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Bouquet of flowers to Messiah

有賀尋

残された者の消えない傷跡

万夜がいなくなった時、俺は泣くことが出来なかった。
悲しいはずなのに、涙の一滴も出なかったことを覚えている。
だけど、俺はどこかで知っていたのだ。

泣いたって救われないことに。

薄情だと言われればそうかもしれない、だけど俺は薄情なんかじゃなく、悟ってしまったから泣けないのだ。
俺は南トランの砂漠地帯のど真ん中でただ沈む夕日を見つめていた。
すぐ隣に万夜がいる気がした。
だけど、俺には見えない。そんな力はない。
稲川にちょっと分けてもらえばよかったかな。

「...なぁ万夜、俺さ、お前いなくなって泣けなかったんだ。悲しいはずなのにさ。
俺らしくないって笑うか?
あれからずっと考えてたんだ、俺がお前以外を受け入れてしまったら...俺はそれに甘えるんじゃないかって。お前に甘えてたつもりはねぇよ?そんなつもりは一切ないけど、俺は...どこかでやっぱりお前を探すんだ。お前の何かを探してさ。...女々しいよな。俺お前に繋がるもん何も持ってねぇな...なんか交換しとけばよかったよ。...もう今更だけどさ。俺...やっぱ忘れられそうにねぇや、お前のわがままだったけど楽しかった日々とかさ、一緒に任務行ったりとかさ。...万夜、俺どうしたらいいんだろうなぁ...」

そこで初めて頬を涙が伝った。

万夜も生きて自分も生きるという、どちらかが死ぬ運命を覆せなかった腹立たしさ。
万夜を救えなかった悔しさ。

今になって全てが込み上げてくるなんて。

涙は止まることを知らず、ただ流れ続けた。
だんだん嗚咽まで出始めて、俺は初めて気がついた。

俺は、涙の止め方を知らない。

「...万夜...どうしたらこれ止まるんだよ...なぁ...教えてくれよ万夜...!」

叫ぶことも無くただ地平線に沈む夕日を見つめていると

「...君が松原エレン?僕の新しいメサイア?」

名前を呼ぶ知らない声に、俺はゆっくり振り向いた。

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