった。これが俺の知ってる愛斗だ。
そこから先は記憶が曖昧だ。
雪兄さんが俺たちの代わりに撃たれて、愛斗を追いかけさせたことしか覚えていない。気がついたら俺はベッドの上にいた。
俺が考える卒業ミッション。
人間になりなさい。
それは、「どちらかが散って消えてもどちらかがちゃんと片方の意志を継げるくらい強くなりなさい」ということなんだと思う。
俺も愛斗も、おんぶにだっこじゃダメなんだ。
お互いがお互いを支えられるように、どこにいても繋がってるんだと信じ抜く力をつけなさいということだったんだと思う。
サクラとしても、メサイアとしてもまだまだ未熟な俺達だからこそ、だと思う。
...俺は負けない、愛斗にも、自分にも。
「...海斗、任務だよ、行こう」
「うん、分かった」
卒業しても同じ任務につくことがある。
俺は愛斗を守り、愛斗と叶える理想を作り上げてみせる。
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